第74話 汲み取りを一日早めても、別の便所をあふれさせないでください
第三便所。
混雑。
少し。
分散。
第二便所。
利用。
増加。
清掃水は。
減らせました。
でも。
回収槽は。
予定より早く。
上がっています。
なら。
汲み取りを。
早めればいい。
――それだけでは。
済みません。
「次の汲み取り予定は?」
直人が聞いた。
「三日後」
サデル。
第二便所。
回収槽の記録を。
指す。
◇
「この増え方で?」
「だから呼んだ」
◇
清掃水。
昨日より。
減った。
でも。
利用者そのもの。
増えている。
回収槽。
水位。
上昇。
◇
フィル。
記録。
追う。
「このままだと」
一度。
計算。
「三日後までは厳しいです」
サデル。
「じゃあ明日呼ぶ」
◇
直人。
すぐ。
頷かなかった。
「誰を?」
「ダスだ」
◇
第一便所。
回収担当。
ダス。
周辺の。
便壺。
回収槽。
決まった順番で。
回っている。
◇
「明日来てもらえば済むだろ」
サデル。
「ダスさんの明日の予定は?」
「知らん」
◇
直人。
「確認しましょう」
◇
翌朝。
ではない。
その日のうち。
ダス。
呼ぶ。
◇
荷車。
止まる。
臭気。
少し。
風。
流れる。
ダス。
記録板を見る。
「第二便所を明日?」
「可能ですか?」
◇
ダス。
即答。
「無理だ」
サデル。
「そんな早く答えるな」
「明日は第一便所と南の長屋だ」
◇
「一つ増やすだけだろ」
「一つじゃない」
ダス。
荷車。
指す。
「槽を一つ空けるなら、その分を積む場所が要る」
◇
直人。
荷車を見る。
回収容器。
数。
決まっている。
◇
いっぱい。
積めば。
終わり。
ではない。
運ぶ。
処理先へ。
下ろす。
容器。
洗う。
次。
回る。
◇
「明日の第一便所を後へ回したら?」
サデル。
ダス。
顔をしかめる。
「第一便所の槽は?」
「知らん」
「俺は知ってる」
◇
ダス。
自分の記録。
開く。
「明日抜かないと、あっちも余裕が少ない」
◇
第二便所を。
助ける。
ため。
第一便所を。
遅らせる。
それでは。
危険。
場所。
移る。
だけ。
◇
フィル。
小さく。
「また同じですね」
「はい」
直人。
頷く。
◇
第三便所の。
列。
減らした。
第二便所へ。
負担。
移った。
今。
第二便所の。
汲み取りを。
早める。
その負担。
第一便所へ。
移そうとしている。
◇
「じゃあどうする?」
サデル。
◇
直人。
「まず、三つ見ます」
「三つ?」
「第二便所の残り余裕」
「第一便所の残り余裕」
「ダスさんが一度に運べる量」
◇
数字。
だけ。
先に。
決めない。
実物。
確認。
◇
まず。
第二便所。
水位。
測る。
昨日から。
上昇。
速い。
でも。
警戒線。
まだ。
距離あり。
◇
次。
第一便所。
◇
ベルク。
入口。
「第二便所の話?」
「はい」
◇
ダス。
第一便所。
回収槽。
確認。
直人。
隣。
見る。
◇
「こっちは?」
フィル。
「明日の通常回収なら問題ない」
ダス。
「一日延ばすと?」
「嫌だな」
◇
即答。
◇
「警戒線へ届く?」
「利用が普段通りなら、届かない可能性はある」
「なら延ばせる?」
「そういう決め方はするな」
ダス。
直人を見る。
◇
直人。
少し。
笑う。
「その通りです」
◇
可能性。
ある。
と。
余裕がある。
違う。
◇
第一便所。
明日。
予定通り。
回収。
ここ。
動かさない。
◇
「荷車の容量は?」
フィル。
◇
ダス。
容器。
数える。
「第一便所を抜いたあと、そのまま第二便所を全部抜くのは無理だ」
「一部なら?」
「できる」
◇
サデル。
「一部?」
◇
回収槽。
必ず。
空っぽまで。
抜く。
必要。
ない。
◇
必要なのは。
警戒線へ。
近づかない。
余裕を。
戻すこと。
◇
「部分回収」
直人が言う。
◇
ダス。
「第二便所から、荷車に残る分だけ抜く」
「どこまで?」
「そこを決める」
◇
第二便所。
戻る。
◇
回収槽。
側面。
確認。
これまで。
警戒線。
ある。
でも。
回収判断。
警戒線だけ。
◇
直人。
「もう一本、目印を付けたいです」
サデル。
「何の?」
「汲み取り相談線です」
◇
警戒線。
設備。
止める。
線。
その前。
余裕。
あるうちに。
回収側へ。
連絡する。
線。
◇
フィル。
書く。
回収相談線。
◇
「そこへ来たら?」
サデル。
「ダスさんへ連絡」
「その日に来る?」
「来られるとは限りません」
◇
「じゃあ意味ないだろ」
「逆です」
直人。
「来られない時間を見込んで、早く知らせるためです」
◇
警戒線。
直前。
呼ぶ。
今日。
来られない。
明日。
来られない。
その間。
利用。
続く。
◇
だから。
停止線。
より。
前。
回収。
相談。
◇
ダス。
頷く。
「それなら助かる」
◇
「俺が?」
サデル。
「毎日、水位を見る」
「見てる」
「相談線へ来たら?」
「ダスへ知らせる」
「俺が来られないなら?」
「利用の増え方を見て、受付を早く絞る」
◇
直人。
「はい」
◇
回収。
来ない。
なら。
満杯まで。
使う。
ではない。
◇
外部受付。
早めに。
止める。
第二便所。
通常利用者へ。
別施設。
案内。
できるだけ。
水位上昇。
抑える。
◇
フィル。
管理表。
追加。
◇
回収相談線到達――回収担当へ連絡。
回収日時確定まで水位上昇を監視。
必要時、通常外部受付を早期終了。
警戒線到達――全利用停止。
◇
サデル。
「相談線と警戒線」
「役割が違います」
「相談線は、まだ使える」
「はい」
「警戒線は、止める」
「はい」
◇
ダス。
「これなら俺も動ける」
◇
でも。
今日。
第二便所。
もう。
相談線。
近い。
◇
「明日は?」
サデル。
◇
ダス。
予定表。
見る。
「朝、第一便所」
「その後?」
「荷車に残りが出る」
「第二便所を部分回収」
「できる」
◇
全部。
空に。
しない。
でも。
数日分。
余裕。
戻す。
◇
「その後、処理先へ?」
フィル。
「そうだ」
◇
予定。
決定。
◇
翌朝。
第一便所。
予定通り。
回収。
◇
ダス。
第二便所へ。
移動。
◇
サデル。
水位。
回収前。
記録。
◇
回収。
開始。
◇
全部。
抜かない。
◇
ダス。
荷車。
残容量。
見ながら。
止める。
◇
「ここまで」
◇
サデル。
槽。
見る。
「まだ残ってるぞ」
「残していいんです」
直人。
◇
目的。
空っぽ。
ではない。
安全な。
余裕。
戻す。
◇
フィル。
記録。
第二便所――部分回収実施。
回収後水位――相談線より十分下。
◇
ダス。
「これなら次の通常回収まで持つ可能性はある」
サデル。
「可能性?」
「水位を見ろ」
◇
昨日まで。
利用者。
増えた。
今日。
さらに。
増えるかもしれない。
◇
予定。
作った。
から。
安心。
ではない。
◇
「毎日確認します」
サデル。
◇
第三便所。
その日。
朝。
◇
待機。
三人。
昨日。
四人。
◇
第二便所へ。
最初から。
向かう人も。
いる。
◇
利用。
少しずつ。
分散。
◇
フィル。
昼。
第二便所。
水位。
確認。
◇
上昇。
昨日ほど。
急ではない。
◇
「部分回収したから?」
オグ。
「それもあります」
「他は?」
「清掃水を減らしたことも」
◇
一つ。
だけ。
効いた。
わけではない。
◇
利用分散。
清掃基準。
部分回収。
早めの水位連絡。
◇
いくつか。
重なって。
余裕。
戻る。
◇
夕方。
ダス。
第三便所へ。
寄る。
「ナオト」
「はい」
「一つ頼みがある」
◇
「何でしょう」
「第三便所も」
ダス。
回収槽を見る。
「相談線を付けろ」
◇
直人。
止まる。
◇
第三便所。
今。
あるのは。
中間水位確認。
警戒線。
◇
「30利用で外を止めるんだろ?」
「第一週は」
「でも回収の都合は30利用じゃ分からん」
◇
ダス。
正しい。
◇
30利用。
受付。
管理。
◇
警戒線。
設備停止。
◇
その間。
回収を。
頼む。
基準。
まだ。
ない。
◇
「第二便所だけに相談線があって」
フィル。
「第三便所にはない」
「そういうことです」
◇
同じ。
回収担当。
使う。
設備。
違う。
でも。
回収連絡。
考え方。
同じ。
◇
「付けましょう」
直人。
◇
第三便所。
回収槽。
新しい。
目印。
◇
回収相談線。
◇
警戒線。
より。
下。
◇
そこへ。
到達したら。
利用停止。
ではない。
◇
ダスへ。
連絡。
◇
回収できる。
日時。
確認。
◇
必要なら。
新規外部受付。
30利用より。
前でも。
止める。
◇
オグ。
「30利用より前に?」
「設備状況によって早く受付終了する場合があります」
「札に書いてあるやつか」
「はい」
◇
ようやく。
入口札。
その一行。
本当に。
意味を持つ。
◇
フィル。
二つの便所。
管理表。
並べる。
◇
第三便所
20利用――中間確認。
30利用――第一週の新規外部受付終了。
回収相談線――回収担当へ連絡。
警戒線――全利用停止。
◇
第二便所
利用増加時――追加水位確認。
回収相談線――回収担当へ連絡。
必要時――外部受付調整。
警戒線――全利用停止。
◇
「数字は同じじゃない」
フィル。
「はい」
「でも役割は分けた」
「はい」
◇
確認。
する線。
相談。
する線。
受付。
止める線。
設備。
止める線。
◇
全部。
同じに。
しない。
◇
それぞれ。
何のための。
基準か。
分ける。
◇
その日の。
終わり。
◇
第二便所。
警戒線。
余裕。
◇
第三便所。
警戒線。
余裕。
◇
ダス。
回収予定。
翌日以降。
調整。
◇
サデル。
息。
吐く。
「これで少し安心できる」
「少し?」
オグ。
「少しだ」
◇
直人。
その言葉に。
頷く。
◇
設備。
使う。
限り。
完全に。
安心。
なんて。
ない。
◇
だから。
止まる前。
知らせる。
◇
あふれる前。
動く。
◇
翌朝。
フィル。
回収記録。
まとめる。
◇
「直人さん」
「はい」
「ダスさんの回収先」
紙。
見る。
「増えてます」
◇
第一便所。
第二便所。
第三便所。
周辺長屋。
店。
◇
便所。
増えれば。
当然。
回収。
増える。
◇
「今はダスさん一人ですよね」
「はい」
◇
フィル。
「便器を増やす方ばかり考えてましたけど」
一拍。
「回収する人が足りなくなったら?」
◇
直人。
回収予定表。
見る。
◇
便器。
作れる。
◇
水。
流せる。
◇
排水。
つなげる。
◇
でも。
最後に。
溜まったものを。
運ぶ人が。
いなければ。
◇
町の便所は。
増やせない。
第二便所の回収槽が予定より早く上がったため、今回は汲み取り計画を見直しました。
単純に第二便所の回収を一日早めると、今度は予定されていた第一便所の回収が遅れます。
そこで、
既存の回収予定をむやみにずらさない
荷車の残容量を使って部分回収する
警戒線より前に「回収相談線」を設ける
という運用へ変更しました。
回収相談線は使用停止の線ではありません。
そこへ達した時点で回収担当へ連絡し、来られる日時を確認するための基準です。
第三便所にも同じ考え方を導入しました。
そして次に見えてきたのは、もっと大きな問題です。
便器が増えれば、回収する場所も増えます。
現在、その回収を担っているダスは一人。
次は、便所を増やす速度と、汲み取りを担う人手の限界を考えます。




