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決戦の朝って素敵やん

 色々あった翌日、俺は朝早くに目が覚めひとり闘技場のグラウンドに降りてみる事にした。

 警備係の生徒達が静かに巡回しているので俺は挨拶をし、グラウンドに降りて良いか聞いてみた。

 警備の生徒は俺の事を知っていたのか快く許可してくれた。


 「あ~~~あっと!ひとまず、あれから何もなかったみたいで良かった良かった」


 グラウンドに降りた俺は大きく伸びを一発する。

 シンと静まった朝の空気は気持ちが良い。


 『ズバァァァァン!!』


 「ナイキャ」


 お?こんな朝早くから投球練習してる子がいるのか?誰だ誰だ?

 俺は音がする方を見た。

 投げているのはメイのようだが受けているのはドギューズのユニフォームじゃない。

 あれはじゃあワイルドフェニックスの選手か?

 俺は気配を薄くしてその練習をしばらく眺めた。

 今日対戦する相手の選手と投球練習するとは、メイの奴も度胸があるのかなんなのかわからんけど今日は親善試合だからな。そんなにピリピリしないでもいいか。

 まあ一部、ピリついてる連中もいるけどもな。

 

 「そちらさんはドギューズの方っすか」


 いきなりキャッチャーをやっていた生徒がガバっと立ち上がり面体を外して声を発した。


 「あ、すんませーーん。邪魔するつもりはなかったんですけど」


 俺は笑って手を振る。


 「なに?ジミっち?早いじゃん」


 メイが額の汗を拭きながら俺を見た。

 どうやら投球に集中するあまり俺の存在に今の今まで気が付かなかったようだ。

 

 「ああ、すいませんです。自分が無理言って練習に付き合わせてしまって、彼女を怒らないで下さい。私も別に今日の試合のためのスパイとかそういう意思はまったくないんで」


 キャッチャーをやっていた女生徒が走って来て俺に言い頭を下げた。

 かなり必死な様子が伺える。真面目な子なようだ。


 「いやいやいやいや、そんな事はまったく心配してないから。親善試合だし。こちらこそ練習に付き合って貰っちゃってありがとうです」


 俺は恐縮して手を振り頭を下げる。


 「あっはっは、だから言ったっしょー?うちのメンツはそんな事、気にしないって」


 メイが笑って言う。


 「いや、メイちゃんはそう言うけどさ。うちのリーダーがさあ、ほら、失礼な感じ出してたでしょ?だから、やっぱりうちのチームの事、良く思ってないんじゃないかな~って」


 「まあ、若い子はまだちょっとピリついてるかもだけど。他のメンツはみんな大人だからね。ジミっちは特に老成してるからね、ホント、年齢偽ってんじゃないかってくらい」


 「えへへへへ、どーもです」


 俺はてへへと頭に手をやり挨拶をする。


 「あ、すいません自己紹介がまだでしたね。私はレネ・シューマー、ワイルドフェニックスの捕手やってます、お会いできてうれしいです」


 「あ、これはこれはご丁寧にどうもトモ・クルースです」


 笑顔で握手を求められて俺は恐縮する。

 シューマーさんはぽっちゃり系の可愛らしい女の子で笑うとえくぼができてなんとも愛嬌がある。


 「真に受けんなっつーの」


 メイが茶化す。


 「真に受けてなんかないやい」


 俺は精一杯強がる。ホントは真に受けてたけど。


 「いえいえ、お追従なんかじゃないですよー。ホントに本心で言ったんですから」


 シューマーさんは笑ってそう言ってくれた。


 「ほら見ろー」


 俺はメイに言ってやる。


 「そういうとこ子供っぽいんだよなー」


 「まあまあ、でもホントに会いたかったんですよ

 メイの言葉にそんな事を言ってくれるシューマーさん。この子、いい子やん。


 「なんで?俺の事、知ってたの?」


 「ええ、親戚の子がお世話になったから」


 シューマーさんはとびきりの笑顔で俺を見る。


 「親戚の子?」


 「そう、ハリス君。覚えてません?」


 「ハリス君ってもしかしてハワード・ハリス君?」


 「そうです、母の妹の子なんですよ」


 「マジかー、世間は狭いな~。ハリス君、元気?」


 俺は驚く。ハリス君はコラス達とお助け隊のヘルプをやっていた時に知り合った子で、お父さんは大臣補佐官をしており農水大臣の懐刀と言われる切れ者なのだ。

そう言われて見るとハリス君とシューマーさんは似て言うような気がしないでもないな。


 「元気も元気、元気いっぱいですよー。パパとママが仲良くなったのはクルースさんのおかげだって、嬉しそうに話すんですよー。だから一度、会って感謝したいなあと。その節はありがとうございました」


 そう言ってペコリと頭を下げるシューマーさん。


 「いやいやいやいや、俺は別に夕飯に招かれてお話しさせて頂いただけでして、別にそんな大それたことをしたわけじゃあなくって興味深い話しを聞かせて貰っただけで…」


 俺はへどもどしながらそう言った。

 メイが笑って俺を見ている。

 

 「いえいえ、そんな事ありませんって。ギャビンおじさまもまたお会いしたいって仰ってたし」


 「そんなそんな、あまりおだてないで下さいよ」


 「おだててなんていませんよー。本当の事、言っただけですもん」


 「前置きはそのくらいにして、本題に入ったらレネっち」


 「いや、でも、やっぱり、いいの」


メイが声をかけると、シューマーさんの顔が曇った。

おおっと?こりゃまたなんかトラブルなのか?


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