聖山セント・センティア
歩くこと2週間ほど。
「思ったより早く付きそうですね」
着くのに半月。数日は早く付きそうだ。
「痛て」
コツン、と何かに当たった。
「センティアが張った結界ですね。並の者には入れないようになってるみたいです」
「それじゃあ、俺は入れないのか」
「任せて下さい」
そういうと、ウェスティアさんは素手で何かをバリバリと引き裂いた。
「これで通れますよ」
「うわぁ……」
見事な力技だ。
そのまま聖山を登ること二日。
ついに頂上まで来ることができた。
そこに寝転がるのは、ウェスティアさんやイースティアよりも遥かにデカい竜だった。
「ほう、お前か。ウェスティア」
「久しいですね、センティア」
なんか雰囲気悪くない?
「お前の持ち場はどうした?」
「今はマギロス傘下に置いて厳重に管理しております」
「……。自分の役目を放棄したのか?」
「いいえ。私の役目は人に試練を与え、導くこと。ひいてはこの世界の戦争を止めることです」
「では、その男が戦争を止めさせるとでも?」
「えぇ。異世界人ですから」
「面白い。そこのお前。もし私に買っことができたら、お前を主と認め、お前に付き従おう」
蚊帳の外だと思っていたら、いきなり指名が飛んできた。
てか、この世界の人脳筋すぎない? みんな勝負仕掛けてくるんだけど!
「では行くぞ、矮小なる人間よ! 聖竜の力見せてやる!」
「なんでこーなるの!」
センティアは高く舞い上がると、雷のブレスを放つ。
確か雷は風属性だったはず。その相克は土!
「土の精霊よ、俺を守れ!」
俺を囲むように防護壁が展開される。
ブレスが止むと、その姿を消した。
「ほう、精霊まで使いこなすか。思ったよりはできるようだな」
「そりゃどうも」
なんか同じ展開続いてるけど、作者のネタ切れか?
にしても強い。
流石戦闘特化型なだけはある。
カオスちゃんや姉のヴァルスと同等くらいだ。
しかも空を飛んでいる。
なかなか攻撃が届かない。
「どうした、異世界人の力はそんなものか?」
「土の精霊! ストーンブラスト、大弾!」
空飛ぶ竜の頭上から、巨大な岩石が複数降り注ぐ。
「くっ!」
さすがの聖竜でもその巨体では全て避けることは難しいだろう。
すると、センティアのからが縮みはじめた。
人の姿になったのだ。
流石に空は飛べないが、飛来する巨岩を素手で粉砕していく。
「なかなかいい攻撃だった。次はどんな手でワタシを楽しませてくれるのかな?」
人の姿で空を飛べないなら、攻撃を与える隙はある。
俺はいつもの剣からもう一本持参した剣に持ち変える。
「剣を変えただけでワタシに勝てると思うか?」
「あぁ、勝てる」
「甘く見られたものだな。行くぞ!」
目にも写らないような速さで迫りくる爪、牙、尾。
俺は感だけで捌いていた。
かすり傷でも負わせられれば……!
「ワタシの猛攻をここまでしのいだ異世界人は始めてだ」
さらにギアをあげ、攻撃の手を緩めずに猛追を仕掛けてくる。
「くっ!?」
だんだんかわしきれなくなってきた。
噛みつこうとした口に、思わず剣を突っ込む。
この剣の切れ味も国宝級だ!
センティアは一瞬離れて血を吐き出した。
「ワタシに流血させるなんて……。異世界人としては初めてかもな」
途端、センティアが崩れ落ちる。
「ち、力が抜け……っ!」
そう、俺が持ってきた剣は、かつてウェスティアさんの力を封印した、魔剣だった。
「もしかして、伝説の!?」
「そうだ。こちらがかすり傷でも負わせれば片が付く」
「くそっ!」
そうこうしてる間に、センティアは力の大半を奪われ、少し強い低度の竜族になりさがる。
「あ〜あ。ワタシの負けだね。アンタの口車、乗ってやるよ」
よかった。
「じゃあ、ここの統治は土の精霊に任せよう」
無口な土の精霊は呼び出されると、センティアが守ってきた魔穴の守護にはいった。
これでセンティアに力を引き渡せる。
「しかし、とっさにあんなこと思いつくなんてやるな、ヨーイチ!」
まるで親友のように肩に手を回すセンティア。
おっぱいが当たりまくっている。
「センティア、あまりヨーイチさんにくっつくのは止めなさい」
「おぉ〜こわ。で、次はどこに向かうんだ? 早速町か?」
「いえ。聖竜界に向かいます」
「正気か? 下手したら、ワタシたちより強い竜たちがいるかもしれないのだぞ?」
「そんな半端な覚悟で第三勢力立ち上げなんて考えてないさ」
俺は啖呵をきる。
「……。まぁいい。竜も野蛮なだけではない。しっかりと話し合いの場を設けられれば、なんとかなるかもな」
そうして2人が虚空に手をかざす。
「エル・ギム・アマラ。ガン・グラマトン」
俺には意味が分からない言語で話す。
これが聖竜界へ行くための呪文なのだろう。
黙って見ていると、空中になんとも言えない不吉な色をしたゲートが現れた。
「これ入るの? 生きて出てこれなさそうなんだけど」
「「もちろん」」
2人に言われてしまった。
こうして俺は恐る恐る、聖竜界に足を踏み入れた。




