いざ、クーデター!
俺たちは竜たちの力も借りて、予定の三分の一ほどの帰還で、クーデターを起こそうとしている、冒険者ギルドのメンバーと落ち合うことができた。
「お早いですな! まさか竜を飼い慣らしているとは!」
ギルド長も驚きだ。
「ウチは一足先にセントイースティアの配置に着くで。コレでこの大陸の魔脈はウチらのもんや!」
風の精霊、カオスちゃんとイースティアが交代する。
「お兄ちゃん! さみしかったよぉー!」
思い切り甘えてくるカオスちゃんを撫でながら、俺たちは冒険者ギルドの面々と顔を合わせる。
総勢で500人程か。
「お、やっぱりか!」
聞いたことのある声に顔を向けると。
「ハヤテ!」
「クーデターなんて企んで、イースティア様や精霊たちを連れて歩き回るなんて、お前しかいないと思ってたぜ」
マギロス大陸で商人たちの護衛をした時に一緒になった、魔族のハヤテ、オーガのハンナ、ハーピーのエリシアの3人だ。
「そういうハヤテたちこそ、クーデターなんかに参加して大丈夫か?」
「なぁに、こんな面白そうなこと参加しないでどうするよ」
面白そう、か。ハヤテらしいな。
「さて、お集まりですかな?」
冒険者ギルドの一角、会議室を借りて作戦会議を始める。
「まず、一番の相手は今のヒュムロス王と異世界人の打倒です」
みんなが頷く。
「王と異世界人は1枚岩です。王都を攻めれば、自然と異世界人も出てくることでしょう」
「地下牢に閉じ込められた、他の王族も助け出さないと」
「そこで、ですな。王都奪還の最前線に、ヨウさんに出て頂きたいのです」
「え、俺たち!?」
「聖竜様、精霊様を仲間にしているヨウさんなら、戦力的にも申し分ない」
俺が戦力的に心許ないんだけどな。
「わかりました」
俺の代わりにウェスティアさんが勝手に答えてしまう。
「頼んだぜ、ヨウ!」
ハヤテも期待してる。
ええーぃ! もうどうにでもなれ!
「任せろ!」
おぉ! とどよめきが起こる。
「しかし、本当に大丈夫なのか?」
「まだ星2の新人だぞ?」
もちろん肯定的でない意見もでる。
みんな良いもの装備して、俺より強そうだし……。
「文句があるなら、僕と戦って勝ってみてよ!」
カオスちゃんが啖呵を切る。
カオスちゃんが少し力を解放するだけで、冒険者たちは皆黙った。
「少なくとも、あの子より強いってことか?」
「まぁ、新人なだけで、強さとは関係ないしな……」
「精霊様たちがいるんだ。任せよう」
はっはっはっ!
ウチのカオスちゃんは強いぞ!
俺の出る幕が無くてよかった。
「王都には、城への侵入経路が複数あります。いわゆる隠し通路ってやつですな。ヨウさんたちにはそこから、城内に侵入して頂きたいのです。」
「侵入を察知する様な魔法ぐらいありそうだが、その辺はどうなんだ?」
「もちろんあるでしょう。しかし、精霊様たちを助けた実力の持ち主なら問題ないでしょう」
いくらなんでも人任せすぎないか、このギルド長。
いや、べつに良いけどさぁ。
どうせやらなきゃ行けないんだ。
「その間に我々は外で陽動の戦闘をします。なるべく長引かせるように、皆さん戦ってください」
「「「「おう!」」」」
「ヨウさんたちなスピードが命。私たちは撹乱し続けるのが一番です。皆さんの判断にはなりますが、それぞれ歴戦の冒険者です。皆さんの力に期待しています」
こうして会議とも言えないような会議が終わり、俺たちは配置に着く。
「コレが隠し通路か」
城から少し離れた盆地に、分かりづらくある扉。
一見使われていない倉庫のようだ。
「やはり聖素が使われてますね」
「特殊なやり方をしないと開かないわけね」
聖素はそのままだと、魔力回路を持つこの世界の人間には猛毒のようなものだ。
だが、魔力回路を持たない俺なら、なんの問題もない。
「この魔石で……」
爆熱の魔石を最小限の力で使用し、鍵を破壊。
その後は聖素のパズルを解けば簡単に中に入ることができた。
しかし、王城内の間取図が無いので、どこに出るかもわからない。
もしかしたら、すでに敵に気づかれているかも知れない。
「よし!」
パズルを解くと、聖素は消えた。俺たちは静かに中に入ると、長い通路を抜けた。




