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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄
未開の大地で町を作ります

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模擬戦

 個々の力は上がっているし、人数も予想より増えた。

 しかし決定的に足りないものがある。

 それは集団での戦闘経験だ。

 そこで、戦力を均等に2つに分け、模擬戦を行う事にした。

 指揮に当たるのは部隊一がシェルティとウェスティアさん。

 部隊二をイースティアとヴァルス。

 部隊一のエースは俺。

 部隊二のエースはカオスちゃん。

「では行きますよ。よーい、はじめ!」

 楽器隊の笛が開戦の狼煙だ。

 もちろん楽器隊だってただ楽器を演奏するだけではない。

 相手を操ったり、攻撃ができたり、バフ、デバフをかけられたりできる。

 二部隊はカオスちゃんが先陣を切って一人掛けしてくる。

 そう来るかぁ。

 カオスちゃんに対抗できる人材は正直俺しかいない。

「凄い……カオス様、とてもお強いのですね」

 感嘆の声を上げたのはソネット。

 異世界人の彼女は『本心から発した言葉が嘘になる』と言うもの。

 今回は心の底からカオスちゃんの強さを認めたため、カオスちゃんが大幅に弱体化する。

「そ、そんな……!」

 一般の兵士にも苦戦するレベルまで。

 これは大きな隙だ。

「なら、同じ事させてもらおうかな!」

 今度は俺が一人掛けをする。しかし。

「おい、オレを忘れるなよ」

 機動力に置いては竜魔人連合国随一のハヤテが俺に追随する。

 相手はスリーマンセル。

 こちらは一人。

 俺もハヤテも単独で相手を蹴散らしていく。

「カオスちゃん、ごめん!」

 ペチン、とカオスちゃんに攻撃を加え、戦線離脱させる。

 次に待っていたのはデモンズだった。

 カオスちゃんには負けるが、かなりの力を持つに至った強敵だ。

「いくぞ!」


「右舷、進行が遅れてるわよ!」

「隊列が乱れてる!足並みを揃えなさい!」

 全体への命令系統もなかなか大変そうだ。

 少数の訓練だと上手くいくのに、いざ実戦となると、皆昂ぶっているのか隊列が合わなくなる。

 敵味方が入り混じる混戦となると、目も当てられない。

「弓兵! 今撃ったら味方にも当たるでしょう! 剣を取りなさい!」

 わちゃわちゃとやっているうちに、時間だけが過ぎていく。

 種族差なのか、人間は割と素直に言うことを聞いて、隊列を組み動く傾向があるが、魔族でも、特に獣系や、個人主義の強い悪魔族に多い。

「こんなんじゃ、統制の取れた兵士たちには勝てないわよ」

「はて、どうしたものか……」

 みんなでウンウンと悩んでいた。

「全員改造して、無理矢理言うことを聞かせるしか……」

 ヴァルスがとんでもないことを言い始めた。

「ちょっ、おまっ!」

 コイツなら力づくでやりかねん。

「そうだ、アレグリアにどうすればいいか、占ってもらおう」

 アレグリアは俺の能力を探り当てた名占い師だ。


「ふむ。なるほどのぉ。どうすれば解決できるか、占って欲しい、と」

「あぁ、なんとかならないか?」

「占うのは簡単じゃが、解決できるかは、お主たちにかかっておるぞ?」

「わかってるさ。それでも頼むよ」

「よし、任せておれ。」

 アレグリアは水晶玉を手にする。

 すると、水晶玉はひとりでに浮き、光を放つ。

「そうさのぉ。解決策は身近にあるが、なかなかその力を使いこなせてないようじゃの。もう少しレベルアップすれば、問題も解決するじゃろ」

「それは人なのか? 装備品とか?」

「人じゃの。誰かまでは分からんが、異質な力を持った者じゃ」

「異質な力……。どうすればその力を解放できる?」

「難しいのぉ。儂と聖竜が居れば、なんとかなりそうじゃ」

 しかし肝心の誰かが分からないと何の意味もない。

「誰なんだ……。そこまではわからないか?」

「それを探し出すのも試練じゃ、と出ておる」

 どんな試練だよ。


「ということなんだ」

 俺はシェルティに相談に来ていた。

「身近で異質な力ねぇ。沢山いるわよ? 聖竜に、魔王の息子と娘に、異世界人に、私は堕天使だし」

「そうなんだよなぁ。でもカオスちゃんとかなら、カリスマ性もあるし、皆も言うことを聞くんじゃ!」

「ヴァルスでもダメなのよ? 強さ的にはどっちも同じくらいでしょ?」

 う、確かに……。

「一朝一夕にはいかないわよ。地道な努力と並行して探していくしかないわね」

 結局そうなるのか。


 そして今日も紅白模擬合戦。

 やはり足並みは揃わない。

「これじゃダメだな」

 今回俺は傍観者だ。

 一体なにが足りないんだ?

「お疲れ様です、ヨーイチさん」

 訓練を終えたソネットが話しかけてくる。

「いやね、どうも兵士たちが命令を聞かないで隊列が乱れたり、連携が取れなかったりして、このままじゃ戦場に出るのが不安なんだ」

「あら。確かにこうして俯瞰してみると、指示が届いていないですね」

 ソネットがそう言った途端、いきなり体制が変わる。

「そうか! ソネットが指示が届いていない、って思ったからそれが嘘になったのか!」

 しかし、ソネットのその力は長続きはしない。せいぜいが2時間だ。

「なるほど。聖竜の試練で、ソネットの能力を強化すればいいのか!」

「へ? わたしですか? 今も聖竜様の試練は受けてますが……」

「それは戦闘能力面の話だろ? そうじゃなくて、ソネットが神から与えられた能力を引き出す試練を受けるんだよ!」

「なるほど。確かにわたしの今の一言だけで、長年訓練を重ねてきた兵隊以上の連携になりましたものね」

 そうと決まれば、ウェスティアさんとアレグリアに相談だ!


 

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