第71話 受付を終えても、緊急利用まで締め出さないでください
通常運用。
第二日目。
当日の総利用。
30利用。
第一週の。
新規外部受付。
終了。
その直後。
腹を押さえた男が。
駆け込んできました。
「すみません!」
男。
入口へ。
駆け込んでくる。
顔。
青い。
片手。
腹。
「便所――」
◇
オグ。
入口札を見る。
本日の新規外部受付は終了しました。
記録板。
30利用。
そして。
男。
◇
「外部受付は――」
言いかける。
直人が。
管理表を。
開いた。
◇
通常時。
30利用到達。
新規外部受付終了。
その下。
緊急時――別ルール。
◇
「オグ」
「はい」
「緊急扱いです」
◇
男。
腰。
少し。
折れている。
額。
汗。
話を。
長く聞く状態ではない。
「先に使ってください」
「金――」
「後でいいです」
◇
オグ。
扉。
開ける。
「中へ」
◇
男。
入る。
扉。
閉まる。
◇
ごう。
一回。
◇
フィル。
記録。
31利用。
その横。
別欄。
緊急利用 1。
◇
「31利用にするんですね」
フィル。
「はい」
「30利用を超えたけど?」
「超えます」
◇
30利用。
設備停止。
ではない。
新しい。
通常の外部利用。
受け付けるのを。
止める線。
◇
緊急利用。
入れば。
総利用数。
31。
32。
増える可能性。
ある。
◇
「じゃあ30って何なんだ」
モルド。
少し。
笑う。
「またそこ?」
「いや、確認だ」
◇
直人。
短く答える。
「通常の新規外部受付を止める基準です」
「設備の限界じゃない」
「はい」
「緊急は別」
「はい」
◇
扉。
開く。
男。
出てくる。
顔色。
少し。
戻っている。
「助かりました」
「支払いできますか?」
オグが聞く。
男。
腰袋。
触る。
小銅貨。
一枚。
「あります」
◇
支払い。
完了。
フィル。
追記。
緊急利用 1。
料金免除 0。
◇
「ありがとうございました」
男。
頭。
下げる。
出ていく。
◇
そこで。
直人は。
回収槽を見る。
「水位、確認します」
オグ。
「31利用だから?」
「違います」
◇
30利用。
超えた。
から。
ではない。
通常外部受付を。
終了した後も。
宿泊客。
酒場客。
緊急利用。
続く。
だから。
今。
どれだけ。
余裕があるか。
把握する。
◇
回収槽。
水位。
確認。
警戒線。
まだ。
届いていない。
◇
「余裕あり」
フィル。
記録。
「通常利用は?」
「宿泊客と酒場客は継続」
「外部は?」
「通常受付終了のままです」
「緊急は?」
「その都度、別ルール」
◇
整理。
一度。
それだけ。
◇
オグ。
入口札。
見る。
「でも」
「はい」
「この札だと、緊急の奴も帰らないか?」
◇
直人。
止まる。
◇
本日の新規外部受付は終了しました。
◇
確かに。
それだけ。
読めば。
外の人間。
全部。
断られた。
そう。
見える。
◇
「下に」
フィル。
昨日までの。
案内板。
指す。
緊急の場合は管理者へ申し出てください。
「ここには書いてあります」
「でも」
オグ。
「終了札を上から掛けたら、そっち見ないぞ」
◇
直人。
入口。
少し離れて。
見る。
◇
大きい。
終了札。
目立つ。
その下。
通常案内。
小さい。
◇
これでは。
緊急利用。
制度として。
決めても。
入口で。
止めてしまう。
◇
「直します」
◇
終了札。
外す。
新しい札。
フィル。
書く。
◇
本日の通常外部受付は終了しました。
その下。
大きく。
緊急の場合は管理者へ。
◇
オグ。
「通常って入れた」
「はい」
「緊急も同じ札にした」
「はい」
◇
通常。
終了。
緊急。
継続。
入口。
一枚。
見れば。
分かる。
◇
モルド。
「これならいい」
◇
その時。
外。
年配の女。
立ち止まる。
札。
読む。
「今日はもう駄目かい?」
オグ。
「通常の外部利用は終了です」
「そうか」
女。
頷く。
歩き出す。
◇
その後ろ。
若い男。
札。
読む。
少し。
迷う。
「緊急って、腹痛でも?」
「はい」
「じゃあ」
男。
腹。
触る。
「俺も緊急」
◇
オグ。
直人を見る。
◇
来た。
次。
問題。
◇
「どのくらい急ぎますか?」
オグが聞く。
「かなり」
「立っていられない?」
「いや、そこまでは」
「体調が悪い?」
「別に」
◇
男。
少し。
笑う。
「でも便所は行きたい」
◇
オグ。
眉。
寄せる。
「それは全員そうだ」
◇
直人。
割って入る。
「第二便所は使えます」
「そっち行くの?」
「通常外部利用なら」
◇
男。
「こっちの方が近い」
「そうですね」
「じゃあ緊急って言えば使える?」
◇
入口。
空気。
少し。
固くなる。
◇
緊急。
自己申告だけ。
なら。
何でも。
通る。
そう。
見える。
◇
でも。
便意の。
強さ。
外から。
完全には。
測れない。
◇
長い。
審査。
すれば。
本当に。
困っている人まで。
止める。
◇
直人。
男へ。
言う。
「緊急利用は、通常の受付が終わった人を近道させる制度ではありません」
「じゃあ基準は?」
「移動が難しい。体調が悪い。子どもや高齢者で待つのが危ない。そういう時です」
「腹が痛いって言ったら?」
「使ってもらいます」
「嘘でも?」
◇
オグ。
「おい」
直人。
手。
軽く上げる。
◇
「嘘かどうかを入口で証明させません」
「じゃあ通れるじゃん」
「その利用は緊急利用として記録されます」
「それだけ?」
「はい」
◇
男。
拍子抜け。
した顔。
◇
「ただし」
直人。
続ける。
「同じ扱いが増えれば、第一週の運用そのものを見直します」
◇
緊急利用。
増える。
なら。
30利用という。
通常外部受付終了基準。
現実に。
合っていない。
可能性もある。
◇
あるいは。
案内。
悪い。
第二便所。
遠い。
料金。
別。
理由。
別。
◇
「一人を捕まえて」
直人が言う。
「嘘つきかどうか決めるより、なぜ緊急扱いを求める人が増えたかを見る方が先です」
◇
男。
少し。
困った顔。
「……そこまで急いでない」
「第二便所なら受付中です」
「分かった」
◇
歩いていく。
◇
オグ。
「今のは?」
「通常外部利用です」
「本人が認めたから?」
「はい」
「認めなかったら?」
「緊急として扱います」
◇
モルド。
「甘くないか?」
「入口で事故を起こすよりは」
◇
それ以上。
揉めない。
◇
フィル。
管理表。
緊急時欄。
下。
短く。
追加。
◇
緊急利用は長時間の審査をしない。
利用後、理由分類のみ記録。
◇
「名前は?」
「不要です」
「回数は?」
「残します」
◇
夕方。
三十二利用。
宿泊客。
三十三利用。
酒場客。
◇
回収槽。
水位。
上がる。
でも。
警戒線。
まだ。
余裕。
◇
三十四利用。
宿泊客。
◇
オグ。
記録板。
見る。
「30利用超えてると、なんか怖いな」
「数字だけ見ると」
「うん」
◇
「だから水位を見ます」
◇
30。
禁止。
ではない。
30。
通常外部受付。
止める。
線。
◇
警戒線。
設備。
止める。
線。
◇
この二つ。
混ぜない。
◇
日が。
落ちる。
外部利用。
通常受付。
終了したまま。
酒場。
客。
増える。
◇
36利用。
◇
フィル。
「今日、最終確認します?」
「します」
◇
回収槽。
水位。
警戒線。
未到達。
接続部。
漏れ。
なし。
排水。
異音。
なし。
通気口。
追加物。
なし。
◇
「通常運用第二日」
フィル。
日報。
まとめる。
◇
総利用――36利用。
30利用到達後、新規通常外部受付終了。
緊急外部利用――1利用。
料金免除――0。
設備異常――0。
警戒線未到達。
◇
オグ。
「30利用で外を止めたのに、36利用まで行った」
「はい」
「最初に聞いたら矛盾してると思ったな」
「だから」
直人。
入口札を見る。
「何を止める数字なのか、決めておく必要があります」
◇
30利用。
止めるのは。
設備。
ではない。
新規。
通常外部受付。
◇
その夜。
宿泊客。
一人。
便所から。
出てくる。
「いい便所だな」
何気なく。
言う。
◇
オグ。
「どうも」
◇
その客。
入口札。
見る。
「でも外の人は、30利用で使えなくなる?」
「通常利用は」
オグ。
今度は。
迷わない。
「緊急なら別です」
◇
直人。
少し。
笑う。
◇
制度。
紙の上。
ではなく。
管理する人。
口から。
同じ説明。
出る。
そこまで。
来た。
◇
翌朝。
第三便所。
前。
いつもより。
早く。
人。
集まっている。
◇
オグ。
外を見る。
「何だ?」
◇
外部利用者。
六人。
もう。
待っている。
◇
「昨日30利用で終わったって聞いた」
一人が言う。
「だから」
別の男。
「今日は早く来た」
◇
直人。
列。
見る。
◇
30利用。
受付終了。
決めた。
その結果。
今度は。
外部利用者が。
朝へ。
集中した。
30利用到達後、腹痛の外部利用者を緊急利用として受け入れました。
ここでも、
30利用=設備停止ではない
ことを実際の運用で確認しています。
30利用で終了するのは、あくまで新規の通常外部受付です。
そのため緊急利用は31利用目として記録し、その後も宿泊客・酒場客の利用は継続。
一方、入口の「受付終了」表示では緊急利用者まで帰ってしまう可能性があったため、
本日の通常外部受付は終了しました
緊急の場合は管理者へ
と一枚の札に統一しました。
第二日目は最終的に36利用。
設備異常なし、回収槽警戒線も未到達。
ただし30利用制限を知った外部利用者が、翌朝早くから並び始めました。
次は、利用制限によって朝へ集中した外部利用者の列を扱います。




