もちろん依頼をこなします
ドワーフの集落からさらに歩くこと一週間。
「このあたりなんだが……」
確かに昔隕石が落ちたのか、巨大なクレーターが、できていた。
「こっちの穴や」
クレーターの中心部。そこにはダンジョンと見間違う穴が存在していた。
「かなり深そうだな」
「セントライドも魔力を帯びる鉱物や。好き好んで食べる魔物もいるみたいや。気をつけていくで」
ハーケンを打ち込み、はしごを固定する。
珍しい竪穴式のダンジョンだ。
しかし、洞窟にも地下があった。
そこはセントライド特有の光を帯びた鉱石が無数にあった。
「こんな所にぎょうさん有ったなんてな。ドワーフの名工たちがここに住み着きたくなるわけや」
「早速採取していこう」
俺たちは早速ツルハシを使い、地道に鉱石を掘っていく。
しかし、他人に任せる意味が分からない。
ドワーフの方が手慣れているし、自分たちでやった方が早いだろうに。
それでも他人に任せるということは、なにか裏がありそうだ。
「魔物の匂いがプンプンするなぁ」
やっぱりそういうことですよね、わかってました。
奥に行くにつれ、俺にもその気配がビンビンに伝わってくる。
「ヒュムロス大陸にも魔物がこんなにいるなんて……」
駆逐しきれなかった残党だろう。
いたのはオーガ。しかも本来魔力を有しないオーガたちが群れをなして魔力を帯びるセントライドを手に入れていた。
「そこまでだ!」
「なんだ、貴様らは」
「お前たちのせいで、ドワーフたちが迷惑している。独り占めは止めるんだ!」
俺は抜剣して、相対する。
「面白い。ただの人間風情が我等に歯向かうとはいい度胸だ」
はっきり言って、コイツラは大したことはない。
厄介なのは、一番奥にいるボスらしき一際デカいオーガ。
アイツは一筋縄ではいかなそうだ。
「死ねっ!」
襲いかかって来る雑魚オーガたちを斬り撫でていく。
殺しはしない。戦力になりかも知れないからだ。
しかし、数が多い。
イースティアも殺さないように手加減しながら戦っていた。
「なかなかやるな、人間よ」
ついにボスが姿を現した。
凄い威圧感だ。
「アイァフ!」
巨大な炎の火球。
俺は風の精霊で炎を切り裂いた。
返す刀でオーガの腕を切り捨てる。
しかし、これで終わるほどオーガは容易くない。
切られた腕を拾いあげると、即座にくっつく。
「チートだな」
魔法も回復力も桁違いだ。
「〜〜〜〜〜っ!」
イースティアが超音場をだす。
人間には害はないが、魔物には有効だ。
三半規管を揺らされたオーガはふらふらとタタラを踏む。
「殺す気はない。仲間になってくれないか?」
「なぜ人間の仲間にならなければならない」
「ウチが必要としてるんや」
そう言ってイースティアは聖竜の姿に戻る。
「まさか……。聖竜様が……」
「どうや? 仲間になるか?」
「せ、聖竜様のお力になれるなら!」
これまたラッキー。
ウェスティアさんはこんなことしてくれなかったからな。
「なら決まりやな。仲間も殺してへんよ。皆を引き連れて、未開の大地へ出発や!」
その後はオーガたちの力も借りて、残りのセントライドを採掘して、ドワーフのところへ戻ることにした。
「よくやった。約束通り、我我も力を貸すことを約束しよう」
ドワーフの名工たちも力を貸してくれる事を約束してくれた。
「よし、こらなら今回の遠征は大成功だな」
こうして手応えを感じ、町に帰ることにした。
帰りはやんちゃ三人衆のドラゴンたちに全員乗れたので楽なものだった。
「お前たちも力を貸してな」
「gya!」
幼いため、人語を話すことも、人間に化けることもできないが、ウェスティアさんとイースティアの2人で鍛えればすぐにできるようになるだろう。
そして帰ってきた俺の前には書類の山。
「やっぱりこうなるか……」
「はい、私も手伝いますから、頑張りましょうね」
ヒミカがニッコリと邪悪な笑顔を浮かべる。
書類を片付けながらも一つのことを思い出し、悩んでいた。
「どうしました?」
「いや、この町に名前をつけようとおもってるんだけど、なかなか思いつかなくてな」
「なるほど。私たちの強みを活かしては?」
「俺たちの強み?」
「はい。マギロスは魔物だけ。ヒュムロスは人間だけ。私たちはどうですか?」
なるほど、竜も人も魔物もいる。
「よし、決めた!」
「早いですね」
「明日、主要な人物を集めることは可能か?」
「わかりました。調整してみますね」
こうして名前を決めた俺は明日を待ちわびた。
竜族、悪魔族、オーガ族、ハイゴブリン族、獣人族、人間。
様々な種族の長たちが集まっていた。
「この町の名前を決めた」
ざわり、と周囲がどよめく。
「半端な名前はいやよ」
天使のシェルティが、一言いう。
「納得してもらえるかは分からないが、俺は気に入ってる」
「もったいぶらないで教えて下さい」
ウェスティアさんも待ちきれないようだ。
「竜魔人連合国」
竜、魔族、人間が協力して戦う俺たち独自の強み。
それを考慮して決めたのだ。
「僕はいいと思うよ!」
カオスちゃんが賛成の声をあげる。
「なるほど、確かに。でもその並びだと、強さ順で決まっているみたいで少し抵抗があるな」
人間代表が顔をしかめる。
「ただの語感だよ。強さは関係ない。かっこいいのがいちばんだ!」
「まぁ、そういうことなら……」
渋々納得してくれたようだ。
「よし、じゃあ、これから俺たちは連合を組んで第三勢力としてさらに町を発展させて、国をつくり、戦争に参入する。それでいいか?」
全員が真剣な面持ちで頷く。
よし、これでさらに結束力がましてくれるはずだ。
「で、こくおうなんだが……」
「そこはヨーイチ殿しかおるまい」
「ヨーイチだろ」
「ヨーイチさんですね」
「お兄ちゃんしかいないよ!」
各種族、全員から承認されてしまった。
とほほ……。
まぁ、言い出しっぺがやるのは当たり前か。
俺は腹を括って、国と呼べる規模になったら王になると決意した。
今の所戦闘員5万。
せめてこの3倍は欲しい所だ。
町作りから初めて、国へ発展させるためにも、もっと頑張らなければならない。




