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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


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勝てた……

 決定打が無いとは言え、奴はパワードバスターとエネルギーウォールという大技しか使っていない。

 基礎能力でいえば俺たち全員でかかれば勝てるはずだ。

「みんな、奴は接近戦は苦手とみた。間合いを詰めて、大技を使えなくするんだ!」

「「「了解!」」」

 その隙に俺は、土の精霊を呼び出して、岩で巨人を作っていた。

 これなら、俺が役に立たなくてもコイツが戦ってくれる!

 下手に俺が戦線に入ると邪魔になる。

「くそ! オレは最強の異世界人なんだぞ!! それなのになぜ勝てない!?」

「単純な話だよ。お前が弱いからさ!」

 岩でできた巨人がその拳を振るう。

 異世界人はそれを両腕でガードする。

「いまだ!!」

 両腕が使えなくなった人などものの数に入らない。

 完全に隙だらけの身体に皆の渾身の攻撃が命中する。

「がっ……!!」

 異世界人はそのまま絶命した。

「ムカつくから俺も一撃やっとこう」

 そう言って俺は異世界人の首目掛けて、剣を振り下ろした。

「ちょっ!!やめっ!?」

 あれ? 喋った!?

「俺は首さえ切り落とされなければ死なない身体だったのに……」 

 そう言って俺の剣で首を切り落とされた異世界人は、今度こそ息絶えた。

「お兄ちゃんすごい! よくわかったね!」

 カオスちゃんが手放しで褒めてくれる。

 たまたまなんだけどな。

「王の間に急ぎましょう」 

 異世界人を倒した俺たちは、王族たちと合流するために、王の間に走った。


 俺たちが玉座にたどり着くと、大勢は決していた。

「ライオットの洗脳が急に解けたみたいです。あなた達が、異世界人を倒して下さったのですね」

 結局名前聞いてなかったな。ごめんね。

「僕はなんてことを……」

 ライオットは激しく後悔していたが、やったことは無かったことにはできない。

「この子には十分罪を償ってもらいます。生涯、牢屋入りですね」

 国民皆が被害者だ。操られてました、じゃあ許します、とはならない。

「次の王は第2王位継承者のヘルメスに継がせます。私もサポートしますから、王としての自覚を持つように」

「はい! 母上!」

 そこへハヤテが飛び込んで来た。

「おっと、こっちも終わったか? なんか急に外の兵士たちが攻撃を止めて投降し始めてな。物見でオレが偵察に来たんだ」

「あぁ、ちょうど今色々決着したところだよ。ここから先はヘルメス王から説明がある」

「異世界人は?」

「俺たちが倒した」

「おぉ、さすがだな! あんな規格外の攻撃してくる奴を倒すなんて!」

「ヨウさんには感謝してもしたりません」

 ハヤテどころか王族にも褒められてしまった。


 それから、街頭演説で今回の事件の発端やあらましかヘルメス新王から説明があり、今までの謝罪や、税金を前王のときのものに戻す、などの話があった。

「これでヒュムロスも安泰ね」

 シェルティの顔にも満足げな表情が浮かんでいる。

 なんだかんだと、異世界人も強敵だったからな。名前知らんけど。

 そして、恒例の……。

「今日は宴だ! 皆のもの、準備をしろ!」

 王が手をかざし、宣言する。

 宴会好きはデウス王だけじゃなかったみたいだ。この世界の風習か?

「今宵、ここに今日の主役を呼んである! 異世界人を見事討ち果たしたヨウ殿とその仲間たちだ!」

 げっ! 紹介しやがった!

 ゆっくり美味いもの食べたいんだけど、そうもいかなくなったぞ。

 んで、こういう場なのに無粋な輩というのは現れるもので……。

「ヨウ殿。その実力、しかと見せて頂きたい!」

 きたよー。空気読めないやつー。

 でも、パワードスーツも着てなさそうだし、ソレならなんとかなるか。

 俺だって一流の魔族や聖竜たちに鍛えられたんだ。

 科学力を使わない、純粋な剣技だけなら引けを取らないどころか、勝つ自信はある。

「怖いからやです」

 自信はあっても怖いもんは怖いは!

「ならば……!」

 いきなり襲いかかってくる。やっぱそうなりますよねー。

 俺は剣すら抜かず、柄を相手の腹に叩き込み気絶させた。

 カオスちゃんやイースティアに比べたら子供みたいなもんだ。

「あの頃より断然強くなったな」

 ハヤテが隣に座る。

「先生がいいからね。セントイースティアにも教えてもらったし」

「それはすごいですね〜!」

 ハーピーのエリシアさんも会話に加わってくる。

「いやいや、運がよかっただけだよ。そうじゃなきゃ、相手にもしてもらえてないとおもうよ」

 彼女の命を救ったのが俺だった、というだけだ。

「いいね! 手柄をひけらかさないその姿勢! ほら、飲め!」

 と言っても未成年の俺はジュースだけどな。

 こうして、ヒュムロス城解放のクーデターは成功に終わった。

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