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頑固なぬめりの正体は?て素敵やん

 「新種って、どういう事です?なんでそんなのがここに?」


 俺は警備の子に尋ねる。

タッタッタと走り寄る足音が聞こえ別の警備の子がふたりこちらにやって来た。


 「AからCブロック掃討完了です」


 やって来た子が言う。


 「了解です。けが人は?」


 「驚いて転んだ生徒がふたり、同じく驚いて持っていたお湯をこぼして軽度の火傷を負った教員がひとり確認されていますがともに軽傷です」


 「ご苦労様です。Dブロック以降の対応をお願いします」


 「了解しました!」


 やって来た警備の子は走って去って行った。


 「何が起きているんです?」


 俺は警備の子に尋ねる。


 「先ほどのスライムが同時多発的に出現しまして、対応に追われているんです」


 こいつがまだいるって事かよ。んじゃ、俺も掃討作戦に参加しなきゃじゃないの。でも、こいつの弱点ってなんなんだ?さっきの白い煙がそうなのか?


 「さっきの白い煙は?」


 俺は尋ねる。


 「冷気術式です。どうやら低温に弱いようなので」


 「なるほどね。わかった、俺も掃討作戦に協力するよ」


 前世で見たホラー映画に出ていた宇宙から来た粘液状物体の弱点と同じだな。

 

 「飲み込まれると消化されますので注意して下さいね」


 「まじで?良く無事だったね俺」


 俺は顔が青くなる。


 「常時身体強化術式を構築しているとお伺いしましたが、そのためかと」


 警備の子が俺に言う。そういや、ヤスミーナさんが俺の事を紹介するのに色々と言ってたっけ。信頼を得るためと思ってある程度の事にはオッケーを出したけど。まあ、俺の場合、ホントは術式じゃなくって術なんだけど、その辺は説明がめんどくさいからな。

 

 「本来であればあれだけ飲み込まれていれば服もその程度のダメージでは済みません。そうとう丁寧に練られた術式を構築されておられるようですね。よろしければ今度、ご教授願えませんか?」


 「あ、ああ、機会があれば。じゃ、俺も掃討作戦に参加して来まーす!」


 「お気をつけて」


 面倒な事になりそうだったので俺はそそくさとその場を後にする。

 同時多発的に新種のスライムか。

 どう考えても偶発的事故ではあるまい。

 走って闘技場内を見回るがどこもすでに掃討完了済みのようで、術式武具を手にした警備の子達が地面に散らば った粘液を除去しているところであった。

 どうやら同時と言うのは言葉通りのようだ。

 俺の出番はなさそうかな。

 ぼちぼち円形闘技場を一周しようとしたその時。


 『ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ』


 周囲の気配に気をやっていた俺の耳に奇妙な音が飛び込んで来た。

 俺は立ち止まり目を閉じ、音の発信源を感じ取る。

 

 「……!」


どうやら音の出どころは地面の下からのようだな。

俺は場内案内板のある所までダッシュする。


「あったあった」


案内板によるとしばらく行った先に地下へ通じる階段があるようだ。

どこかに警備班の子はいないか?

俺は階段に向かいながら周囲を確認するが近くには見当たらないようだ。


『ゴボゴボゴボボッボオボボボボ』


 奇妙な音は強くなっている。こりゃ、誰かを呼びに行ってる暇はなさそうだ。

 俺は階段をゲイルダッシュでいっきに降り文字通り飛ぶようにして地下へ向かう。

 地下室は闘技場の各種設備が密集しているようで、通路のトビラにはそれぞれ照明、通換気などとプレートが貼られていた。

 俺は音の出どころを探り探り先に進む。


 『ボボボッボボゴボボボッ』

 

 「ここか」


 俺は上下水と書かれたプレートが貼られたトビラをそっと開ける。

 

 『ゴボボボボボッボオボボボボボボボボボオボボ』


 部屋の中にはい回る太い配管から奇妙な音が発生している。

 

 『ビキッビキビキビキビキ』


 なんかヤバイ音がしてるぞ。

 

 『ガキィィィィイィィッィィィィィィン』


 デカイ音がして太い配管が破裂する。

 

 『ブッシャァァァァァァァァァァァァ』


 破裂した配管からヌラヌラした液体が噴き出してくる。


 「うひゃ!」


 俺は咄嗟に魔法で飛散液を凍らせる。


 『カッキィィィン』


 凍った飛散液が地面に落ちて割れる。


 「ヌゥゥゥウゥゥォォォォォォロォォォォォォォ」


 破裂した配管から獣の唸り声のような洞窟を通り抜ける暴風のような、何とも言えぬ不快な音が発する。

 

 『ゾリ…ゾリゾリ……ゾ…リ…』


 破裂した配管の隙間から聞こえる音は遠ざかっている。


 「大丈夫?って、うわ~もしかして親玉と戦った?」


 配管の音に耳を澄ませていると、走って入って来たコラスが驚きの声を上げた。


 「おっ、コラスか。なんだよ親玉って?」


 「いや~ヤスミンが言ってたのよ~。上の騒ぎってさ、あれ全部子供みたいなんだってさ~。てことはどこかに親玉がいるに違いないってわけでさ~。今、親玉が居そうなトコを片っ端から探してたのよ~。やっぱクルポン、持ってるね~」


 「そんなん持ってたくないよ。んでどーする?親玉遠ざかってくよ?」


 俺は破裂した配管から聞こえる音を風魔法のサウンドコレクションでとらえながら言う。


 「そりゃ、追跡するっしょ~。行くよクルポン!」


 コラスは楽しそうな声を上げ部屋を出て行った。

 行くよって言われてもなあ。

 

 「ほら~早く来ないと置いてっちゃうよ~ん」


 コラスの呑気な声が地下通路に響く。

 こりゃ、行かないわけにゃあいかなくなってきたぞ。

 

 「ちょ待てよ!」


 俺はコラスの後を追いかけるのだった。


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