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公爵姉妹は幸せです  作者: 京栞


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39/42

#39

一日遅れの更新です。本当にごめんなさい……

「本当は、リリじゃなくて公爵様に記憶を残せれば良かったんだけど。流石に禁術に手を出した人間への干渉は女神といえど難しいからね。次善策として公爵様に近い人間を選んだ、ってことだろうね」

「それは、リリが私の代わりになったということか?」


 お姉さまの問いに、アノンはただにっこりと笑みを作った。


「……わざわざ聞かなくても分かるでしょ?」


 どこか刺すようなその言葉にお姉さまは何も言い返さない。

 まるで罪人が処刑を言い渡された時のように口を引き結んでいる。


 私は思わず、お姉さまの手を取り、口を開いていた。


「でも、私はそれで良かったわ。だってお姉さまのことをもっと知りたかったもの」


 これは紛れもない本心だ。

 私が死んだ後にお姉さまがどれだけ苦しんだのかは、私には知り得ないことだけど、それでも私はお姉さまが好きだから。


 私は死にゆく中で、私の為に泣いてくれたお姉さまと、もっとちゃんと向き合っていれば良かったと後悔していた。

 私が後一歩お姉さまと関わろうとしていれば、何かが変わって私が苦しむことも、お姉さまが悲しむこともない、そんな未来があったのかもしれないと。

 お姉さまからの愛に気付けていれば、お互いに一歩踏み出せていれば。


「もしも、お姉さまが悲しんだり、禁術に手を出したりなんてしないように、私に何かが出来るなら、私はそうしてあげたい。だから、代わりでも良い。お姉さまだけに背負わせたくなんてないの。だから、そんな辛そうな顔はやめてください」


 どこか苦しそうな顔のお姉さまに、少しでも心を軽くしたいと思いながら微笑みかける。

 私の言葉を聞いたお姉さまが今にも泣いてしまいそうな顔で笑みを返す。


「……優しい子ね、リリは」

「いいえ、私はお姉さまが大好きなだけです」


 私たちを見ていたアノンがため息を吐く。


「リリは本当に公爵様が好きだね。まあ、それが幸せなら文句は無いけどさ」


 呆れたような言い回しだけど、その顔は優しい。

 どこか気がかりが無くなって、安心したようにも見える。


 お姉さまが私に向かって尋ねる。


「リリが私の代わりなら、何か代償を背負わせられたりということは無いの? 記憶以外にも、もし何か負担があるなら言ってちょうだい。私がしてあげられることなら何でもしてあげる」


 私も気付いたら巻き戻っていたので、具体的に女神が何をしたのかは知らない。

 そもそも巻き戻った原因だって今分かったくらいなのだ。

 今のところ、問題を感じたことは無いけれど、知らないうちに何かを失っていたりするのだろうか?

 どう答えるべきか迷っていると、アノンが口を開く。


「リリは巻き込まれたようなものだからね、縛りも代償も特に無いはずだよ。女神の加護が与えられたから出来ることはかなり増えるだろうけど、迷惑料みたいなものだし気にしなくて良いよ」

「神託を考えたという件は?」

「僕が使った巻き戻りもある意味で禁術みたいなものだからね。人間より上位の存在と意志疎通が図れる。聞き入れてくれるとは限らないけどね。教会に介入されるのを避けたくて頼んだんだけど」


 まさか、神に従うことよりも内部抗争を優先するとは思わなかった、それは僕の落ち度だ、とアノンは頭を下げる。


「リリが制限なく動けるように教会が邪魔をできないようにしようと考えたのに、逆に危険にさらすところだった。リリにも、公爵様にも迷惑をかけました。申し訳ありません」

「善意の結果であれば仕方ないことだ。それに結局相手をしたのはリリではなくお前だろう」

「アノンが守ろうとしてくれてるのも、私のやりたいようにさせてくれようとしてるのもちゃんと分かってるから。私から文句なんて言えないよ」


 お姉さまも私もアノンを責める気はさらさらなかった。

 そもそもの話からすれば、私たち姉妹の問題がきっかけで、アノンは巻き込まれたようなものだ。

 それでも私たちを恨んだりせずに、守ろうと動いてくれる彼を責められるはずがない。


 お姉さまがはっきりと言い切る。


「謝るよりも、今は教えて欲しいことがたくさんある。私が禁術とやらに手を染めずに済むように、リリが私の為に不幸にならずに済むように、これから起こることや、教会がこれからどう動くのか、出来るだけ情報が欲しい」

「もちろん、僕が知り得ることならいくらでも」


 アノンも顔をようやく上げて、頷いた。


「じゃあ、早速情報を……と言いたいところなんだけど」


 ふっとアノンが視線を扉の方にずらすと、勢いよく扉が開かれる。

 酷い形相で乗り込んできた騎士に一瞬身構えるも、向こうはそれどころではないように息を切らしながら口を開く。


「伝令です! 北部国境伯及び西部辺境伯の反乱を確認! 北部公として反乱を治めるようにとの王命です!」

「今はこっちをどうにかしなきゃいけないみたいだね」

お読みいただきありがとうございます。

GW中もちゃんと更新できるよう頑張ります!


次回更新予定 5/4

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