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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄
未開の大地で町を作ります

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ついに

 戦力も整った。

 ソネットの力とシェルティの指揮能力で、軍隊としての能力もこの上ない。

 そろそろ第三勢力として旗を上げてもいいのかも知れない。

「皆、準備はいいか?」

 各部隊長が頷く。

 まずは少数精鋭で名乗りにいく。

 俺はあらかじめ、マギロス王とヒュムロス王に書簡を送り、招集してもらっていた。

「よく来てくれたな」

「おぉ、ヨーイチ殿。お久しぶりですな」

「この間ぶりですね」

 デウス王にヘルメス王。元気そうで何よりだ。

「それで、何用かな?」

 デウス王はニコニコと笑う。

 分かってて聞いてるみたいだな。

 ヘルメス王も同じような顔をしている。

「今日来てもらったのは他でもない。俺が立ち上げた第三勢力、竜魔人連合国が、来月から戦争に参加することになった」

「やはりそうなりましたか」

「覚悟の上でした」

 やはり二人とも驚かない。

 そりゃそうだ。

 これだけの量の人材や資源が激しく動いてるんだ。

 世界の動向に目を向けている、各国の王に分からないはずがない。

「長い歴史の中で、初めてですな、第三勢力というのは」

「今までの異世界人はどちらかの陣営に加担しましたからね」

 というか、今まで第三勢力を立ち上げようという異世界人がいなかったのが驚きだ。

「という訳で、正々堂々と勝負だ」

「望むところですぞ」

「もちろんです」

 こうして、俺たちの参戦が決定した。


「とういうわけで、来月月初めから、俺たちの参戦が決まった! ここまでこれたのは皆のおかげだと思ってる。これからも、その力をどうか俺に貸してくれ! 長い戦争に終わりを告げよう!」

 俺が剣を高く挙げると、皆が呼応するように歓声と共に雄叫びを上げた。

「かっこよかったわよ、王様」

「茶化すなよ、シェルティ。似合ってないのは俺が一番よく分かってんだから」

「そんなことなかったですよ。立派でした」

「ウェスティアさんまで……」

 しかしこんなことをしてる場合ではない。

 この一ヶ月で、セントラル大陸に自分たちの領土を作らなければならないのだ。

 自陣は作ってきてある。

 建物や兵糧、兵士を運び、駐屯地を仕上げる。

 戦争と言っても、この世界に置いては死ぬことは稀である。

 怪我もするし再起不能になることもあれば、稀とは言え、死ぬこともある。

 家族がいる人たちだって大勢いる。

 俺はそんな人たちに対する責任を背負ったのだ。

「大丈夫ですよ。他国に比べても、医療も充実してますし、大概の怪我なら治せるほどの薬や薬草もあります! 自信持って下さい!」

 ヒミカも励ましてくれる。

「そうだよな。皆を信じないと」

 心配なことに変わりはないが、皆を信頼していない訳でもない。

「異世界人のわたしもいます! 異世界人が2人もいるんだから、大丈夫!」

 ソネットも力こぶを作って励ましてくれた。

 この一ヶ月、できるだけの準備をしよう。


「がぁぁぁ〜! 勝てね〜っ!」

 100人隊長となったハヤテに頼まれて、稽古を付けていた。

「力も速さも魔力もオレの方が強いはずなのになんでだ〜?」

 まぁ、そこは一応異世界人ですから。

 こんな感じで、一人ひとりに稽古を付けることもしている。

「わたしもお願いします!」

 次はヒミカか。

 その後にはずらりと皆が並んでる。

 全員相手にするのは面倒だ。

「もういい! 全員まとめてかかってこい!」

 そう言うと、数十人が俺に襲いかかってきた。

 全身に水の精霊の力を纏わせる。

 俺に当たるはずだった攻撃は、全て水に流されて当たらない。

 仮に当たるほど強力な攻撃や魔法を放とうと、土の精霊の防御力に防がれる。

 しかし、ただコテンパンにするだけでは稽古ならないので、ある程度受けたり攻撃したりして、皆の悪い所を指摘していく。

「デモンズは、防御力があるせいか、かわしたりするのがおろそかになってるぞ」

「ヒミカはアーマーとスーツに頼りすぎ。もう少し身体を鍛えような」

 そして何よりデカいのは。

「ほれ、今の動きの動画じゃ」

 アレグリアが、水晶玉を通して動画を撮影。さらに、どこが悪いのかまで添削してくれる。

「ぐぅ〜。攻撃即防御ができてないのか……」

「オレは後の先で戦った方がいいのか?」

「ワタシはまだ頭で考え過ぎる癖があるわね」

「団体で戦った時、連携ができてないわ」

 皆はまだまだ強くなる余地はある。

 対して俺の能力は能力カンスト系だから、これ以上上がりようがない。

 しかもその能力が運の良さという……。一応持ち前の感の良さもあるらしいが、オマケみたいなもんだ。

 集団戦闘の模擬戦。

 ここでは指揮能力がモノをいう。

 方やシェルティ。

 もう片方はウェスティアさん。

 全体を把握し、戦況を自在に変化させてどんなたいぐんが相手だろうと、無限の戦略がわいてくる。

 そんな2人だ。

 しかし、シェルティに有利なのは、天使の力で「戦場を俯瞰して見る」ことができることだろう。

 最後列で戦場を見てから指示を出すのと、戦場全体を天の視点から見れるのでは雲泥の差が出てくる。

 それに対抗するのは、アレグリアだ。

 彼女もまた、水晶玉を通して戦場を全て見渡し、タイムラグなしでウェスティアさんに伝えることができる。

 この能力により、拮抗した戦力で戦うことが可能。

 さらに本番では敵はマギロスとヒュムロスという二大勢力だ。

 その2つをシェルティとアレグリアで見渡せるのはかなりのアドバンテージだ。

 今の段階で2つの勢力とどれだけ実力差があるかは分からない。

 しかし、ここまで鍛え上げた竜魔人連合国なら必ず勝てる、という算段はある。

 ソネットという異世界人の「心から思ったことが嘘になる」という能力。

 これから修行して強くなって帰って来るだろうカオスちゃんとヴァルス。

 そして、ついてついてつきまくる運任せで勝ち続けている俺。

 この布陣で負ける訳がない。

 そう自負して一ヶ月後に備えた。

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