新企画と新兵器って素敵やん
洒落で考えてた薬物注意喚起ポスターだったのだが、冗談半分で図書クラブのパニッツ部長に話したところその話が新聞部のフィールド部長に伝わりあっという間に実現する事となってしまった。
「みなさーん、並んでくださーい!」
新聞クラブのブランシェットが部員を並べて魔導映像記録機を持ち叫ぶ。映像を紙に定着させる魔道具はすでに存在していたがとても高価で一般人にはとても手が出ないものだった。ところが伝説の秘宝シャルドウトーラスの発見でその情報の集積技術が研究されて高性能なものが安価で手に入るようになったのだった。
このまま行けば安価な携帯電話の実現もそう遠く無い未来になされるだろう。
「ね、眠いっす」
「化粧のノリがイマイチ的な?」
「グーグー」
「ダル、マジダル」
「何言ってんだ!気合入れてけ!」
練習試合があるので朝もまだ薄暗い時間で、みんな半分眠っている中、マーだけは気合が入っている。さすがはキャプテンと言う所だがシーボーは完全に寝てますよ?立ったまま寝るなんて器用な奴だ。
「ねえ、うちらもいいの?」
「うちら、ここの学生じゃないんだけどなあ」
メイとジンジャーが申し訳なさそうな顔をする。
「何言ってんだよー!あったり前じゃん!うちら全員でドギューズだぜ?全員揃わなきゃダメ!絶対!」
「あ!それ!いいかも!うたい文句に使える!アエシュマダメ!絶対!これいい!イケル!」
マーの言葉にブランシェットが反応する。もう、好きにしてくれよ。
「いいですよ~いいよいいよ~そう!それ!その笑顔頂きました!」
すっかり写真家気分のブランシェットだった。
「いや~、良い物が撮れました。これは傑作ができる予感!ありがとうございましたー!」
ブランシェットはホクホク顔で帰って行く。
「よし!じゃあ、練習試合行くよ!」
「おーー!!」
部員一同声を揃えて返事をする。いや、良く見りゃシーボーとみっちょんは言ってないな。まったくマイペースな連中だ。あのギャル子ベーヤンすら声を合わせてるってのに。
そんなこんなで俺達ドギューズ一行は今日の練習試合相手校へと向かうのだった。
本日の相手校は充実した設備と厚い選手層で知られるネルトロン学園ベリンボールチームのスパイラルクイーンズである。
本来ならうちのような弱小チームなんか歯牙にもかけないような強豪校なのだが、先日レッドブライアンツに勝利した事で急に話が舞い込んで来たのだった。なんでもレッドブライアンツとスパイラルクイーンズはライバル校らしく、猛烈トロール打線のレッドブライアンツに対し緻密な戦術で知られるチームらしい。
「今日の相手は高い守備力に積極的な走塁、そしてなにより相手の戦術を研究し分析する精密ベリンボールで有名なチームです。先日のレッドブライアンツ戦も観に来ていたらしいんです。油断せずに行きましょう!」
相手校に向かう魔導列車の中でケイトが部員に檄を飛ばす。
「スパイラルクイーンズの噂は聞いた事があるよ。魔卓機ベリンボールと言えば有名だった」
ジンジャーが難しい顔をして言う。ちなみに魔卓機ってのは魔導卓上計算機の事でまあ、前世で言うとこの電卓だな。ううむ、前世の古いタイプのスポーツ漫画で中盤に主人公が戦う相手っぽいなあ。計算によると僕たちの勝利は九十九パーセントと出ていますなんて眼鏡をクイっとやりながら言う生徒がいたりするのか?
俺は期待を胸にネルトロン学園へ向かうのだった。
「では、お願いしますねー」
柔和な顔をしたネルトロン学園の管理技能員さんに案内された俺はすすけた用具置き場の前に居た。
「やっぱ、そうだよなー」
俺はため息交じりに独り言ちた。
チクショー、相手校のコンピューター部員見たかったのになあ。
みんな眼鏡かけてるのか、それとも賢そうな顔をしてるのか?
う~む、いつまでもこんな所で考えていたって仕方がない。
気持ちを切り替えて行こう。
本日のご依頼は建屋は密閉しており雨漏りもしていないのにも関わらず、特定の場所が濡れている事があると言うもの。
ううむ、普通に考えれば雨漏り説だ。雨漏りってのは内部の梁を伝って下に垂れる事で実際に雨がしみ込む場所がわかり辛いパターンが多いのだ。
前世で施設管理の仕事をしていた時に業者さんから聞いた事があった。
だから、部分補修よりも屋根全体を補修した方が良いのだとその業者さんは言っていた。
俺もその事が念頭にあったので管理技能員さんにちょろっと話してみたが、屋根の張替えと防水工事はすでにやっているのだと言う。
なのになぜか一部の床が濡れている。
このままじゃ床板が腐ってしまうし、生徒達の間で妙な噂が流行りだして困っていると管理技能員さんは話す。
妙な噂ってのは、昔この小屋で殺され埋められた生徒が犯人を捜してくれと泣いている、その涙で床が濡れているのだというものだ。
まったく、若者ってなその手の話が好きねえ。
俺は管理技能員さんにお借りした鍵を手に用具置き場のトビラを開ける。
中の空気はジメジメしており、かび臭いような腐食した木材のようななんとも言えない陰気な匂いに満ちていた。
「幽霊なんていな~いよ!幽霊なんていな~いよ!」
不気味な雰囲気に呑まれないように俺はあえて調子っぱずれに歌った。
「いな~いよ…」
周囲は静寂に包まれる。なんか余計に寂しい感じになってしまった。
参ったなあ、こういうのって弱気になると余計に怖くなっちまうんだよな。
「なにしてるんすか?」
「うおっ!!」
いきなり背後から声をかけられ俺は飛びあがってしまった。
振り返るとそこにいたのはボンパドゥ商会連合研究主任のフウ・フーカさんだった。
「クスクスクスクス、なんですかそれ?急に歌い始めたかと思ったら急に飛び上がって」
「いや、だって急に声をかけるから驚いちゃって。それよりなぜここに?」
俺は醜態を晒してしまった事を誤魔化すべく話を変える。
「国防軍から依頼がありましてね、ジミーさんに捜査協力をお願いしているので役立つアイテムを用意して貰いたいと。またトラブルに首突っ込んでるようですねえ、ジミーさんも好きですねえ」
「いやあ、別に好きで首突っ込んでる訳じゃあないんだけどね…」
ニンマリ笑いながら肘で突いてくるフーカさんに俺はざっくりと事の経緯と本日の依頼を説明する。
「…ほうほう、なるほどなるほど。それなら私の出番と言うのも頷けますね。そんな時にはー、これ!」
背負っていた大きなザックを降ろすと素早く中から何かを取り出すフーカさん。
「なんすかそれ?」
フーカさんの手にある取っ手のついたアイロンのような物体を見て俺は素直に尋ねる。
「魔導反響定位装置――!」
なんだかフーカさんの姿が若干青い狸に見えて来たぞ?
「ふっふっふ、驚きましたね?これはですね技術局からの依頼で作成したものです。以前に技術局の副長さんにジミーさんが鼻の下を伸ばしながら話されたあれですよ」
「鼻の下なんて伸ばしとらんわ!」
俺は軽くツッコんでおく。技術局の副長さんと言えばボンパドゥ商会連合と引き合わせてくれたベルエール・ラコシャンさんの事だ。確かにあの人はキレイな人だったがあれ以来会ってないっちゅーの。おかしな事言わんといて欲しいわ。
「冗談冗談、かわいい冗談ですよ。さて気持ちを切り替えてこいつの力を見せてあげましょう!」
フーカさんはそう言うと黒いシミがついた床にアイロンもとい魔導反響定位装置を押し付ける。
「ここでスイッチポン!」
フーカさんはそう言って魔導反響定位装置の上についてる突起を押した。
「ほら来た!これを見て下さい!」
フーカさんは取っ手から手を放し俺を呼ぶ。
魔導反響定位装置の上面には魚群探知機のモニターのようなが浮かび上がる。
「ふふふどうです?これにもトーラステクノロジーが使用されています。ではご説明しましょう。まずはこの絵をご覧ください。これはこの装置の底面が接触した内部をグラフィック化したものです。これを見るとこの床下には埋めた井戸がありますね」
画面を指差し言うフーカさん。う~ん、ちょっと俺には判別がつかないなあ。これはまだまだ専門職の技能が必要な装置のようだ。
「て事はなに?井戸から水が染み出してるって事?」
「う~ん、どうでしょうかねえ?そんな事があれば他所の井戸からも同様の現象が報告されてもおかしくないのですが、少なくとも私の耳には入っていませんね」
「でも、それしか考えられなくない?」
「おかしいですね。どうもこの井戸の底は帯水層ではないようですね」
「と言うと?」
俺はフーカさんに尋ねる。
「つまり、普通の堀井戸はただ掘ってあるだけですのでどこにも繋がっておらず底には堆積した泥や砂が溜まるもので、それを帯水層と言うのですがこの井戸はどうもそうではないようですね」
「つまり?」
「どこかに繋がっているって事ですよ」
「地下水の湧き水じゃなくて地下水道を使ってたって事?」
「う~ん、今日、持って来たのは簡易的な装置ですのではっきりした事はわかりませんが、もともとただの堀井戸だったのが放置されなんらかの原因で元々あった地下空洞と繋がってしまったか?捨て置かれた大昔の下水道かも知れませんが…」
フーカさんは考え込んでしまう。研究者魂に火がついちまったのかしら?
「…時折水が滲むとそう言ってましたね?時折、それはどういうタイミングかわかりますか?」
「いや、そこまでは聞いてないけど」
「そうですか残念です。ですがこれで検証する楽しみができたとも言えます。さあ、行きましょう!」
下に置いてあったザックを担いだフーカさんは魔導反響定位装置を手に用具置き場を飛び出して行った。
これは、俺もついて行かなきゃダメだよな?やっぱり。
「ちょっと待って~」
俺はフーカさんを追いかけた。ボンパドゥ商会連合の研究部と言えばこの世界の理を外れた物品の研究と保護をしており、俺も少し協力しているがものによっちゃ危険を伴う仕事なのだ。当然のことながらそんな所の研究主任をしているフーカさんの身体能力はかなり高い。
時折地面に魔導反響定位装置をつけては素早く走って移動する。
まるでリスか何かの小動物が餌の隠し場所を探しているようでなんだかホッコリするなあ。
「なんです?私の顔に何かついてますか?」
俺の癒され視線に気づいたか急に向きなおって言うフーカさん。目ざといなあ、さすが主任研究員。
「いや、別に。どこまで行くつもりなの?あんまり遠くまで行くようならうちの者に話しとかないといけないんだけど」
「ああ、ベリンボールチームですか?大丈夫、それほど遠くまで行く事はないと思います。恐らく目的地は海」
フーカさんが魔導反響定位装置から目を上げ前方を睨み言う。なんか、格好いいんですけど?
「海って、ここから近いの?」
「来る時見ませんでしたか?魔導列車の窓から見えませんでしたか?」
「いや、気がつかなかったなあ」
「ぼんやりしてますねえ。なんにしてもそれほど遠く無いですよ」
フーカさんはそう言ってまた忙しそうに走り出す。なんだかとても楽しそうだ。本当にこの人は知る事が好きなんだな。こういう人こそが強い人なんだろうな。成功の本当の秘訣は熱心さだと言ったのは誰だったか?確か、凄い実業家の言葉だったと思うが、フーカさんこそまさしくそういう人なんだろうな。
俺はフーカさんの後ろ姿に眩しさを感じるのだった。
「やっぱり、ですよ。例の井戸の穴、この下まで続いていますね」
前方には開けた風景、目がさっぱりするようなキレイな海が一面に見える。
「この下って地面の中?」
「いえ、この下には大きな洞窟がありますね。波の浸食で作られた洞窟でしょうね。ジミーさんは飛行魔法を使えるんでしたよね?」
「ええ、一応」
「また一応なんて謙遜しちゃって。じゃあジミーさんはいらないですね」
フーカさんはそう言いながらザックに魔導反響定位装置をしまい代わりに取り出したブーツを履いた。
「なんです?そのブーツは?」
「簡易飛行術式が組み込まれたブーツです。よしっと、さあ行きましょう」
ブーツのベルトをぎゅっと締めたフーカさんはそう言うと海に向かってジャンプした。
「うおっ!」
俺は驚いてフーカさんが飛んだ場所を覗き込んだ。どうやらここは崖の上のようで、フーカさんは崖の岩場をピョンピョンと忍者のように飛び跳ねて海へと向かっていた。
俺もゲイルで飛んで後を追う。
海辺の洞窟はゴツゴツした岩場に囲まれるようにぽっかりと口を開けていた。
洞窟入り口付近の水が緑色に輝いて非常に美しい。
「ジミーさんは灯火の魔法も使えましたよね?」
「うん使える」
今度はきっぱり言ってやった。
「さすが元冒険者。でもそう言う時はもうちょっと遠慮して言うものですよ」
「もう、どないせいっちゅーねん」
俺は小声で独り言ちる。
「じゃあ、これはいりませんね」
フーカさんはまたもやザックから釜のような兜のようなものを出して頭に被った。
武骨なデザインの兜には額に半月のような飾りが付いておりそれはピカリと光を放った。
「なぜそのデザイン?」
「何がですか?」
「いや、だからその光が出ている所。なぜにその形?」
「単なる趣味です」
「ならいいけど」
涼しい顔をして言うフーカさんに俺はそう答える事しかできなかった。
フーカさんは洞窟内の岩場をピョンピョンと飛びながら奥へ奥へと向かう。
「あの~、なんなら背負いましょうか?」
俺は飛びながらフーカさんに尋ねる。
「いえ、お構いなく」
フーカさんは軽く手を上げてそう言った。なんかナンパ失敗したみたいになってて悲しい。
奥へ奥へと向かうと洞窟の内径は小さくなり陸地と小さな川のように流れる水が見えた。
「ほら、これですよ上で見たのは。この穴が例の用具置き場まで続いているんですよ。昔の下水道跡なんでしょうね」
「昔のって今は使ってないって事?」
「海に直接流すようなシステムはとうの昔に廃止されてますからねえ。やはり思った通りですよ」
「何が思った通りなの?」
「ですから用具置き場の水の染みですよ」
「どゆこと?」
「もう、ここまで来てもわかりませんか?」
「あいスイマセン」
俺は素直に謝る。
「ですから、例の染みの原因はここから逆流した水だという事ですよ」
「逆流?」
「ええ、恐らく染みのできるタイミングは高潮と満潮が重なった時と符合するはずです」
「うっそだ~、この洞窟が水で満たされるって事?」
俺は驚いて思わず言った。
「嘘じゃありませんよ。満潮と高潮が重なった時、だいの大人三人分程も潮位が上昇した例も観測されています。これ位の場所なら十分でしょう」
「マジっすか」
「マジっす」
真顔で答えるフーカさん。こっちの大人の平均的な身長で考えると百八十センチって所か、その三倍って言うと五メートル半ほど!!そんなに海面が盛り上がればそりゃあこんな洞窟埋まっちまうわ。
「行きましょう」
フーカさんは内径の小さくなった洞窟に侵入する。
「行くってどこに?」
俺はフーカさんに聞く。
「奥に進むんですよ」
「なんで?もう原因がわかったしいいじゃん。帰ろうよ」
「あれ?もしかしてビビってます?」
フーカさんは嬉しそうな顔をして俺を見る。
「そりゃビビるっしょ。先に進んだ時に満潮と高潮が重なったらどうするのよ?怖いじゃん」
「今日の今朝の満潮はもう終わってますし次の満潮は夜です。それに当分良い天気が続く予報になっていますから高潮の心配もありません。これで安心しましたか?」
フーカさんはそう言いきると踵を返し奥へと進んだ。
やっぱこういう時って女の子のが度胸があるね、大丈夫ってわかっていても俺なんかちょっと怖いよ。とほほのほ。
俺はフーカさんの後に続いて洞窟を進む。
洞窟の大きさは高さが二メートル程、幅は一メートル半程で安定し幅一メートル程の小川が絶えずそばを流れている。
しばらく地下を歩いているとふいにフーカさんが歩みを止めた。
「これを見て下さい」
「トビラだ」
フーカさんが止まった場所の側面には半開きのトビラがあった。
「位置的に見て、このトビラの向こう側に例の井戸があるはずです」
「てことはこのトビラを閉めれば解決するって事?だったらとっとと閉めて帰ろうよ」
俺はフーカさんに言った。こんな所に長居は無用だぜ。
「そういう簡単に事は済みませんよ。問題はなぜこのトビラが開いていたのかという事です」
「そんなの大昔の人が閉め忘れたんじゃないの?」
「いえ、長い間開け放たれていたのならその状態で固着しているはずです。なにしろ定期的に海水に晒されるのですから」
言いながらフーカさんはトビラを開閉させる。
「て事は?どういう事?」
今回の俺はフーカさんに尋ねてばかりだな。でも仕方ないよわからないことだらけなんだもの。
「少なくとも最近まで誰かが出入りしていたって事ではないでしょうか?」
「マジで?なんで?こんな水没するようなとこに?」
俺は顔をしかめてしまう。なにも好き好んでこんなおっかねーとこに入りこむ事ないのに。
「だから調べるんですよ。さあ、行きましょう」
「なんか嫌だなあ」
俺は愚痴りながらフーカさんの後に続く。
扉の向こうは明らかに人が掘削したようで通路は高さ二メートル幅一メートルの長方形をしていた。
狭い通路をしばらく歩くとまたもやフーカさんが足を止めた。
「まったくジミーさんはなんでこう引きが強いんですかねえ~」
フーカさんはため息交じりにそう言うとこちらを振り返った。
「なに?なにがあるの?」
フーカさんの肩越しに通路の先を見る。
そこにあったのは散乱した木箱と壊れた木箱から零れ落ちた多数の包みだった。
「ほら、この上天井が崩れ落ちてますね。恐らくこの真上が例の用具置き場ですよ。これを置いてた連中は止むに止まれぬ事情で出て行き二度と戻って来ることはなかった」
「止むに止まれぬ事情?てか、この荷物はなんなの一体?」
俺は散らばった小包をひとつ手に取ってフーカさんに見せながら言う。
「そこにひとつ包みの破れたものがあります」
フーカさんに言われてそちらを見ると壁際にひとつ小包が落ちておりそれは端が破け中身が露出していた。青く光る結晶が。
「これってまさか」
「そうアエシュマよ」
「うわっ」
俺は思わず持っていた包みを放り投げた。
「とりあえず、連絡入れます」
そう言うとフーカさんはザックの中から折りたたまれた傘と鉄の小箱を取り出した。
鉄の小箱か何かの線を引っ張り出し広げて逆に向けた傘の先端に差し込むフーカさん。
「これで良しと」
「もしかしてそれって」
「そう、携帯型魔導通信機の試作品です」
「マジか!出来たんだ!」
「ええ、通話範囲が限られてしまうのが難点ですが、ジミーさんがいるのなら問題は解決です。これを持って魔力を注ぎ込んで下さい。そっとですよそっと」
そう言ってフーカさんは鉄の箱から二本の線を引っ張り出し俺に手渡した。
俺は渡された線に体内で循環させた魔力をそっと流し込む。
「うわっ!ちょい待ちちょい待ち!もっとゆっくりお願いします!壊れちゃいます!」
「ごめん」
もう、加減が難しいよ。俺は更にゆっくりと慎重に少しずつ線に魔力を流し込む。
「そうそう、その調子っす」
フーカさんは鉄の箱を弄りながら言う。
やっと携帯電話ができたかと感動したがこの調子じゃ一般に普及するのはまだまだかな。




