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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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あくまで毒毒モンスターって素敵やん

 凄腕秘密諜報員なのか未来からやって来た殺人サイボーグなのか良くわからなくなってしまったが、俺はフーカさんから多機能便利サングラスを受け取り装着すると浄水場周りをうろついてるコカトリスどものところに向かった。

 

 「ホントに石化しないんだよね?」


 俺は通信機能で話しかける。


 「きっちり試験を重ねてますので大丈夫ですドーーンと行ってください」


 「信じちゃうからね」


 浄水場に潜入中なのか小声で言うフーカさんに俺は祈るように言いコカトリスの前に立ちはだかった。

 

 「コケコケコケ」


 鶏と同じような声で地面をつついている六羽のコカトリス達。サイズは大型バイク位か?

 とにかく、コウモリの羽と蛇のような尾をしたデカイ鶏だ。

 

 「トートットット」


 俺は前世で良く農家の人などが鶏を呼ぶときの声をマネする。


 「なんですかそれは?」


 通信機の向こうでヤスミーナさんが俺に問う。


 「いやうちの地元じゃ鶏呼ぶときこう呼ぶんだよ、トーットットットット」


 「鶏と一緒にしてると怪我しますよ!」


 小さな声だがヤスミーナさんに叱られた。小さな声でフーカさんの笑い声が聞える。ううむ、通信機の性能が良すぎるのも考え物だ。


 「コケ?」


 おっと、コカトリスちゃんが俺に気付いたみたいだ。全員が動きを止め俺の方を見た。

 

 「よっ」


 俺はコカトリスに軽く手を上げる。


 「コッコッコッコ」


 コカトリスは小さく鳴くと首をかしげた。

 どうやら、俺が石化していない事を不思議がってるようだ。

 ふふふ、最新技術をもってすれば貴様らの瞳術などこんなものよ。


 「コケッ!」


 コカトリスは短く鳴くと素早い動きで距離を詰め鋭い足の爪で俺を攻撃する。


 「ぬおっ!結構はええ!」


 俺は焦って横っ飛びに避ける。


 「だかた油断するなと言ったでしょ」


 ヤスミーナさんに叱られる。ちぇ、でも鶏ってのは素早く動く生き物なんだよな。前世の有名ボクサーも鶏を捕まえる事で素早く動く訓練をしたとかしないとか。


 「コッ!」


 コカトリスの奴らは生意気にも連携をとって攻撃をして来やがる。

 おかげでこっちは息つく暇も魔力を練り上げる暇もない。


 「大丈夫ですか?ヘルプに行きますか?」


 「ダイジョブ」


 俺は短く答えるとゲイルダッシュで空中に浮かんだ。


 「コッ!」


 コカトリスの奴もジャンプして攻撃をしてきた。気のせいか勝ち誇っている表情にも見える。こっちも飛べるんだよとでも言いたいのか?

 俺だってそのくらいの予想はしとるわい。鶏が本気をだしゃあそこそこ飛べるの知っとるのよこっちは。


 「ただ、空中で自在に方向を変える程のレベルじゃない事もな」


 俺は空中で呼吸を整え落ち着いてコカトリスどもに空雷弾を当てていく。

 俺の攻撃を喰らったコカトリスは鳴く暇もなく身体を硬直させて地面に落下する。

 周囲に焦げたような臭いが漂う。

 ちょっと威力が強すぎたか。

 魔獣が相手と思って人相手の時よりも強めでいったからな。


 「よっよっよっと」


 俺は空中に浮きながら飛んで来るコカトリスを威力調整した空雷弾で撃ち落とす。


 「コッ!」


 最初の合わせて四羽目を撃ち落とした時、一羽のコカトリスが残ったコカトリスの頭を踏み空中で軌道を越えてこちらに向かって来た。

 俺の放った空雷弾は二発とも頭を踏みつけられたコカトリスに当たる。

 軌道を変えたコカトリスがシッポで攻撃して来た。


 「っと!どっこい!」


 俺はコカトリスのシッポに蹴りをぶつけその勢いで奴の更に上に飛ぶ。

 

 「これがほんとの一枚上手ってか」


 俺は奴の高所より空雷弾を撃ち込む。


 「はい、ご苦労様―」


 落下するコカトリスを見て俺は軽く声をかける。


 「動くな!」


 「って、声かけちゃダメっしょ!」


 通信機の向こうからふたりの声がする。

 

 「ダイジョブか!」


 俺は慌てて声をかける。


 「バカみたいに撃ち返してきますー!」


 ヤスミーナさんの声がする。


 「声なんてかけるからでしょー!」


 バチバチという弾着音と叫ぶようなフーカさんの声。

 こりゃ、早いとこヘルプに行った方がいいな。

 俺は急いで浄水場の中に入る。

 撃ちあいの音がする方へ向かって俺は走る。

 通路の至る所に制服を着た男達が倒れているのはここの施設の警護をしている人間か?

 倒れた男の様子を伺うと脈はあるし呼吸もしている。

 どうやら非致死性の術式武具で無力化されているようだった。

 これだけの人間を一斉にとなるとガスか何かか?


 「うおっ!」

 「やろっ!」


 通路の角を曲がると術式武具をもった二人の男にかちあった。

 俺は無言で二人の男に空雷弾をぶち込む。

 相手は俺の弾を喰らいながら術式武具を足元に向けて連射して倒れた。


 「うおっ!あぶねっ」


 跳弾が顔に向かってきたので俺は不自然な体制で仰け反って避ける。


 「ゲビンとターダがやられてるぞ!」

 「こっちだ!こっち!」


 男の声がしてこちらに向かって鉄の矢や棒手裏剣みたいなもんがボンボン飛んで来る。


 「うわっ!やっばっ!」


 俺は後ろに向かってゲイルダッシュし通路の角の向こうに隠れる。


 「何人いるんだよ」


 俺は体勢を直し角から手だけだして空雷弾を連射する。

 角の向こうからぐぐもった声が聞え、敵の弾が途切れる。

 俺は呼吸を整え水魔法で鏡面状になった氷を出してそうっと角の向こうに出す。

 鏡越しに向こうの景色が見える。

 倒れた男を安全地帯に引きずり込む男と先の角からこちらに向かって術式武具を構える男のふたりが見えた。

 俺は思い切って角の向こうに躍り出て空雷弾を連射する。


 「援護!援護!」


 仲間を引きずっている男が叫び角の向こうから男がふたり出てきて術式具を撃って来る。


 「こなくそっ!」

 

 俺は地面に伏せた状態で相手に向かって空雷弾を連射する。仲間を引きずっていた男に弾が当たり男はピンと身体を硬直させる。


 「うわっ!くそっ!」

 「邪魔だ!!」


男達は慌てふためき突っ立った仲間をどかそうと角から出て来た。

俺はそのふたりを冷静に撃つ。


「うっ!」

「ぎゃっ!」 


 男ふたりは空雷弾を喰らい硬直しぶっ倒れる。


 「お前も寝てなさい」


 硬直し棒立ちになった奴を俺はつついて倒しすぐに角に陣取り向こう側を覗く。

 先の角に男が複数名おり誰かと戦っているのが見える。

 どうやらここがヤスミーナさん達の交戦地帯のようだ。

 俺は角から半身を出し、ヤスミーナさん達と交戦している男達を撃つ。


 「おっ!やっと到着ですか」


 「おまっとさんでした」


 元気良く言うフーカさんに俺は答えながら空雷弾を連射する。

 敵の男達は俺とヤスミーナさん達との挟みうちにあう事になりあっけないほど簡単に全員昏倒した。


 「これで全部?」


 俺は通路を進みヤスミーナさん達と合流して尋ねた。


 「いえ、まだ肝心のヘダシェスがいません」


 「早いとこ探さないと!」


 ヤスミーナさんに続きフーカさんが興奮気味に言う。

 フーカさんって結構こういう荒事好きなんだよなあ。

 俺たちは通路を奥に進む。

 先ほどヤスミーナさん達が釘付けにされていた通路から接敵した通路へ少し戻り、三叉路を俺が来たのとは違う通路へと進む。


 「なんだか迷路みたいね」


 「重要な施設ですからね、すぐに占拠されないように内部は複雑になっているんですよ」


 「なるほどね」


 ヤスミーナさんの説明に納得しながら更に奥へと進むと広い空間に出る。

 

 「動くな!!」


 広い空間の先に男がひとり見え、ヤスミーナさんが声をかけた。

 男はゆっくりとこちらを振り向く。変装を解いたヘダシェスがそこにはいた。

 

 「動かない方が良いのはお前たちの方だと思うがな」


 ヘダシェスはニンマリと笑うと右手に持っていた銀色の筒を俺たちに向かって放り投げた。

 地面に当たった筒は爆発し周囲に煙が充満する。

 

 「ははははは!みんな死ね!死んでしまえ!」


 煙の中にヘダシェスの声がこだまする。

 ったく、往生際の悪い奴だぜ。


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