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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄
未開の大地で町を作ります

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現実へ

 ソネットの夢が加速する。

 そして、もっとも見たくない場面へとたどり着いた。

 そこには、両手両足をもがれ、様々な拷問を受けるソネットがいた。

「こんなの……っ!」

 もし俺がこの夢に干渉できたなら……!

「干渉できたらどうするつもりじゃ?」

「皆殺しにしてやるっ」

「ヨーイチさん……」

 俺は剣を取り、近くの兵士へ斬りかかる。

 すると、当たらないはずの斬撃が確かに兵士を切り裂いた。

「……。異世界人がゆえか」

 アレグリアも少なからず驚いたようだ。

 本来夢の世界には他人は干渉できない。だが俺は違う。この世界の人間ではない、異世界人なのだ。

 俺を認識できていない兵士たちは、訳もわからず殺されていく。

「ヨーイチさん!」

 ソネットが止めに入った。

「わたしに、やらせて下さい」

 静かながら、決意のこもった声だった。

「わかった……」

 俺は剣をしまうと、あとはソネットに任せることにした。

「わたしの故郷が襲われたなんて嘘。私がさらわれて拷問を受けたのも嘘! この人間たちが存在してるのも嘘っ!!」

 ソネットの心からの叫び。目の前のソネットは元の姿に戻り、消えた。

 恐らく元の森に帰ったのだろう。

 そして城は何年も昔に滅びたように静まり返っていた。

「でも、わたしが死んで、異世界に連れてこられたのは本当」

 少し寂しそうだったが、彼女はこの異世界で暮らすことを決めたのだ。

 ソネットの能力なら、元の世界に帰れたかも知れないのに。

「辛かったの、ソネット」

 アレグリアが小さい体でソネットを抱きしめる。

 その肩に顔を埋めて、ソネットはしばらく泣いていた。


「さて、これからじゃ。この先に、ソネットの能力の根源があり、そこに封印が仕掛けてある」

 そう言いながら、アレグリアは真っ直ぐ進んで行く。

 俺とソネットもついて行くと、光の玉が鎖でガチガチに固められている場所に出た。

「これが、私の能力、ですか?」

「そうじゃ。あの鎖は聖素でできておる。魔力回路の無い異世界人にしか解くことはできん」

「でも、肝心の鍵はどこにあるんだ?」

「すでにソネットが持っているはずじゃ」

「わたしが?」

 そう言うソネットの服中が光る。

「試練を乗り越えた者のみが手にすることができる、鍵じゃ」

 ソネットは鍵を手にすると、ゆっくりと鎖を外した。

 その瞬間、鎖で覆われていた光の玉が弾けた。

 その光はしばらく辺りを漂ったあと、ソネットの身体に吸い込まれていった。

「これが、わたしの本当の力……」

「なにか変化はあったか?」

「今までは心の底から思わなければ発動しなかった能力が、ただの言葉だけでも発動するようになりました。しかも、時間制限もありません」

「……。チート過ぎないか?」

「それが本来の異世界人の力じゃよ。聖竜と儂と異世界人が合わさって初めて本来の力がだせる」

「それじゃあ、今までの異世界人は、本領を発揮できないまま、戦争を終わらせることができずに、死んでいったのか?」「まぁ、そういう事になるのぉ。儂を見つけられる程、この世界に興味を持つ者はいなかった、という訳じゃ」

 シェルティの万物の書があればこそ、アレグリアを見つけることができたんだ。運がよかった。

「じゃ、じゃあ、俺にも隠された能力があるのか!?」

 運がカンストしてる以外のかっこいい能力があるかも知れない。

「能力カンスト系は隠された力はないの」

「なんだよ……。期待したのに……」

「ヨーイチさんはいてくれるだけで心強いんですから、それでいいんです!」

 ソネットが力説してくれる。

「さて、夢の世界も終わりじゃな。また現実の世界で会おう」

 アレグリアが、そう言うと、眠気が襲って来た。

 その眠気に身を委ねると、俺たちは現実の世界に戻ってきていた。


 それからというもの、ソネットの能力で模擬戦でも隊列が崩れることなく、皆忠実に命令を聞くようになった。

 しかも、ソネットが「能力解放」というキーワードを使うことによって、実力以上の力を出せるようになっていた。

 もっとも、「能力解放」は身体への負担がでかいため、長時間の使用はできないが。

「でも、もう一つくらい切り札が欲しいところね」

 シェルティが呟く。

「あの夢の試練で、シェルティの天使としての能力を開花させることはできないか?」

 傍らにいるアレグリアに聞いてみた。

「ふむ。確かに異世界人みたいなものじゃからな。できなくはないかもしれん」

「と言うことは?」

「ようはやってみなければ、わからん、と言うことじゃな」

「鬼が出るか蛇が出るか、か」

「勝手に人の能力を化物扱いしないでくれる?」

 プリプリ怒っている様子のシェルティだが、乗り気ではあるそうだ。

「なんせ、天使なんて者がこの世界に来たのは初めてじゃからな。儂にも未知数じゃ」

「やるだけやってみるか?」

「そうね……。悪いことは起きないんでしょ?」

「ああ。それは約束する」

「じゃあ、やるわ」

 覚悟を決めたシェルティと共に、ウェスティアさんの所に向かった。

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