第35話 皆で自己紹介タイムだよ!って今更?!
前回の話の流れで”魔族”という単語に対して勇者様(仮)とリュシアさんが少し慌てた様子だったが気の所為だと思いたい
「名乗っておりませんでしたね。私は魔王軍第1部隊所属バルド・グレンと申します。今はこちらに御座すルシアン様の執事兼教育係りです。」
改めて自己紹介が始まったが
姿勢を直して背筋をたてて胸に手を当てながら話す姿が様になりすぎていて、執事にするには勿体ないくらいのポテンシャルを秘めているのに俺なんかの執事業も難なくこなすんだよな
あと名字がグレンということと
バルドが今も第1部隊にいるのを初めて知ったんですけど?
「次は私ねん。私は魔王軍研究室室長のヴァイス・エインよお。ちなみにバルドとは従兄弟ね」
従兄弟情報いる?
バルドとは違い姿勢を正すこともなくゆるりとした感じの自己紹介だった
「そして、こちらの天から舞い降りた天使の如き可愛さと6歳とは思えない言動と行動力を兼ね備えた我らが魔王国第1王子ルシアン・アッシュ・フォン・ヴァルデンシュタイン様です」
「お肌もちもちのルシアンちゃんよ!」
え、何それちょっと恥ずかしいんですけど?!
まさか自分が紹介されると思わなかったので大変恥ずかしい。
「こ紹介にあずかりました魔王国第1王子ルシアンです。」
バルドがそんなこと思ってたのも初耳だし、ヴァイスはもともとアレだけど。
そもそも魔王国から来たって言って大丈夫なのかも俺には判断できなかったが、ここでは一般的に魔族を知っているらしいし隠すほどのことでもないのかもしれないな。
振り向くとドンゴはレジャーシートの外で土下座していて、勇者様(仮)とリュシアさんは目を見開き口を開けたまま言葉が出ないようだった
「え!どうしたんですか?!ドンゴさん顔を上げてください!!」
「数々の無礼許してくだせえ!か、顔を上げる訳にはいかねえ…です。魔王国第1王子様といえば魔王国にいる者ですら見ることが難しいとされ、名前を出すだけでも首が飛びかねないとの噂を聞いたことがある、ましてやその御方が目の前に居ると思うと顔をあげるなんてとんでもねえ…です」
だんだんと小さくなる声と、これでもかと地面に擦りつけてなかなか顔を上げてくれそうにない
「待って!そんな風に思われてるの?」
隣りの2人は何故か誇らしげだけど、俺からしたらそんな噂嫌だ
「そうよお?ルシアンちゃんには届いてないのかもしれないけど他国では結構有名な話よお」
くねらせながら、心外そうな顔で話すヴァイス
「ふむ。知らないのも無理はありません。これまで他国に行ったことはないですし、天使過ぎて誘拐でもされたら何人死ぬか分かりませんからね。一瞬で血の海です」
「いきなり物騒な話になった!」
「…ですが、坊ちゃんが顔を上げても良いとのことですから上げて構いませんよ。そもそも今回は魔王国とは関係なく坊ちゃんが材料を調達する為に寄っただけですので。」
恐る恐る顔を上げるドンゴは、さらに青白くなったようで顔が引きつっている。
大丈夫だということを伝えたいのでドンゴの前で膝をついた
「ドンゴさん、顔を上げてください!どんな噂が流れてるか知らないですが全然お気になさらないでください!むしろ、私共のせいでお友達にも怪我をさせてしまって申し訳ありませんでした。あと敬語も使わないで結構ですよ」
「俺なんかの為に膝をついてくださるなんて……!あ、いや、滅相もねえです。…あいつが目を覚ましたら俺と同じ反応すると思いますがすいやせん。」
顔を上げたが、まだ土下座のままのドンゴに変に気を遣わせてしまって申し訳なかったな
改めて俺って王子なんだなと思った
「……王子様だったのねぇ」
不意に横から呟くように聞こえた
「リュシアさんたちにも黙っていてすみません。私もこんなに驚かれるとは思いませんでした」
「いや、知らなかったこちらも情報不足だった。王子とは知らず馴れ馴れしくしてすまない。…俺達も態度は変わらないが構わないだろうか」
「もちろんです!」
顔が良いな!勇者様(仮)と目が合ってなんだかドキドキするんですが?
なんだかんだで身バレした方が話やすいこともあるとポジティブに考えよう
「それで?貴方方は?」
「?」
「人間の冒険者か何かだろ?この国にも一応ギルドはあるし、魔物が出たら魔王国だけぢゃなくてギルドにも要請が出るからな」
ドンゴはバルドにビクビクしながらも勇者様(仮)たちの事を話ていたので、良くない勘が当たらないことを祈るばかりだ。
「あぁ、…俺の名前はユーリス。俺たちは冒険者でダンジョンに潜ったりしていた。最近は腕が落ちてきたので手慣らしがてらここを散策していた」
「そうそう!そういうことよぉ」
名前が明らかに!
冒険者ということはもう(仮)取ってもいいのでは?
勇者様(仮)→勇者様→ユーリス様 と呼ばせてもらおう
「冒険者ねえ…」
ヴァイスのサングラスの下の目が鋭くなった気がした。
「そうでしたか。具体的に何を討伐されたのか知りたいものですね」
バルドとヴァイスの空気が不穏だけど、気づかなかったことにしよう!
そうだ!そうしよう!
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