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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


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冒険をしよう!

 というわけで、やっと城下町の宴から解放された俺たちは、最近冒険者として活躍してないなぁ、ということで、ギルドにクエストを見に来た。

「朝は混んでますが、朝のうちに来ないといいクエストもなくなってしまいますからね」

 とはウェスティアさんの談。

 朝一からクエストが発表されるまで待っている。

 同じ事を考えるものは結構いるもので、かなりの数の冒険者が待ち構えていた。

「へぇ、コレなんかいいんじゃない?」

 大量発生して、生態系を崩しそうな外来生物を退治する仕事。

 しかも、その魔物の心臓は、死んだ後宝石に代わり、それが高値で売れるという。

「報奨金も中々ですね。宝石は売っても私たちで持っていてもいいそうです」

「わぁ! 宝石いいなぁ!」

 ひとしきりキャイキャイしたあと、俺たちはこのクエストを受けることにした。

「星2の出る幕はねえよ」

 後ろから野太い声が聞こえる。

「ん? べつに星2が受けちゃいけないなんて書いてないぞ」

 完全に言いがかりだ。

「んだと? こちとら星4の上位冒険者だぞ!」

「いるわよねぇ。自分の手柄でもないのにえばるだけの奴……」

 シェルティの言ってることも最もだ。

「あぁ? 俺たちよりオメェたちのがつえぇってのか!?」

「別にそういう訳じゃないけど、このクエストの特性上、数グループで受けても問題ないクエストだろ? 競うような真似しなくてもいいんじゃないか?」

「うるせぇ!! 四の五の言わずに勝負だ!!」

 えぇ〜。面倒なのに絡まれたなぁ。

 取り敢えず冒険の準備をするのにその場を離れた俺たちに、ハヤテが話しかけてきた。

「また厄介なやつに目付けられたな」

「いつもあんなことしてるのか?」

「あぁ。そして相手を脅して戦利品まで奪い取るんだ。この辺りじゃ結構有名だぜ?」

「ちぇ。知ってたなら助けてくれたらよかったのに」

「ははは。タイミングが悪かったな。俺たちはまたマギロスに戻らなきゃ行けなくてね。ヨウたちがいたら挨拶できれば、って思って軽く顔出しただけなんだ」

「そうなのか。さみしくなるな」

 なんたってここ一週間ほど、ずっと宴会で騒ぎまくった仲だ。

「でも、なかんヨウとは腐れ縁で、何回も会いそうな気がするよ」

「確かにな。俺もそんな気がする」

 そう言って握手を交わして別れた。


「さて、しばらくこの森に根城を張るわけだから、いい家を作ろう」

 風の精霊が力を貸してくれると、無駄な草木が全て吹き飛ぶ。

 そして土の精霊が頑強な家をあっという間に建ててくれた。

「……凄いな」

「テントなんかより全然いいですね」

「中に調理場も空調もあるわよ! 快適ね!」

「精霊はやっぱ凄いなぁ!」

 水の精霊がいれば、新鮮な水が飲み放題だし、お風呂やシャワーも入ることがてきる。

「そういえば、火の精霊はどこにいるんだ?」

「火の精霊は南の大陸、未開の大地にいると言われています。実は、今まで火の精霊の力を授かった人も魔族もいないってはなしです」

 まじか。それは難易度が高そうだ。

 でも、その内の仲間に入れないとな。

 力を奪った水の精霊は別として、他の精霊は契約こそしてないが、呼べば来てくれる。

 一応試練で勝ってるからな。


「さて、早速モンスターを狩りに行くか」

 メタルブラストというモンスターだが、一体どこにいるのだろう。

「あ、いたよー、お兄ちゃん」

「え? 早くね?」

 そこには、小型の魔獣を狩っているメタルブラストが本当にいた。 

「しかも群れるんだな。よし、早速!」

 5匹いるメタルブラストに斬りかかる。

「かってぇ!!」 

 メタルの名は伊達じゃない。

 でも、刃が通らないわけじゃない。

 同じ所を何度も狙えば!

 か、勝てない……。

 よし、ソレなら前に土の精霊にやったように、水蒸気爆発なら!

「お兄ちゃん!たおしたよー」

 あれ? 戦闘終わってる? 俺何もしてないんだけど……。

「まったくとろくさいんだから」

「まだまだ修練がたりませんね」

 シェルティとウェスティアさんにも突っ込まれてしまった。うぅ、面もくない……。

「な、なんだこれは!」

 あ、さっき難癖付けてきた冒険者たちだ。

 名前知らんけど。

「ランディ隊だ!」

「地の文にツッコミ入れるのやめてくれる?」

「お前ら、いつの間にこんな拠点を用意したんだ!?」

「え? ついさっきだけど……」

 なんか俺やっちゃいました? 的な?

「こっちはただのテントだってのに!」

「拠点云々より、どれだけ多くメタルブラストを狩るかどうかでしょう?」

 そう言って剣を使い、宝石と化したメタルブラストの心臓を取り出す。

「凄い。こんな綺麗なのね」

 シェルティが目を輝かせている。

「そ、そうだ! お前たちなんかには負けないからな!」

 そう言ってランディ隊は去っていった。

「もう少し探索しようか」

 邪魔者もいなくなったことだし、俺たちはさらに森の奥へと入っていった。


「ここは水飲み場か」

 水飲み場では弱肉強食関係なく、全ての動物たちが争うことなく、喉の渇きを潤わしている。

「この場所は中継地点として確保しておいて、さらに先に進みましょうか」

 ウェスティアさんの言葉に、俺は土の精霊を呼び出し、簡易的な休憩小屋を建てて、奥に進む。

「うわぁ、ワラワラいる……」

 どうやら俺たちは『当たり』を引いたらしい。

 行く先々で出会すメタルブラスト。

 小さいのから大きいのまで、取り放題だ。

「たまんないね!」 

 カオスちゃんも楽しそうでなにより。

 そこへ。

「や、やっと追いついたぞ、小僧ども!」

 ランディ隊が現れた!

 てか、人のあと付けて漁夫の利狙うとか卑怯じゃね?

「さぁ、お前たちの持ってるメタルブラストの心臓の宝石を俺達に渡せ!」

 ランディが人質に取ったのは、このパーティーで一番強いカオスちゃん。

 馬鹿なやつ。

「汚い手で触らないで! 僕に触っていいのはお兄ちゃんだけなんだから!」

 そう言って、簡単にランディの腕から逃れると、他3人のメンバー共々ふっ飛ばした。

「何しに出てきたんだ?」

「さぁ?」

 俺等は俺らで探索を続けよう。


「ひいぃぃぃ」

 そんな時、情けない声が聞こえてきた。

 あれは、冒険者が使うSOSの魔法だ。

「ランディ隊か!?」

 もしかしたら、とんでもない上位種に当たったのかも知れない。

「助けに行こう!」

「嫌です」

「めんどい」

「アイツ嫌い」

 タンパクすっね、君ら。

「一応どんな奴であれ、命は命だ。間に合うなら助けるぞ!」

「しかたないか……」

 一番渋っていたシェルティが重い腰をあげたことで、やっと助けに行くことができた。


「な、なんだあれ……」

 今まで見たメタルブラストの十倍はあろうかという巨体。

 そしてその体に見合った硬度な肉体。

 ランディたちの武器では傷一つつけることができないらしい。

「はぁっ!!」 

 カオスちゃんが取り敢えずランディたちを取り囲んでた通常サイズのメタルブラストを3体屠る。

「なんだ、あの化物は!!」

「し、知らねぇよ! あんなバケモン、俺達のレベルでどうにかなるわけ……!」

「はぁ? アンタたち、星4でしょ? コレくらい倒せないの!?」

「お、俺たちは他の奴等から手柄を奪って星4になったんだ! 本来の実力は星2程度だ!!」

 なんだよ! それでよく上から目線で勝負する気になったな!

「しかし、どうやって倒すか……」

「僕がやるー?」

「カオスちゃんだと宝石までグチャグチャに思想だからダメ」

「私たちでは火力不足ですね」

 ウェスティアさんとシェルティの魔法もこの大きさのメタルブラストには効かないだろう。

「ここは俺が……!」

 剣に水の精霊の力が宿った魔石をはめる。

 とはいえ、どうしたもんか。

 この前のウォーターウォールみたいなのだと宝石も潰しそうだし……。

 !!!???

 やばい!!

 尿意が!!

 剣を持つ手が震える。

 ションベンしてぇ……っ!

 そんなこと考えながら水の精霊の力を剣の切っ先に集めていたら、とてつもなく細い水鉄砲みたいなのが出た。

 ビームのように放たれた水は、寸分の互いもなく脳に直撃した。

「なるほど、水は細く強く打ち出せば、ダイヤモンドを切り裂くことも可能ですからね」

 取り敢えず超水圧で、メタルブラストは脳頭を切り裂かれ絶命したらしい。

 ちなみに、漏らしはしなかった。


 

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