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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


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土の精霊

 ドラゴンに跨がり、休憩しながら進む事約1時間。

 あっという間に土の精霊がいる洞窟までついてしまった。

 やはり入口には兵隊がいる。

 ここは竜たちに任せよう。

「あの兵士たちをやっつけるんや。できれば殺してくれ」

「わたくしたちにお任せください」

 さすがに子供には荷が重いと思ったのか、母竜たちが出てきて、兵士たちをあっという間にひしゃげたオブジェクトみたいにしてしまった。

「さあ、どうぞ参りましょう」

 母竜3人の力も借りて、洞窟の中を歩き回ることにした。


「……。迷路やな……」

「……迷路ですね……」

「アタシはパスー。こういうのは向いてないから」

 確かに洞窟の中はかなり複雑だった。

 が。

「そっちはもう言ったよ」

「そこは行き止まりだと思うよ」

「こっちの方が近道だね」

 俺はテキパキと指示していく。

「なんでわかるんですか?!」

 それは俺がゲームで培った、脳内マッピングができるからだ!

 洞窟や屋内はある程度の住みやすさがあるため、他の生物の巣があったりする。

 得てしてそういうところは行き止まり。

「脳内でマップを作ってるんだ。俺の得意技の一つ」

 そして、土の精霊がいるのはこの先だろう。

 俺は先頭にたち、迷いなくすすんでいく。

 やはり兵士たちに殺されたのか、野生の魔獣は現れることはなかった。

「あの先だね」

「ホンマにあった……」

 イースティアが驚いている。

「なんだよ。信じてなかったのかよ」

「ヨーイチさんはたまにすごいんです!」

 フォローになってないよ、ウェスティアさん。

 やはり土の精霊のそばには兵士が4人。

 でも、こちらも負けないぞ。なんたって、成人した竜が3体もいるんだからな!

「こっそり近きましょう」 

 シェルティが身を隠す魔法を使ってくれたため、兵士たちの真後ろに立つことができた。

 つくづく便利だよな、この呪文。

「っ!?だれっ!!」

 最後の一言を発するまでもなく、一人の兵士の首をはねる。

 竜たちに一切の容赦はなかった。

 この山に住む者、信仰する土の精霊に無体を働いたのだ。

 報いはそれ相応。

 命だ。

「オレなんの役にもたってねーじゃん」

 デモンズがつぶやくが、クーデターを起こした後に前線で戦って貰おう。

「ほら、ヨーイチ、出番よ」

 水の精霊と同じように、土で作られた祭壇の上に、聖素でできた檻の荷閉じ込められた60センチくらいの女の子が閉じ込められていた。

「水の精霊の時と同じだな。任せろ」

 複雑に絡み合う聖素の結合部を右に左に動かして、パズルを解いていく。

 やはりさほど難しくはない。

「できた!」

 カチン、と音が響き、聖素の檻が砕け散った。

 しかし、水の精霊の時と同じく、まだ衰弱している。

「しばらくこの祭壇に乗せときゃ治る思うで」

 イースティアのセリフ通り、5分くらいで土の精霊は目を覚ました。

「わたし、は、どうなった、の?」

 たどたどしい言葉を紡ぐ土の精霊。

 まだ記憶があやふやな彼女に、事の仔細を説明していく。

 反乱で国王が交代したこと。

 異世界人が1枚噛んでいること。

 その上で邪魔な聖竜と精霊を封じたこと。

 俺たちはその野望を打ち砕くため、クーデターを起こそうとしてること。

 このままここいたら、また捕まってしまうから、一緒に付いてきてほしいこと。

 土の精霊はゆっくり頷いた。

「う、ん。わかっ、た」

 おや、あまり周りと馴染まない、というようなことを聞いたが、そうでもないらしい。

 「その、か、わり。わたし、に、勝った、ら」

 やっぱそうなるのね。

「ねえ、コレって俺が戦う必要なくない?」

「ダメ。あなた、が、わたし、を、封印から、助け、たから」

 え、そういうアレなの?

「じゃあ、いく」

 その手に岩石がいくつも重なり、巨大な拳になる。

「ちょっ! いきなり!?」

 一撃目はなんとか避けた。

 そうだ、アレなら!

 そう思い、俺は水の精霊の力が宿った魔石を剣に嵌める。

「水で、濡らした、くらいじゃ、びくとも、しない」

 やべ、バレてた。

「や、やってみないとわからないぞ!」

 でもどうしよう。

 と思っていると、岩石はドンドン土の精霊にくっついて、いつの間にか岩の巨人となっていた。

「あわわわわ!」

 水を纏った剣を振り回す。

 その時、盾にはめていた爆熱の魔石とぶつかって、大爆発が起きた。

 俺はゴロゴロと転がり、壁に叩きつけられた。

「いてて……」

「きゅ〜」

 見ると、なぜか土の精霊ものびている。

 なにが起きたんだ?

「水蒸気爆発かいな。偉いこと思いつくなぁ!」

 説明しよう! 水蒸気爆発とは!

 水が水蒸気に変わると、体積が一気に約1,700倍に膨張する。この急激な圧力の高まりが周囲の空間を圧倒し、爆風や衝撃波を伴う爆発となることをいう!

「え? そんな事が起こってたの?」

 この鎧と盾だからなんとかなったけど、そうじゃなかったら、死んでたぞ。

 土の精霊もちょっと吹き飛ばされた程度で済んだみたいだし、ラッキーだった。

「くぅ、約束、は、約束。仲間に、なる」

 そう言って土の精霊は手を差し出して来た。

「よ、よろしく」

「で、このスライム、は、だれ?」

「私だよー。水の精霊だよー。力を奪われて、ただのスライムになっちゃったー」

 一番哀れなのは水の精霊なのかも知れない。

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