新しい仲間。がまた。
港町コムラン。
流石に賑わってるな!
久々の都会に、一行もテンションが上がっている。
かく言う俺もウキウキしてる。
「所で皆さんの武具はかなりいいものですよね? マギロス大陸の素材でできてますが、どこでこれほどの装備を?」
「マギロス王のデウス様と仲良くなってね。王家御用達の武具屋を紹介してもらったんだ」
「すごいですね! 私も自分のパワードアーマー出多少戦えますが、皆さんには負けてしまいそうです」
「当たり前よ。鍛え方が違うんだから」
シェルティが鼻を伸ばす。
盗賊との戦いで結構苦戦してましたけど?
「ここでメタルブラストの巨大宝石換金したいんだけど、高く売れるかな?」
「任せてください。ガッツリもうけてまやります!」
ウェスティアさんとは違う意味で頼りになりそうだ。
そしてある意味シェルティとも相性が良さそうだ。
俺たちは船を手配した後、町を散策することにした。
船長には
「金をもらうから行くが、本当に何もないところだぞ?」
と念を押されてしまった。
それでも行く、という俺たちに無言で帽子を取って挨拶してくれた。
さて、俺たちはいいけど、ヒミカの装備を整えてあげたい。
幸い船が出るまで3日間あるから、その間に色々準備しよう。
「このアイテムボックスもすごいですね……。この中だけで、3LDKくらいの広さがありますね。あなた達は一体何者なんですか?」
「話せば長くなるんだけどね……」
時間はある。
ご飯をたべながら、俺は今まで起こった事をこと細かく説明した。
「セントイースティア様に異世界人に、天使に魔王の息子さん……。信じられませんが、ヒュムロスのクーデターから大陸を守ったことと言い、私のパワードアーマーを破ったことといい、説明がつきます!」
信じてもらえないかと思ったが、案外すんなり受け入れてもらえた。
「じゃあ、町に出て買い物でもしようか。ヒミカの装備も今のうちにもっと良いものに改造して」
「わかりました! 交渉事は任せてください!」
相場より安く食料品や衣類、魔法付与されたアクセサリーなどを手に入れることができた。
「じゃあ、私は自分の装備を整えちゃいますね!」
近場でパワードアーマーの整備所を借りて作業するらしい。
「ヨーイチもかなり強くなったし、私たちとの特訓も身体がなまらない程度でいいわね」
「はい、人間の身にしては強い部類だと思いますよ。魔法を使わない私よりは強くなったかも知れませんね」
シェルティとウェスティアさんも太鼓判を押してくれる。
「じゃぁ、僕と特訓だね!」
カオスちゃんには未だに赤子扱いされるけど。
シェルティは海へバカンスに。
ヒミカは山へ芝刈り……。ではなく、整備所でパワードアーマーを作りに。
カオスちゃんは町へ食べ歩きに。
ウェスティアさんは市場で装飾品を見に。
なにげに異世界で一人、町中を歩くのは初めてかもしれない。
特にやることもないので、冒険者ギルドの訓練場に来てみた。
暇な時間に何をすればいいか、わからなくなってるなぁ。日本にいた頃は暇ばかりだったはずなのに、何してたんだろう。
ヒュムロスでは、訓練場でもやはり、パワードスーツを着て身体能力を底上げしてる人が多いな。
その代わり、地の剣術や銃の使い方があまりなってない気がする。
奥にはパワードアーマー用の訓練場もあるみたいだ。
なんとなく興味を惹かれてそちらに行く。
おぉ! なんか迫力あるな!
パワードアーマーもそうだが、ここの訓練場が特別なのは、飛行能力のあるアーマーも訓練できる所だ。
俺たちが旅して来た所だと、ヒュムロス城下町位しかなかった気がする。
「へぇ。人間のクセに、スーツもアーマーも装備してない奴がいるとはね」
一人の冒険者が話しかけてきた。
「ど、どうも……」
赤い髪が特長的な人間の女性。そういうその人も、アーマーもスーツも装備せず、背中に背負った長剣のみで旅をしているらしかった。
「装備品も一級だけど、どっかの貴族のボンボンってわけでもなさそうだね。どっから来た?」
「マギロスから来たんだ。今の装備もマギロス特製の物さ」
「どうだい? アタシとやらないか?」
ウホ!
「胸を借ります」
そう言って訓練場の開けた場所に移動する。
「人間なのにスーツも装備してない奴が2人も?」
「なかなか面白そうじゃないか」
人集りもできた所でお互いに剣を抜く。
強いな。
構えただけでわかる。
それは見ていた人たちも同じだ。
戦場で鍛え上げた鋭利な刃物の様な緊張感が走る。
来るっ。
上段からの切り下ろし。
ロングソードよりも長い間合いの剣から放たれる剣戟は、俺の脳天に吸い込まれるように降ろされた。
俺は左の円盾を添えて、剣筋をそらし、素早く突きを2、3発放つ。
動体視力強化のゴーグルを装備してない人には、俺の突きは彼女の胸を貫いたように見えただろう。
残像が見えるほどの素早さで、身を翻す。
彼女の攻撃を避けて、態勢を崩したはずなのに。
「すげぇ……」
「何が起こってるんだ?」
(止まらない!)
長剣だが、それを感じさせないしなやかな動きだ。
近づけば細かく振られた剣に邪魔され、距離を取れば、それこそ思うツボだ。
俺は盾と鎧の防御力を信じて、自分の剣の間合いで勝負する。
かといって、相手の攻撃をまともに食うわけにはいかない。
当ててそらす。
添えて弾く。
それを意識して防御力しながら、俺が狙うのは相手の指だ。
「思ったよりやるね! じゃあ、こういうのはどう?」
剣の先から炎が吹き出す。
「うわっ!」
慌てて避けるが、後ろにあった木製人形が消し炭になった。
「次!」
3発同時に飛んでくる。
魔法特有のタイムラグがないのはどういうことだ!?
俺は魔石に吸収された水の精霊の力を解き放つ。
「ウォーターウォール!」
水の壁が炎を包み込み、鎮火させる。
契約できてないとはいえ、なんだかんだ力を貸してくれる精霊たちに感謝だな。
「なっ!? その力は!!」
あまり精霊の力を人に見せたくなかったけど、そうしないと俺が消し炭になるからな。
「ここまでにしようか」
そう言って赤い髪の女性は剣を納めた。
「あぁ……」
俺も剣をしまい、戦闘状態を解除する。
それから赤い髪の女性、フレイアと食事をすることになった。
「なぁ、フレイア? さっきのは魔法じゃないよな?」
「そういうアンタこそ、魔力なんかなさそうだけど?」
それからお互いの身の上話にはいる。
どうやら彼女は未開の地に暮している、部族の出らしい。
「ちょうど、自分の村に帰るつもりだったんだ」
「ならちょうどいい。3日後に俺たちも未開の地に渡るところだったんだ」
「物好きだね。何もないところなのに」
「まずは火の精霊に会いたいんだ」
その言葉にピクッと反応するフレイア。
「人間のクセに、精霊の力を使えるなんて珍しいね。四大精霊の力を手に入れてどうするつもり?」
「第三勢力を作って、セントラルの戦争に参加して勝つ」
キョトンとした顔をして、フレイアは次の瞬間には笑いはじめた。
「はははっ!! マジで言ってるのか?」
「マジもマジ、大真面目だ」
「いいね、気に入ったよ! まずは私たちの村に来ると良い。歓迎するよ!」
そう言って握手を求めてきた。
「こちらこそよろしく」
その手を握り返した。
なんか、真面目な戦闘したの初めてかもしれない。




