やっとこさ戦場へ
一ヶ月後。
俺は2国の前で、再び宣言をする。
「我等竜魔人連合国は、ここに戦争に加わるものとする! 法律や秩序を守り、正々堂々と戦うことを誓う!」
その時、俺の身体が光に包まれた。
「正式に参戦が神から受け入れられた証です」
ウェスティアさんが教えてくれる。
「うむ。しかと見届けた」
「神のご加護、確かに承りました」
「戦争は3日間中断。3日後に、三国交えての戦争を正式に開始する!」
さて、これで宣誓は終わったが、残りの2国が堂出てくるか。
完全に三すくみの乱戦になるか、2国が共闘して一国を狙うか。
戦争のやり方を少し考えてもいいのかも知れない。
「なぁ、ウェスティアさん、イースティア」
「どうしました?」
「なんや?」
「戦争のルールって変えられるのか?」
「また大胆な発想ですね」
「殺し合いでもしよるんか?」
「まさか! ただ、今までのやり方で決着がつかないなら、やり方を変えないと、戦争に参加する国が増えただけで、戦争がおわらないんじゃないかな、と」
「言いたいことは理解しましたが……」
「戦争のルールを決めとるんはこの星の神で、セントラル大陸におって戦争のルールを守らせることに全神力をつこうとんね」
「それで、私たちは絶対にルールを守った戦いしかできないのです。もしルール変えたいなら、先程の宣誓の時のように、神に認められる必要がありますね」
「なるほどな。まさに神のみぞ知る、ってことか」
「それもありますが、戦争のルールを変えようと思った人が今までいませんでしたね」
そこからして、俺の考え方がおかしかったのか。
「例えばどの様にルールを変えるつもりですか?」
「たとえば、個人戦をやるんだ」
「一対一ですか!?」
「大胆なこと考えるなぁ」
「あとは五対五の団体戦もっと多くてもいいかもな」
「はぁ」
「あとはチームでのトーナメント戦とか」
「それは、ヨーイチのおった世界のルールなん?」
「実際の戦争ではやらなかったけど、スポーツの大会とかでは当たり前だな」
「変わった文化やなぁ」
「そうなのか? こっちの世界のスポーツってどんなんなんだ?」
「スポーツ自体がないので、私たちもスポーツというものを理解してません」
「マジか」
俺はなんとか身振り手振りでスポーツとは何なのかをウェスティアさんたちに教えた。
「そんなものが……。面白いですね。誰も傷付かず、勝敗を決められるなんて」
聖竜の2人にあっても、なかなかに興味深い内容だったらしい。
「もしそのルールが採用されるとしたら、またこの前のように2カ国も招いて、宣誓をすれば、神からのご宣託があるはずですよ」
「その時にならないと分からないわけか」
「まぁ、ウチはやる価値あると思うで。傷つかへんなら、それが一番やろ」
「おいおい話し合ってみるよ」
そう言ってその場を後にした。
3日後。
俺は全五万の勢力束ね、戦場に立っていた。
俺は単騎。
総指揮はウェスティア。
補助にはアレグリア。
各部隊長に。
ウェスティアさん。
イースティア。
ヒミカ。
ソネット。
ハヤテ。
その他大勢。
結局カオスちゃんとヴァルスは間に合わなかった。
前方にはマギロス軍が待機している。
ヒュムロス軍の姿は俺には見えないが、左右どちらかから攻撃してくる可能性も否定できない。
「またお会いしましたね」
敵の総大将はセテウスか。順当だな。
「できれば会いたくなかったけどな」
セテウスは百人からなる部隊の隊長らしい。
「単騎掛けとは、ヨーイチ殿らしいですね」
「俺は一人の方がやりやすいんだ」
「その気持ちも分かります」
くく、っと笑って見せるテセウス。
なんか余裕あるなぁ。俺なんて緊張し過ぎて吐きそうなのに。
「ですが、これは戦争。前回は負けましたが、今回は私が勝ちます」
「俺も負けないからな」
双方から開戦の準備が整った証のファンファーレがなる。
「行きますよ!」
「あぁ、来い!」
セテウスとのバトル。
俺もセテウスも馬に跨がり、剣を交える。
この馬を飼いならして乗って戦うのにも相当苦労したもんだ。
セテウスが前回手にしていたのはロングソードだったが、今回は長槍だ。
リーチではこちらが負けるのは当然。
さらには左右から、テセウスの部下も斬り掛かってくる。
「卑怯、とは言いますまい?」
「もちろん!」
俺はニヤリ、と笑うと真後ろにだけ敵を置かないように立ち回る。
一人二人と馬上から叩き落として気絶させていく。
「やはりアナタは素晴らしい! 魔力を人の身でありながら、パワードスーツもアーマーも装備せずこの強さとは!」
セテウスは楽しくて仕方がない、と言うようだ。
俺がやってるのは、ただ運と感に任せるだけ。それだけが俺に取っての最強の能力なのだ。
そして人馬一体となった俺たちは最小限の力で最強と名高いせてうの兵を撃破していく。
それが味方の士気を高め、全体に波及していく。
「さすがヨーイチね」
「うむ」
シェルティとアレグリアはその能力で戦場全体を俯瞰して見ることができる。
それがどれだけの脅威か。
タイムラグ無しで情報が手に入り、なおかつ的確な指示が飛ばせる。
「来たわね……」
竜魔人連合国とマギロス軍が正面からやり合っているさなか、右舷からヒュムロス王国軍が、竜魔人連合国軍の横腹を突くように進軍してくるのがわかった。
シェルティの命令は即座に伝えられ、そちらに人手が集まる。
しかし、マギロス軍が回り込み、逆から攻めてきて挟撃されるのが一番怖い。
それを避ける様に前線はやりのように展開させた。
戦争はまだ始まったばかりだ。




