第73話 第三便所の列が減っても、第二便所の水を増やさないでください
第三便所。
朝の列。
少し。
減りました。
でも。
利用者が。
消えたわけではありません。
向かった先は。
第二便所。
そして今度は。
そこで使う。
清掃水が増えました。
「第二便所、昨日は清掃水がかなり増えています」
フィルが。
記録板を。
差し出した。
第三便所。
朝。
入口には。
四人。
昨日より。
二人少ない。
◇
オグ。
列を見る。
「こっちが減った分、向こうへ行った?」
「その可能性があります」
「じゃあ狙い通りじゃないのか?」
直人は。
首を振る。
「利用が分かれたことと、負担が適正かどうかは別です」
◇
第三便所。
混雑。
減る。
第二便所。
利用。
増える。
そこまでは。
分散。
でも。
第二便所で。
水。
清掃。
回収槽。
無理が出れば。
ただ。
負担を。
移しただけ。
◇
「第二便所へ行きましょう」
◇
サデル。
入口で。
待っていた。
「来ると思った」
「清掃水が増えたと聞きました」
「ああ」
サデル。
記録帳。
開く。
◇
直人。
まず。
昨日だけ。
見ない。
前の日。
その前。
さらに。
その前。
並べる。
◇
第二便所。
通常時。
清掃水。
大きな変化。
なし。
それが。
昨日。
急に。
増えている。
◇
「利用数も増えていますね」
フィル。
「第三便所の列を見て、こっちへ来た奴が多かった」
サデル。
「代替札は?」
「一枚も来てない」
◇
直人。
そこ。
確認。
「つまり、昨日増えた人は正式な代替利用ではない」
「そうだ」
◇
第三便所。
止まっていない。
利用者が。
自分で。
第二便所を選んだ。
◇
これは。
代替利用。
ではない。
第二便所の。
通常利用。
◇
「そこは分けて記録しましょう」
フィル。
書く。
第三便所停止時――代替利用。
利用者自身が第二便所を選択――第二便所通常利用。
◇
オグ。
「同じ人がこっちから向こうへ行っても?」
「理由が違います」
「札を持って送るのが代替」
「はい」
「自分で行くのは普通の客」
「そうです」
◇
サデル。
「で、水だろ」
「はい」
◇
直人。
第二便所。
中。
見る。
床。
乾いている。
便器。
清潔。
臭い。
強くない。
◇
「昨日、汚れがひどかったですか?」
「そこまでじゃない」
サデル。
「じゃあ、なぜ清掃水が増えました?」
◇
サデル。
一瞬。
黙る。
「人が増えたからだ」
「どのくらい汚れたら清掃しました?」
「そこまでは決めてない」
◇
「では、何を目安に?」
「第三便所から流れてくる奴が増えただろ」
「はい」
「床が汚れてからじゃ遅いと思った」
◇
サデル。
床。
指す。
「何人か続けて入ったら、一度水を流した」
◇
オグ。
「汚れてなくても?」
「念のためだ」
◇
直人。
責めない。
記録を見る。
◇
利用。
増えた。
それを見て。
清掃も。
増やした。
◇
考え方。
間違い。
とは。
言い切れない。
利用が増えれば。
汚れやすくなる。
◇
でも。
利用数だけで。
毎回。
床へ水。
流す。
それでは。
必要以上に。
清掃水が。
回収槽へ入る。
◇
「サデルさん」
「何だ」
「昨日、追加清掃した時の理由は残っています?」
「人が増えたから」
「床の汚れは?」
「書いてない」
「臭いは?」
「書いてない」
「濡れは?」
「それも」
◇
直人。
頷く。
「では、清掃が多すぎたかどうかも判断できません」
◇
「汚くなるまで放っておけって?」
「違います」
◇
直人。
便所内。
四か所。
指す。
「見る場所を決めましょう」
◇
便器。
床。
座る場所。
臭い。
◇
「ここに異常があれば追加清掃」
「なければ?」
「予定の確認だけ」
◇
サデル。
「何人使ったかは見ない?」
「見ます」
「じゃあ」
「利用数は確認するきっかけです」
◇
利用が。
増えた。
だから。
確認。
する。
でも。
利用が。
増えた。
だから。
必ず水を流す。
ではない。
◇
フィル。
紙。
新しく。
四行。
◇
追加清掃の確認項目
便器に目立つ汚れ。
床に濡れ・汚れ。
利用箇所に汚れ。
通常より強い臭気。
◇
「一つでもあったら?」
サデル。
「必要な場所を清掃します」
「床全部?」
「汚れた場所だけで済むなら、そこだけです」
◇
オグ。
「水で全部流した方が早くない?」
「早い時もあります」
「なら」
「その水も回収槽へ入ります」
◇
オグ。
「あ」
◇
床を。
きれいにするための水。
消える。
わけではない。
排水先。
ある。
回収槽。
入る。
◇
一つの負担を。
減らすため。
別の負担を。
増やす。
それでは。
意味がない。
◇
「まず布で取れる汚れは取る」
直人。
「必要な場所だけ水を使う」
「臭いが残ったら?」
「追加します」
「最初から多く流さない」
「はい」
◇
サデル。
「面倒だな」
「最初だけです」
「慣れたら?」
「見れば判断できます」
◇
サデル。
少し。
考える。
「それならやれる」
◇
フィル。
さらに。
記録欄。
追加。
◇
追加清掃――あり・なし。
理由――便器・床・汚れ・臭気・その他。
追加水量。
◇
「理由まで?」
サデル。
「一週間だけでも」
「また一週間」
「第一週なので」
◇
サデル。
ため息。
でも。
笑っている。
◇
その時。
第二便所。
外。
三人。
◇
「使える?」
「使える」
サデル。
答える。
◇
一人目。
利用。
二人目。
利用。
三人目。
利用。
◇
サデル。
清掃道具へ。
手。
伸ばす。
◇
途中。
止める。
◇
便器。
見る。
床。
見る。
臭い。
確認。
◇
「……何もないな」
「なら追加清掃なしです」
◇
フィル。
記録。
三利用後確認――追加清掃なし。
◇
「昨日なら水流してた」
サデル。
「それが昨日との差ですね」
◇
昼。
第二便所。
利用。
続く。
◇
五利用。
六利用。
七利用。
◇
床。
少し。
泥。
◇
サデル。
「これは?」
「清掃です」
◇
布。
泥。
取る。
残った。
薄い汚れ。
そこだけ。
少量の水。
◇
便所全体。
水。
撒かない。
◇
フィル。
記録。
追加清掃――床。
理由――泥汚れ。
◇
サデル。
床を見る。
「これで十分だな」
「はい」
◇
午後。
第三便所。
直人たち。
戻る。
◇
オグ。
「こっちは?」
フィル。
利用記録。
見る。
「朝の列は最大四人。その後は二人以下です」
「昨日より減った?」
「はい」
◇
第二便所へ。
行く人。
増えた。
第三便所。
待つ人。
減った。
◇
ここだけ。
見れば。
成功。
◇
でも。
直人は。
両方。
見る。
◇
「夕方、第二便所の記録も確認します」
◇
第三便所。
20利用。
中間確認。
回収槽。
余裕。
◇
継続。
◇
その後。
27利用。
◇
酒場。
混み始める。
◇
28。
29。
30利用。
◇
新規。
通常外部受付。
終了。
◇
宿泊客。
酒場客。
利用。
継続。
◇
最終。
34利用。
◇
設備異常。
なし。
回収槽。
警戒線。
未到達。
◇
日暮れ。
第二便所。
◇
サデル。
記録帳。
机。
置く。
「見ろ」
◇
利用数。
昨日と。
大きくは。
変わらない。
◇
でも。
清掃水。
減っている。
◇
「汚れは?」
直人。
「昨日と変わらん」
「臭いは?」
「問題なし」
「滑りやすい床は?」
「なし」
◇
追加清掃。
何度か。
実施。
ただし。
理由。
あり。
◇
泥。
一回。
便器汚れ。
一回。
床濡れ。
一回。
◇
それ以外。
確認だけ。
◇
「これなら」
サデル。
「昨日の水は使いすぎだったな」
「結果を見る限りは」
◇
直人。
昨日の。
サデルを。
責めない。
◇
昨日。
利用者。
急に。
増えた。
だから。
念のため。
清掃。
増やした。
◇
問題は。
それを。
誰も。
基準にしていなかったこと。
◇
「第三便所でも同じにします」
オグ。
「こっちも?」
「はい」
「朝昼夜の清掃はそのまま?」
「そのままです」
「追加清掃だけ、状態を見て」
「そうです」
◇
施設。
違う。
でも。
清掃判断。
基本。
同じ。
◇
フィル。
清掃基準。
二枚。
作る。
◇
定時確認――朝・昼・夜。
追加清掃――汚れ・濡れ・臭気などを確認して実施。
利用数だけを理由に一律で水を流さない。
◇
第二便所。
一枚。
第三便所。
一枚。
◇
オグ。
「やっと同じになった」
「全部同じにはしません」
「え?」
「設備が違うので」
◇
回収槽。
大きさ。
違う。
利用者。
違う。
排水。
違う。
料金。
違う。
◇
同じにする。
部分。
同じにしない。
部分。
そこ。
分ける。
◇
サデル。
記録帳。
閉じようとする。
その手。
止まる。
◇
「ナオト」
「はい」
「水は減った」
「はい」
「でもな」
◇
サデル。
回収槽。
指す。
「槽の上がり方は、やっぱり早い」
◇
直人。
見る。
◇
清掃水。
減らした。
それでも。
昨日までより。
水位。
上昇。
早い。
◇
理由。
単純。
第二便所。
使う人そのものが。
増えている。
◇
「次の汲み取り予定は?」
直人が聞く。
サデル。
記録帳。
後ろ。
開く。
◇
「三日後」
◇
フィル。
現在の。
水位を見る。
◇
「この増え方で?」
「だから呼んだ」
◇
清掃水。
無駄。
減らした。
◇
でも。
利用者。
増えた分。
回収槽。
確実に。
埋まる。
◇
第三便所の。
混雑を。
分けた。
結果。
今度は。
第二便所の。
汲み取り予定。
ずれ始めた。
◇
直人。
予定表。
見る。
◇
便所を。
分散させる。
なら。
利用だけ。
分散。
では。
足りない。
◇
回収する側の。
予定も。
動かさなければ。
ならない。
第三便所から第二便所へ利用者が移り、第二便所の清掃水が増えた原因を確認しました。
利用者が増えたことに加え、第二便所側が「汚れる前に」と、利用数だけを基準に追加清掃していたことが原因でした。
そこで、
利用数は清掃確認のきっかけ
実際の汚れ・濡れ・臭気を見て追加清掃
必要な場所だけ清掃
という基準へ変更。
利用が多くても、状態に問題がなければ一律に水を流さない運用へ整理しました。
清掃水は減りました。
しかし、第二便所そのものの利用者は増えています。
その結果、今度は回収槽が予定より早く上昇。
次は、第三便所と第二便所を別々に考えていた汲み取り予定を見直します。




