魔穴で町作り!
「さて、ここで私たちは国を作って行かなくてはいけないわけですが、大切なものを手に入れていません」
「大切なもの?」
「そうね」
「できれば大きいのがいいね」
「ヒュムロス大陸ではあまり意味をなしませんからね」
俺以外全員わかってるポイな。
なんだろう。
「あぁ! 魔脈か!」
「正解です」
そうだ、魔脈があれば、魔石やウェスティアさん、シェルティの魔法回数を増やしたり、回復したりできる。
「私のパワードアーマーも、強化できますよ」
とヒミカ。
「え? そうなの?」
その割にはヒュムロス大陸の人たちは魔脈を抑えようとしてなかった気がするけど。
「ヒュムロス大陸は、昔、魔族と人間が争っていた時に、ほぼ枯れたのです。今、目立った魔穴はイースティアのいる聖山くらいになってしまいました」
「なるほど……。でも、この大陸には聖山はないんだろ? ならそれに匹敵する魔穴はないんじゃないか? 魔脈はほっとくと暴発するんだろ?」
「私がの力で抑え込んでたのさ」
とフレイア。
なるほど。ヒュムロス大陸の聖山の魔穴も、一時風の精霊に押さえてもらってた事があったな。
「この大陸で一番デカい魔穴なのか?」
「あぁ。少なくとも私が旅に出るまではな」
「まだその魔穴よりデカいのは見つかってないのか?」
町長に尋ねる。
「えぇ、見つかったという報告は受けてませんね」
「なら、その魔穴周辺を俺たちの根城とするか!」
こうして俺たちは魔穴へ向かった。
「コレは……。聖山にも劣らない魔穴ですね」
確かにデカい。
昔見た魔の泉レベルの大きさだ。
「コレだけ大きければ、色々できそうね」
シェルティもウハウハだ。
「ヒミカ、ここに町を作って行きたいと思うんだけど、資材とかを調達することは可能か?」
「はい! カルビムの町の人たちに、手伝ってもらうことになりました!」
「僕の私兵の100人にも建築は手伝わせるよー」
ヒミカもカオスちゃんもやる気満々だ。
そんな中、浮かない顔をしているのがウェスティアさんだった。
「ウェスティアさん、どうかした?」
「いえ、こうなると私の聖竜としての力が使えないのは痛いな、と思いまして……」
確か、訪れた者に試練を与えて、その試練に打ち勝った者に力を授ける、というような力だったはず。
「それに、この大陸の魔脈を全て掌握するし、ここに集めることくらいは可能です」
この人は俺の心のなかでも読めるのだろうか?
「あ、それなら父上にお願いして、マギロス大陸の聖山の魔穴、父上に管理させようか? そうすれば、ウェスティアさんの力の入った魔剣から、力を引き出すことも可能じゃない?」
なるほど。そうすれば魔族たちも潤って生活も豊かになるし、ウェスティアさんも力取り戻せて一石二鳥だな。
「そんなことできるのですか? あの魔穴の扱いを間違えれば、マギロス大陸の魔脈全てが死に絶えますよ?」
「その辺は大丈夫みたい! 父上に任せてよ!」
「そういうことであれば、任せますが……」
「ホラ、ついたよ」
フレイアにうながされて前を見ると、そこには大きな魔穴があった。
本当に泉レベルだな……。
「あぁ……。魔素が気持ちいい」
風の精霊と土の精霊が出てきた。ついでに水の精霊の成れの果ても。
「同じ精霊なのに、はじめましてだね」
「やっと会えたよー」
「はじめまして」
「それはこっちのセリフ」
挨拶も三者三様だ。
「このスライムはなんだ?」
午後でも擦られる水の精霊。
「力は奪われたけど、水の精霊よ!」
「なんと! ひ弱なスライムかと思ったよ」
ケラケラと笑うフレイア。
「あ、そうだ! 私イースティア様に呼ばれてたんだ、行かなくちゃ」
スライムもとい、水の精霊は、イースティアとの用事があるらしく、サッサといなくなってしまった。
「ま、まぁ、とにかく、四大精霊も揃って、この大陸一番の魔穴も手に入れられたし、ここを拠点に町を作って行こう!」
「「「「おぉ~!!」」」」
なんかオラ、ワクワクすっぞ!
とはいえ、やることは地道。地面を掘って、土台を作り、その上にまずは町を囲む防堤をつくり……。
とても俺たちだけだと終わらないような気の遠い作業が待ってた。
さて、アレから一週間。
カルビムの町の人々はほぼ、全員こちらに引っ越してきたいた。
外壁を作る者と家を建てる者に別れて、作業をしている。
「いっくよー! アナホリック!」
カオスちゃんの穴掘り魔法で土台を掘り、土の精霊のどんな土でもダイヤモンド並に硬くするというチート技で外壁は一応できた。
水は水の精霊の力を使って、無限水道が出来上がっているし、風の精霊がいれば無駄に雨や風がふいたりしない。
「な、なんですかな!? この石はっ!!」
マギロス大陸から来た商人が、土の精霊が作った硬すぎる石を手に、驚きの声をあげている。
「こんなの、マギロスでもヒュムロスでも手に入りませんよ? コレを独占できたらすごい利益になると思いませんか?」
ニコニコとヒミカが悪魔の声で囁く。
ヒミカいわく、この商人たちはまだ小さいながらも、目利きの良さ、交渉の落とし所、販路の開拓などに置いて今最も勢いのある商会らしい。
「た、確かに、コレほどのものを独占契約で売って頂けるなら、我々はなんでもやりましょう!」
なんたって世界で唯一の物だからな。
「あ、みんなー!」
向こうから来る重装備の兵士たち。
「カオス様、お待たせいたしました! 我等カオス私兵団100名、ただいま到着いたしました!」
おぉ、カオスちゃんの兵隊たちも到着したか。
「あ、これがウェスティアさんの力の籠もった魔剣だね! ありがとうー! ウェスティアさーん」
カオスちゃんはサッサと駆けていく。
「あ、あの! カオス様、我々は……?」
「あー……。とりあえず、そっちに兵士の詰め所あるから、そこにいてくれる?」
「ヨーイチ様! かしこまりました!」
「ちょっとヨーイチ、肩もんでよー」
「お前は働け!!」
シェルティだけは通常営業だった。
というわけで。
剣に封印されたウェスティアさんの力を解放する時がきた。
「この封印を解くのはヨーイチさんにしかできません。剣を手にとって、『封印解除』と言って下さい」
「わ、わかった」
俺は剣を掲げ、封印を解く。
「『封印解除!』」
大量の光が溢れると、ドラゴンの形を作る。
光のドラゴンはそのままウェスティアさんに吸い込まれていった。
「ふぅ。懐かしいですわ、この感じ……」
ウェスティアさんの青い瞳が金色に変わっている。
そして、おそらくは魔力回数も身体能力も桁違いに高くなっているだろう。
俺だってソレなりに戦ってきたんだ。相手の強さくらいは大体わかる。
でも、ウェスティアさんのソレは上限が読めない。
「これが……。聖竜!」
「さぁ、私は魔穴のところまで行って、この大陸の魔脈管理に入ります」
「お手」
「はい」
俺が手を差し出すと、素直に手を乗せてくれるウェスティアさん。
「って。なにやらせるんですか!!」
「あははっ!! 俺の命令聞くのは癖になってるな!」
「〜〜〜っ!! もういいです!」
顔を赤くしたウェスティアさんは、竜の姿のまま、魔穴へと飛んでいってしまった。




