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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄
未開の大地で町を作ります

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聖竜界

 怖いよー。

 ドラゴンが飛び交う中、俺たちは進んで行く。

「だいぶ若い竜も増えたな」

「そうですね。これなら年長のドラゴンなら十二分に戦力になりそうです」

 奥に行けば行くほど、強い竜がいるのだという。

「長老に会っていくか」

 そんなのまでいるの?

 俺の命がいくつあっても足りなくないか?

「怖じ気付いてるんですか?」

 ウェスティアさんにしては珍しく俺をからかうような目で見てくる。

「だって周りドラゴンばかりだよ? 怖いもんは怖いわ!」

 人間にとっても、魔人にとっても、竜という存在は畏怖する対象だ。

 魔力も高く、人型になればパワードスーツやアーマーも装備できるというチートぶり。

 だからこそ強力なドラゴンを仲間に引き入れたいのだ。

「さて、長老の家に着いたぜ」

 あら、意外と早かった。

「聖竜界は意外と狭いんですよ」

「狭いのにこんなに竜がひしめき合っているとは……。おそるべし」

「おう! 長老、来たぞ!」

「お前たちが時空に穴を開けた時から分かってわい」

 壮年の銀髪の男性。この人が長老なのか。

「よく来たな、人間よ。お主の思惑は知っておる」

「流石長老様です。話が早くて助かります」

「しかし、今は頭脳は劣るが、戦闘力に置いてはお主たちより優れたものが何人もいる。それらを連れて帰れるか?」

「説得あるのみです!」

 正直戦いたくない。

「まぁ、展開もバトルで仲間になるのがセオリーになってきてるからな。何かしら新しい方法を考えないとな」

 というわけで、早速強い竜がいる聖竜界の奥深くまで行くことにした。


 説得は今の所順調だった。

 長老が許可したなら、というものが大半で15匹くらい。

 強さはウェスティアさんやセンティアさんと同じくらい。

 それでも十分脅威なのだが、奥にはさらに強い竜がいるという。

「どんなドラゴンなんだろう……」

「長老が言ってたろ? あっちの世界で聖竜やるにはオツムが足りないって。その代わり強さは一級品だ」

「野蛮人てこと?」

「そこまでは言いませんが、好戦的ではあるかも知れないですね」

 止めて! また戦うの!?

 そこへ一頭の竜が現れた。

「弱虫センティアじゃないか。こんなところで何してんだ?」

 センティアさんが弱虫!?

「これから地上で大きな戦いが起こる。そのために戦力がほしいんだ」

「へぇ。地上で戦えるのは悪くねぇな」

「しかし、規約を守らないと神に天罰を食らわせられるぞ」

「こんな所で湿気てるより、よほど楽しそうだ。その話、乗ってやるよ」

 おぉ!交渉がまともに成功した!

 ウェスティアさんもイースティアにしても交渉下手すぎてビビったもんな。

 俺たちはさらに仲間を増やし、最後の砦。ドラグーンマウンテンに来ていた。

 聖竜界の聖山みたいな物らしい。

「ふむ。儂に力をかせとな?」

「確かにお年は召したようですが、未だに聖竜界で最強の名を欲しいままにしている最強の竜。貴方のちからが必要なのです」

「そこの小僧の差し金か?」

「そうだ。地上の戦争を俺がこの手で止めてやる」

「いい心意気じゃ。しかし、異世界の小僧よ。お主の神から授かったその能力でできるのか?」

 ぐっ、俺の能力まで把握しているとは……。

「今までにいない能力を持った異世界人だ。期待もできるだろ?」

「まぁ、そうじゃな。しかし、ただで儂の力を貸すのもなぁ」

「やっぱり戦いか?」

「それが一番じゃろうて」

 ワンパターンだなぁ。でも、やるしかない!

「儂の名はネメシスじゃ」

「ヨーイチキノシタだ」

「では参る」

 ヌルリ、とゆっくり動いたかと思うと、いきなりトップスピードにまで達した。

 どうなってるんだ?

 なんとか最初の一撃は凌いだが、大きく吹き飛ばされる。

 膂力も半端じゃないぞ!

「土の精霊よ!」

 土の精霊には、防御力と攻撃力を上げる作用もある。

「その程度かえ?」

 それでも猛攻は続く。

 この盾でもまともに食らったら終わりだ。

 だから、当たると同時に力を逸らす。 

「ほう、儂の攻撃は見切っておるようじゃな。人間にしては天晴よ」

「そりゃどーも、っと!」

 ネメシスが少し体勢を崩した隙に、連撃を繰り出す。

「ほほぉ。攻撃もどうして、どうして」

 しかしネメシスには余裕がある。

 まだまだ遊びのようなものだ。

「どれ!」

 初めて出したと思われる本気の突き。

「どわっ!」

 体勢を崩した時に、水の精霊の力が籠もった魔石を放り投げてしまった。

「ぬっ?」

 ネメシスの突きで粉々に砕け散った魔石は、濃い霧となって辺りに広がった。

「目眩ましか、なかなかやりおるのぉ」

 ネメシスは俺を見失ったようだ。

 俺はありったけを出そうと、4精霊の力を剣に集約させる。

 初めてやるから不安なんだけど。

「わ、わわわわっ!」

 剣が手の中で暴れ回る。完全に制御不能になった精霊の力は、俺を中心に、円状にその力を爆発させた。

「ぬわーっ! ばかな!!」

 濃い霧の中でどこにいるか分からないネメシスにも当たったらしい。

 霧が晴れると、そこにはズタボロになったネメシスがいた。

 やり過ぎたか?

「まさか、4精霊の力をまとめ上げるとは……」

 いや、纏められなくて暴発したんだけどね。

「ルオナズキ!」

 ネメシスが魔法を唱えると、傷がみるみる治っていく。

「儂にここまでの深手を負わせた人間はお主が初めてじゃ。約束通り、戦闘に長けた竜を引き連れて、お主の町に住まわせてもらうかの」

「ありがたい。よろしく頼むよ」

 こうして俺たちはセンティアにネメシス、その他のドラゴンたちも引き連れて町に帰るのだった。


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