襲撃!
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最近この土地で発展している町がある。
それもここ数ヶ月で急激に、だ。
今まで最大派閥だった我等の町を遥かに凌駕する勢いだ。
そんなこと許されてなるものか。
我等こそが最強!
我等こそが無敵!
強者優先主義の我等に勝てる部族などおらぬ。
なれば、その町。我等が蹂躙しつくしてやるわ!
「ふぅ」
今日の業務が一段落した所で、ヒミカがお茶を持ってきてくれた。
「ありがとう。……。あぁ、落ち着く……」
しかし、ヒミカはただお茶を持ってきただけではなさそうだ。
「実はですね、魔族の方々も魔力を強化できるようなパワードスーツがほしいといい出しまして……」
これは意外。
魔人は己の肉体と魔法力だけで、戦いたがると思っていたのだが。
「たしか、シェルティの装備が、『魔線鋼)』とかでできてて、魔力の強化や回数の回復をしてくれるそざいだったはず。それ使えば?」
「馬鹿言わないで下さい! そんな高価で希少なもの、人数分揃えられるわけないじゃないですか!」
「ヒミカでも無理となると、入手難易度は高すぎるか」
ヒミカは凄腕の商人でもある。
その仕入先のルートも超一流の商会ばかりで、それでも手に入らないとなるとお手上げだな。
他に代替案があればいいけど。
「俺に相談しても、なにも出てこないぞ? それとも、代わりの素材かなにか当てがあるのか?」
「ないことはないですが、普通のパワードスーツに魔力を付与するほうが効率的で強力です。ヨーイチさんならなんとかできるんじゃないかとおもって……」
それで相談に来たのか。
シェルティに聞いてみるか。
最近まったく出番がないから、忘れてる読者も多いだろう。
最近では少し天使の力を取り戻しつつあるシェルティは、この世界の裏事情を垣間見ることができる、という特殊でチートな能力を発現していた。
そうと決まれば善は急げだ。
「ほんっとうに久しぶりね」
やべ。結構ご立腹だ。
ゴブリン退治の時に少し活躍したくらいだからなぁ。
まぁいいや。用事を済ませよう。
「というわけで、良い素材がないかさがしてるんだけど」
「まぁ、ヨーイチの言うとおり魔線鋼が一番よね。ちょっと待ってね」
そう言って取り出したのは魔法の本。
その名を「万物の書」という。
この星のことがなんでもわかるすぐれものだ。
いや、チートすぎるだろ。俺より活躍できるじゃん。
「あった。魔線鋼はこの大陸で大量に取れるそうよ」
「マジか! 灯台下暗しだな」
「でも、残念なことに有力部族に独り占めされてる状況ね」
「よし、わけてもらえないか話に行ってみるか」
こうして俺が出かける準備をしてる時、ハヤテが飛び込んできた。
「ヨウ! 敵襲だ!」
攻め込んで来たのは大量の悪魔たち。
おそらくはこの大陸の先住民族だろう。
俺たちの初めての実戦になる。
これを乗り切れば、皆にも自信が着くだろう。
「迎撃体勢を取れ! 皆で迎え撃つぞ! 民間人に傷一つつけさせるな!」
こういう時、シェルティは役に立つ。軍師みたいに戦略を立てるのが上手い。
「敵は町の南側と東側から来てるわ! 共に数は5000! 合わせて10000ほどよ。私たちは数の上では負けてるけど、質では明らかに勝ってるわ!」
東側にはカオスちゃんが行ってくれている。この時点で勝確だ。
南側はデモンズと俺が最前線にでる。
ウェスティアさんとイースティアは最後の切り札だ。
戦闘員になるべく多く実戦経験を積ませるためだ。
「南側は平原だけだ。視界は広い。しかし、弓矢や投石器が厄介になる可能性がある。十分に気をつけるぞ」
俺はシェルティからの助言をそのまま皆に伝える。
みな、うなずきながら、敵の襲来を待っていた。
緊張している者。
恐怖している者。
興奮している者。
やる気のある者。
それぞれの重いが交錯するなか、ついに敵兵の姿が見えた。
魔法が飛び交い、銃弾が頬をかすめ、剣戟が火花を散らす。
戦闘は最初から混迷を極めていた。
しかし、その身一つで戦う悪魔たちに対して、俺たちはヒミカが揃えてくれた強力な武器、防具、パワードスーツ、アーマーがる。
強力な個体が多い上に数でも負けている。
しかし、初戦闘とは思えないほど個々の強さとチームワークが抜群に光っていた。
「これなら……」
空を飛べるものはこちらは少ない。
そのため、戦闘よりも情報をどうシェルティにいち早く伝えるか、が使命となっていた。
「東側はカオス一人で大丈夫よ! 皆南へ行って!」
その伝令も素早く前線に届く。
「へへ。いい所お兄ちゃんに見せちゃうもんね」
その歩みは正に魔王の行進そのものだった。
「東側はカオス様で十分とのこと! 助太刀いたす!」
ありがたい!
これで数の不利もほぼなくなった!
「貴様がこの町の代表か?」
「!!」
いきなり俺の背後に、一人の悪魔が現れた。
いつの間に……。
「貴様のようなひ弱な人間が、パワードスーツもアーマーも装備せず前線に立つとは」
頬に痛みが走る。
いつの間にか俺の顔の横に拳があった。
見えないほどのスピードで、突きを放ったのだ。
「蹂躙してくれるっ!!」
コイツはヤバい!!
剣を抜き、魔石を装備して構える。
「!?」
勘だけで剣を振るうと、相手の爪とかち合った。
「ほぅ、この動きを見切るとは。
「ただの当てずっぽうだよ! っと」
しかし、術中にハマったのは相手だ。
俺が装備したのは「収納石」
今、デモンズは『自分の意志』で戦っている。
つまり、デモンズには収納石は必要ないのだ。
「ば、ばかな!?」
悪魔の親玉が収納石に吸い込まれていく。
これで、俺が解放すると言わない限り、この悪魔は俺の命令を聞かなくてはならない。
「親玉は軍門に下った! あとは下っ端を蹴散らすだけだ!」
わぁ、と勝ち鬨が上がる。
「ま、まだ名乗っても無かったのに……。無念……」
悪魔は一言つぶやくと、完全に収納石に収められた。
一度瓦解した軍勢は脆いものだった。
逃げ出すもの、最後まで抵抗する者。投降する者。
俺たちの目的は言ってしまえば、この大陸の平定だ。
わざわざ殺すことはない。
投降を促すように言ってあった。
こうしてあっさりと勝った俺たちは、さらに戦力を増強できたのだった。




