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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


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竜と遭遇

 ここは南の港町、穀倉地帯と王都を繋ぐ、要の都市だ。

 普段なら賑わい、市場なども出ていると聞いていたが……。

「南の穀物がほぼ王都に取り上げられたせいで、商人も冒険者も、もう運ぶものが無くて仕事が無いらしいわ」

「しかも、港町は実質封鎖状態に戻りましたし」

 この世界の秩序が乱れ始めてるな。

 今の俺達にできることをしよう。

「あーあ。この町にしか無い織物で作った服とか売ってるはずだったんだけどなぁ」

 シェルティさんは相変わらずですねぇ……。

「カオスちゃんの方も何回か国の軍隊に襲われてるみたいだし、俺達も急ごう!」

 しかし道のりは険しい。どんなに急いでも、往復1ヶ月はかかる。

 しかも土の精霊は気難しいとのこと。

 封印から解放した所で力を貸してくれるかどうか。

「よっしゃ、行くで!」

 イースティアが威勢よく手を上げると、俺達は合わせて声をあげ、土の精霊のいる山へとわけ行った。


「はぁ、はぁ、はぁ」

 一番最初に音を上げたのは俺だった。

「情けないなぁ。この程度の山登りで」

 ハイキングに来てるみたいな感じでイースティアは楽々登っていく。

 他の面々も、まだ余裕がありそうだ。

「この先に泉があるはずです。そこで休憩しましょう」

 ウェスティアさんの提案はありがたかった。

「休憩……。というわけにもいかなさそうね」

 水飲み場には3匹、竜がたむろしていた。

「まぁ、ウチが話つけたるさかい、待っとき!」

 陽気な感じで竜に近づいていく。

「なぁ、ウチらも休憩したいねん。少し場所あけてくれへん?」

 ドラゴンはギャアギャアとなにか言っている。

「誰がドチビじゃどアホ! お前らなんかクソガキやないかい!」

 あ、ダメなやつだ。

 そう言えばウェスティアさんも交渉下手だったのを思い出した。

「で、結局こうなるんかい!」

 子供とはいえ、立派な竜。

 他のメンバーはまだしも、俺には分不相応。

 ブレスや爪や尾を交わして防ぐので手一杯だった。

 ふと見ると、なんとなく見たことがあるような……。

 俺は逃げ惑いながらウェスティアさんに話しかける。

「ねぇ、この竜って、この間鉱山に出てきて、テロの兵器にされそうなった竜たちじゃない?」

「! そう言われてみると、似てますね」

 ウェスティアさんが竜たちにその事を告げると、竜は俺の顔を覚えていてくれたようだ。

「ga!」

 途端に攻撃が止み、3匹の竜は大人しく俺の前にお座りした。

「なんや、知り合いやったんか。はよ言えや」

 みんな戦闘モードを解除してくれた。

 特にイースティアはとことんシバくつもりだったらしいから、竜たちも運がよかっただろう。

 泉で休息を取りながら、竜人と竜たちは色々話していた。もちろん2人以外はなに言ってるか全然分からないが。

「なんか、コイツらの親はこの辺でも有名な竜みたいでな。親の七光りで暴れまわっとったらしいんや」

「典型的な嫌な奴等ですね」

 2人共見た目によらず口悪いよな。

「今からその親が来てくれる言うさかい、話しつけたろ、思うてな」

「この子たちに乗せてもらえれば、土の精霊の居場所や町までの帰りも時間短縮できますね」

 しばらくすると、3人の女性が急いでやってきた。

 そうか、竜は一定の年齢になると、人の姿になれるんだっけ。

「どうもすみません。ウチの馬鹿息子が……」

「なんでも、誘拐された時に助けてくださったようで……」

「私たちの方からもキツく言っておきますわ」

「せや。小生意気なクソガキ共くらいちゃんと躾んかい」

「もしかして、貴方様はイースティア様でございますか?」

「今頃気づいたんかい。ちなこっちはウェスティアや」

「聖竜様がお二人も! アンタたち! ちゃんと謝りなさい!!」

 竜たちは申し訳なさそうに土下座をするような感じで頭を下げた。

「まぁ、私たちも心が広いので、私たちを運んでくれれば許します」

 そうか、聖竜というだけあって、普通の竜からすれば、まさに神様みたいなものなのか。

「でも、往復1ヶ月かかる道のりが1週間くらいになるんだろ? ありがたいじゃないか」

 その分、クーデターの方に時間が割けるし。

「よし、早速土の精霊の所へ出発だ!」

 俺たちはドラゴン3体にそれぞれ跨がり、一路土の精霊の居場所へと向かった。

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