部族平定
俺は少しでも仲間になってくれそうな人たちを探して、各町を歩いていた。
すんなり行く町もあれば、難航する町もある。
そんなおり、スライムだけの町を見つけた。
某ゲームだと最弱のモンスターだが、この世界では違う。
強力な酸で防具を溶かしたり、人間や魔人を丸呑みして吸収することもある、なかなかに厄介な敵だ。
「旅人とは珍しいですな」
町長だろうか。年老いてみえる(?)スライムだ。
「あぁ。実は最近町を作ったんだ。その町に引っ越してくれる仲間をさがしている」
「ほぉ、仲間を集めてどうするおつもりかな?」
「セントラル大陸に乗り込んで、第三勢力として戦争に参加して勝つ」
「ほほぉ、それはまた壮大ですな」
町長は俺を自宅に案内してくれた。
スライムが住むには十分すぎる広さがあった。
「強力したいのはやまやまなのですが、少し困ったことになりましてな」
「こまったこと?」
「実は、毎晩ゴブリンやな狙われて、食料や農具を盗まれているのです」
「でも、あんたらならゴブリンごとき敵じゃないだろ?」
「それが恐ろしく強い上、逃げ足も相当早く……」
「まぁ、スライムはあまり早く移動できないからな」
「そこで、そのゴブリンを退治してほしいのです」
「わかった。仲間を呼んで、装備を整えてくるから、ちょっと待っててくれ」
こうして俺は、試練で忙しいウェスティアさんを除いて、シェルティ、カオスちゃん、ヒミカを連れてスライムの町へと戻った。
時刻は夕方。奴等が現れるのは夜だということだから、いいタイミングだったかもしれない。
「おぉ、これはこれは。立派な装備ですな」
お目が高い。俺たちの装備が上等の物だと一発でわかるとは。
「ゴブリンはいつくらいに出没するんだ?」
「大体あと3時間くらいかと……」
その間、俺たちは町の入口や、入り込みやすそうな場所を見つけてスタンバイする。
待ち疲れる頃に、鳴子が音を立てた。
ゴブリンか野生のモンスターか分からないが、なにかがこの町に近づいているようだ。
「来たぞ」
俺は気合を入れ直して、臨戦体勢にはいる。
俺の前に立ちはだかったのは、ゴブリンと呼ぶにはあまりにも大きすぎた。
「これ、オーガレベレだぞ?」
力もあり、素早さもあり、耐久力もある。
今の俺では勝てないかも知れない。
シェルティ、カオスちゃん、ヒミカは互角以上の戦いを繰り広げている。
俺も負けるわけにはいかない。
一体は巨大だが、のこり二体は普通のゴブリンだ。
まずはそいつらを倒していく。
そして、巨大ゴブリンと相対した。
「この村を明け渡せ」
「喋れるのか?」
「元々は我等の土地ぞ」
どうやら元々ゴブリンたちが住んでいた所に、スライムたちが住み着いて町を作ったらしい。
「なら、俺の仲間にならないか?」
「なに、言ってる?」
「俺は強いやつを探してる。お前みたいな、な」
「何を寝ぼけた事を。こんな俺なんかをスカウトしてどうなる」
「言ったろ? お前が欲しいって」
「……。本気のようだな」
「あぁ。なんだったら、仲間も一緒にどうだ? 俺の街なら受け入れられる。こんな盗賊まがいのことをしなくても、真っ当に生きられるぜ」
「……。しかし、ここは俺たちが住んでいた場所だ。それを取り返さずして、他の地に移ることはできん」
「なら、俺が話をつけてやろうか? だから、無駄な暴力は止めて欲しい」
「わかった。お前に期待する。」
こうして俺はスライムの町長の所に戻ったのだった。
「ゴブリンたちが攻めてこないのですが、なにかありましたかな?」
「ゴブリンの親玉と話をしてきたんだ。ここは元々ゴブリンたちの住処だったらしいな」
「……。はい。そのとおりです」
「なぜ住処を奪うような真似をしたんだ?」
「それは、ここの水がとても綺麗だからです。我々スライムは、水が綺麗な場所でなければ生きて行けないのです」
確かに近くを流れる川はとても澄んでいる。
しかし、それだけの理由で他人の町をぶんどるのもどうかと思う。
「なら、もっと綺麗な水がある所になら引っ越しするか?」
「もし、そんな場所があるなら喜んでここを出ていきましょう」
よし、言質はとった。あとは俺の町に住まわせるだけだ。
水の精霊の出す水より綺麗な水源なんてないからな。
「じゃあ、俺のいる町に来てくれ。ここよりきれいな水が豊富にある」
スライムも立派な戦力なるだろう。
そう思い、提案をする。
「数日の猶予を。すぐにこの町から出ていけるわけではないので」
「わかった。ゴブリンたちに知らせよう」
俺はゴブリンの親玉の所に戻ると、その事を伝えた。
「コレでもう、スライムと争う必要はないよな?」
「あぁ。俺たちはこの町さえ帰ってくれば問題ない。その礼として、俺たちゴブリン一族もお前の力になろう」
「よかった。こっちには、セントイースティアとセントウェスティアがいるから、今よりもっと強くなれるぞ」
「では俺たちゴブリン族600名は、お前たちの傘下に入ろう」
「私たちスライム族も、綺麗な水があると言うならば、お供いたしましょう」
こんな感じで、少しずつ仲間を増やしては、ウェスティアさんとイースティアに特訓をお願いして、皆の底力をアップさせていた。
が、ある日とんでもないことが起こってしまう。
「ヨウ、久しぶりだな!」
ハヤテが俺のところに慌てた様子で駆け込んできた。
「どうした? って、何だこりゃ!!」
ハヤテの身体が、明らかにデカくなっている。
「俺は魔人でも、悪魔系の魔人なんだが、俺より位の高い悪魔に変身できるようになったんだ!」
そこで調べてみたところ、今までより強くなるに連れ、クラスが上がる種族が続出してるとのことだ。
「こんなのってありなのか?」
俺はウェスティアさんに聞いてみることにした。
「私も同じ人物に何回も試練を行った事がないので、こんなことになるとは思いませんでした」
「それはウチも一緒や。人間もスーパーが付くような変身するようになったしな」
サ◯ヤ人かよ。
でもこれはとんでもなく嬉しい誤算だ。
まだ戦争するには人数が足りないが、個々の技量が高いに越したことはない。
俺も隙を見て特訓してもらってるが、妙な勝ち方しか出来ていない。
しかし、聖竜相手に勝てる事自体がすごいことなせいか、皆から一目置かれるようになった。
「その割には俺は進化しないな」
「貴方は元々が異世界人という特別な存在ではないですか」
まぁ、そうなのだが、魔力回路が発達して魔法が使えるようになったりとかしたらかっこよかったのに。
でも、町は順調に発展してきている。
戦闘員も3000人を超え、その家族の非戦闘員も含めると10000人は超える大所帯となった。
ヒミカも増える戦闘員に対して武具を作るのが楽しそうだ。
しかし個々は未開の大地。まだまだ秘密の隠された土地だった。




