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公爵姉妹は幸せです  作者: 京栞


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33/42

#33

夕方の更新ですみません。

レストゥラ視点で語っております。

 事の発端は遡ること十年前、百年ぶりに我らが母、時の女神による託宣が下ったことにあります。


 ……ええ、はい。

 閣下も知っておられる、『蠢く地平線』事件<ベヴェゲンデ・ホリツォント>の託宣です。

 はい、当時の私はまだ聖女の称号をいただいたばかりで、年も今の閣下と変わらないくらいでした。

 ……今と同じくらいの力が私にあればあの悲劇も、もう少しましな結末を迎えられたのでしょうが……。

 改めて、あの時は北部への救援が遅れてしまいましたこと、教会の役職を預かる立場として深くお詫び申し上げます。


 ……話を、戻しましょうか。

 あの件への貢献をもって、私の席次は聖女の第三席にまで上がったのですが、当時私たちへ授けられた託宣は『蠢く地平線』事件についてのものだけではないのです。

 あの日下された託宣は、二つありました。


 ……はい、ええ、勿論閣下はご存じないかと。

 一つ目のものとは違い、教会内部の幹部級にしか公開されておりませんから。

 ああ、今回はお教えする許可も教皇猊下から頂いておりますからご安心ください。

 ただ、外部に公開するには不確定要素も、不安要素も多かったものですから、懸念が現実のものとならないよう、事実を知る者には制約をかける類のものですから、閣下も他言なさらぬよう願います。


 ……二十年以内に、王国は魔王によって滅ぼされるだろう。

 人の道を外れた者に悪魔は微笑み、絶望を糧に、大陸全土を人の住めぬ土地へ変える、と。


 はい、確かに一般に魔王という存在は神話時代のもので、女神たちによって倒されたというのが定説ですから、授けられたのが私一人であれば与太話とされてしまっていたかもしれませんね。

 この神託に関しては私以外の教会の者にも聞こえた者が複数おりましたから、正当性・信憑性があるものと判断されました。


 とはいえ、邪教の信者を取り締まる程度のことしか私どもに出来ることはありませんから、ええ、異端審問もあの事件を口実に一層厳しいものへと変わりましたが、こういった事情も含んでいるのです。


 ところが、つい先月のことです。

 私を含む前回の神託を受けた者たちに、再び女神からのお言葉が下されました。


 魔王を生み出さぬために、選ばれし子と、その守護者に仕えるように、と。

 運命を司る神の娘に愛された、選ばれし子の名をリリアーネ、守護を任されし者をアノン。

 北の大地に住まいし彼らの主命を妨げず、世界の破滅が防がれるようにと。


 ……はい、閣下。

 私どもは貴女の妹君こそ、神託の指し示すリリアーネ様であると確信しております。

 確かにリリアーネという名の方も、アノンという名の方もたくさんいらっしゃることは間違いないのでしょうが、私どもが神託で伺った内容と合致する条件の方はこちらのリリアーネ様とアノン様だけですので。

 幼すぎる、という指摘もその通りではございますが、神の加護を与えらし方々には年齢にそぐわぬ思考力がおありですから、実際に会えば教会の言うことは真実であると、すぐに分かるでしょう。


 本当であれば、今すぐ神殿にお招きして生活していただくところですが、リリアーネ様の籍は既にブルーメ家に入っておられるようですから、無理に教会へとは申しません。

 私どもも、ブルーメ家の方々には敬意を抱いておりますから、閣下が独り身でいらっしゃる以上、後継ぎの懸念はございますし、良い伴侶候補もご紹介は出来ますが。


 閣下が私どもを信じきれないことも承知ではございますが、選ばれしお方には是非ともお目通りは願いたいのです。

 女神の望みである以上、選ばれしお方がその行動を妨げられないような環境にあることを私どもは確認する必要がございますから。


 アノン様に関しても、ブルーメ家の所有ということになっていることが残念でなりませんが、もし手放される際は教会でお預かりしますので是非ご一報を。

 とはいえ、守護者であられる者が守護の対象から離されるようなことは望んでおりませんから、ご安心を。


 お二人にお会いできるのであれば、北部神殿に制限をかけていた取引もいくつか融通しても良いと許可は頂いておりますし、不安であれば閣下も同席いただいて結構ですよ。

 仮に万が一、リリアーネ様とアノン様が北部に、ブルーメ家に残りたいとおっしゃるならそれはそれで構いません。

 勿論教会の保護を受けられた方が安全だと分かっていただけるとは思うのですが、教会との接触をご本人が拒否なさった場合は私たちをここから追い出されても構いません。


 もし、面会自体を拒まれ続けますと、私どもも強硬手段に出るほかございません。

 披露目前というこのタイミングで申し込んだ非礼の身ではございますが、教会の立場として、守られるべきお方が相応しい扱いを受けていらっしゃらないというようなことは避けたいのです。

 虐待を受けている、というようなことでもあれば、教会の全力を尽くしお守りせねばなりませんから。


 ……私どもも、北部を統治し、国にも教会にも長い間尽くしてきたブルーメ家の献身の歴史をなかったことにしたくはありません。

 どうかご協力をお願いいたしますね。

お読みいただきありがとうございます。

レストゥラさん、私はちょっと怖いです。


次回更新予定 4/20

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