情けない……
こうして馬鹿でかいメタルブラストを倒した俺たちは、ランディたちに向き直った。
「これに懲りたら、せこい真似はやめて、実力相応のクエストを受けて、一からやり直せ」
言ってやったぜ。
「く、くそ……。こうもコテンパンにやられちゃしようがねぇ。今回ばかりはお前らに勝ちを譲ってやる!」
いかにも小物が発するような捨て台詞を吐いて、ランディ隊は撤退していった。
「お兄ちゃん、すごいよ!」
超巨大メタルブラストの心臓を手に入れたカオスちゃんが寄ってくるが、その大きさにビビった。
カオスちゃんほどの高さに、抱えきれないほどの大きさだ。
「はぁ、これは凄いな」
「こんなのめったにとれないですね」
「私たちで換金しましょうよ! ギルドに渡すより、絶対お金出してくれる業者あるって!」
ウェスティアさんもシェルティも大はしゃぎだ。
それから3日間、俺たちはメタルブラストを狩りまくった。
「こ、こんなに……?」
受付嬢も驚いている。
「たまたまメタルブラストの巣にぶち当たったみたいでな。たんまり稼げたよ」
そう、行く先々で 大量のメタルブラストに遭遇したのだ。ラッキーだったな。
さて、路銀はたんまりあるから、かなりいい旅ができそうだ。
さてどうするか……。
「南の港町に行ってみましょう」
ウェスティアさんが提案する。
「南? これ以上どこに行くんだ?」
「火の精霊に会いに行きます。それに、その方がヨーイチさんには都合がいいのでは?」
確かに未開の大地というのは俺にとっては魅力的だ。
魔族とも人間とも会って、どちらも良い人ばかりで、できればどちらか片方に不利益を被って欲しくない。
そこで俺は一つの考えに至った。
『俺が第3勢力を作り、戦争で勝利する』
そのための地として、未開の大地を開拓しようというわけだ。
「そんなこと考えてたの!?」
「お兄ちゃん大胆!」
俺の思惑はウェスティアさんにはわかっていたみたいだが、知らなかったシェルティとカオスちゃんはかなり驚いたようだ。
「カオスちゃんはどうする? 魔族側の人間だし、俺に付いてこなくても……」
「やだ! 付いてく!」
よかった。
カオスちゃんが付いてきてくれるなら、心強い。
なにより、俺に懐いてくれてるのが可愛い。
「よし、未開の大地へ行って、まずは火の精霊に会おう」
こうして俺たちは未開の大地を求めて、南の港町コムランに向かうことにした。
「ここで会ったが3年目! 有り金全部置いていきな!」
盗賊が5人現れた!
「いや、3年目も何も初対面ですけど……」
「うるせー! 盗賊の挨拶みたいなもんだ!」
「コイツら大したことないわね」
シェルティさんは相変わらずお口が悪い。
まぁ、俺から見ても雑魚なんだが……。
「お兄ちゃん! 新しい呪文覚えたから試してみていい?」
おや、カオスちゃんが魔法とは珍しい。大体身体強化位しか使わないのに。
「ミーデール!!」
カオスちゃんが呪文詠唱すると、盗賊たちは途端にソワソワし始め、お腹を押さえた。
「く、くそ!」
戦う前から苦しげな声をあげる盗賊たち。
「……。どんな呪文使ったの?」
「ふふふ。この呪文に掛かった者は、うんこがしたくなるの!」
ちょっ! なんて凶悪な……!
「くそ、が! 覚えてろよ!!」
こうして見事? 盗賊を退治した俺たちは旅を続けることにした。
ていうか、この尺いるか?
歩くこと2日。
俺たちは小さな宿場町に来ていた。
基本的には道が整っているため、歩きやすかったな。
小さいながらも賑わっている。
きっと、ここが港町コムランの中継地点なのだろう。
「今日はここでお泊りね」
珍しい物も無さ気な町なので、シェルティのテンションが低い。
まぁ、ほんとに宿ばっかりだしな。
「お願いします!」
一人の老婆が通り過ぎる人に声をかけている。
しかし皆見て見ぬふりだ。
「ちょっとヨーイチ。助けようなんて思ってないでしょうね」
「思ってるよ」
俺は老婆に声をかけた。
「どうしました?」
「あぁ、やっと話を聞いてくださる方が……。実は、大事な孫娘が」
老婆相当焦っている様だ。
無理もない。大切な家族が攫われたのだから。
「俺たちでよければ話を聞かせてください」
老婆から聞いたのは2つ。
ここいら辺りを根城にしている、30人からなる盗賊団。
その盗賊団に狙われた少女を助けるために法外な金銭を要求されたこと。
「俺たちなら、50人だろうが、100人だろうが大丈夫だろ」
俺が比較的弱くても、他のメンバーがサポートしてくれる。
「お兄ちゃんらしいね!」
カオスちゃんも行く気満々のようだ。
「こうなると思ってました」
「まったく、お人好しなんだから」
なんだかんだ言いながら付き合ってくれる2人。
やっぱりこのパーティーは最高だ。
「その盗賊のアジトはわかりますか?」
「ここから北のモスマン山としか……」
「ありがとうございます。全力を尽くします」
「ありがとうございます……!」
この老婆のためにも必ず期待に応えなくては。
モスマン山脈。
ここまで数人の盗賊と戦い、そのアジトを吐かせていた。
「ヨーイチも人殺しに慣れてきたわね」
「嫌な言い方するなよ。一応魔族だろうが人間だろうが、躊躇ってるんだから」
それでもこの世界に来た時より忌避感が無くなったのは事実だ。
様々な戦いのなかで、俺も魔力や科学に頼る奴以外とは苦戦しなくなってきていた。
これなら例の盗賊団相手でも引けを取ることはないだろう。
そう思ってた時期もありました。
ここから40人はパワードスーツやアーマーを装備した奴等ばかりでした。
「ひぇぇぇ〜っ!」
いくら頑張ったとしても、素はただの人間。
そんな凄い装備した奴等と戦うなんて無理がある!
敵の半数は残りの3人が片付けてくれた。
「あんた、本当に使えないわね」
シェルティにも言われる始末。
まったく持って面目ない。
俺もパワードスーツとかで筋力アップしようかなぁ。
でもなんとなくダサいし。
「さぁ、拐った娘を返せ!」
「嫌だね。あの娘は使える」
残り20人。
普通の装備をしてる奴は俺が積極的に倒していく。
「お前が頭領か」
「あぁ。ここまでこれたのはお前たちが始めてだ。なかなかやるな」
頭領は盗賊とは思えないほどの装備をしている。
他の3人は20人の相手をしている。
俺がやるしかないか……。
「弾丸スパイク!」
エネルギー弾か!
「土の精霊!」
土の精霊の岩で弾丸を防御する。
その瞬間、すでに頭領は俺の目の前にいた。
「懐がお留守だぜ」
頭領のパンチが飛んでくる。
俺はそれを盾で受けると、剣を振り下ろす。
が、すでにそこには頭領の姿はない。
早すぎる!
「水の精霊! 水礫!」
超圧縮され、さらに高速で飛ぶ水の塊を十数子放つ。
それらは全て頭領の拳で撃ち落とされた。
「精霊か。たいしたことたぁねえな」
「くそ!」
ことごとく防がれる。
打つ手がなくなってきたぞ。
また水蒸気爆発に巻き込むか?
『私たちの力を舐めないでよね』
頭の中に響く精霊たちの声。
『私たちは使う人によって、無限の可能性を秘めてるわ。もっと工夫しなさい!』
工夫か。
「風の精霊、土の精霊! ストーンストーム!」
竜巻に石を混ぜて、頭領に向かって放つ。
「はっ! 児戯だな」
今度は俺が強く踏み込む。
剣は小さく、鋭く突く。
「いいねぇ。パーワードスーツなしでここまで戦える人間はそうはいないぞ」
頭領は楽しそうに笑っている。
「水の精霊!」
水は鞭のようにしなり、頭領の足に纏わりつく。
「おっと、しかし非力なお前には、俺を投げることなどできまい!」
しかし俺の狙いはそこにはない。
「爆熱の魔石!」
足元の水の鞭目掛けて爆熱の魔石を投げつける。
一番最強の技、水蒸気爆発だ。
「な?!」




