表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/42

水の精霊

 さて、やっと到着したわけだが、やはり町人は元気がない。

 穀倉地帯として有名なリムルの町は、その分年貢みたいな形で穀物を献上してきた。

 それが新しい王になり、尋常じゃない量の年貢を収めなければならないらしい。

「せめて、水の精霊様がご無事なら……」

 なるほど。水の精霊は穀物の生育にも関わっていたか。

「冒険者ギルドに依頼が来てるわね。水の精霊をなんとかしろって」

「どうせ助けに行くんだ。俺たちで受けよう」

 物資を補給し、ギルドに掛け合う。

「いいんですか? 下手したら、現政権に弓引く行為になるかもしれませんよ?」

 受付嬢が心配してくれる。

「大丈夫。もとからそのつもりだ」

「え?」

「いや、なんでもない。まぁ、大船に乗ったつもりで待っていてくれ」

 クエストを受けた俺たちは、なんとか工面してもらった食料をもらい、旅にでる。

「ここから3日ほどだっけ?」

「せや。ここからは魔獣も出るし、城の兵士も出るかもしれへん。気ぃ付けながら行くで」

 イースティアを戦闘に、俺が殿を勤める。

 今までの旅で俺も強くなったはず。

 パワードスーツなどを着ていない一般人にはひけを取らないし、実弾の銃も、エネルギー銃も、この鎧と盾で防ぐことができる。

「怖い顔してるわよ」

 シェルティが珍しく優しい声色で声をかけてきた。

「まぁ、あんまり気張らないことね。頑張ったって、雑魚は雑魚なんだから」

 励ましに来たのか馬鹿にしに来たのか。

 でも、これもシェルティなりの優しさなのだろう。そう思うと、少し肩の力が抜けた。

「ちょっと緊張がほぐれたよ。ありがとう」

「べ、べつにアンタのためじゃないんだからね! なんて」

 俺の肩にグーパンをかますと、シェルティは前の2人に追いついた。

 よし、俺も俺のできることをしよう。

 

 洞窟の入口には見張りが2人。

「やっぱり見張られてたわね」

 シェルティがすかさず、相手を眠らせる魔法をかける。

「これで縛り上げればいっちょあがりや」

 イースティアが嬉々としてロープを取り出すと、兵士たちを真っ裸にして亀甲縛りにした。

「どこでこんなこと覚えるんですか、あなたは……」

 ウェスティアさんは汚物を見るような目で、兵士たちを見下ろしている。

「たまにウチにいじめられたい、言う人がおんねん。そういう人に教わるんや」

 聖竜を一体何だと思ってるんだ。

 俺は収納石を取り出すと、その中に閉じ込められていたデモンズを解放した。

「貴様は……! くそ。オレは使い魔にされたのか。身体が言うことを聞かない!」

「お前はここを守ってろ。俺たち以外、誰も入れず、誰も出すな。そして逃げ出しそうなら……」

 俺は言うのをためらう。が、事ここに至ってはそんなこと言っている場合ではない。

「殺せ」

「ちっ。わかったよ。命令には逆らえないしな」

 デモンズはその場に立つと、俺たちを洞窟の中にいれる。

「よっしゃ、なかなかええ門番やな。あんじょうよろしゅう」

 イースティアを先頭に、洞窟内へと足を踏み入れた。


「魔獣の類はみんな兵士か誰かに殺されたのかな?」

 辺りはとても静かだった。

 隠密の術で姿を消しながら先に進む。

 特に難しいダンジョンでもなく、一本道が続いている。

「いた。見張りや」

「普通の兵士か? 4人はいるな」

 その奥に、何やら檻のような物が見える。

「聖素と呼ばれる、人間が編み出した科学の結晶ですね。アレを解除するには骨が折れますよ」

「ウチがいるから大丈夫や。任せとき」

 隠密の術を使っていても、直ぐ側まで行ったらさすがにバレる。

「な、なんだ貴様ら!」

「いつの間に……!」

「ちょっと眠っててもらうぜ」

 といっても、やるのはイースティアだが。

 あっと言う間に4人制圧し、また全裸で亀甲縛りにする。

 そして外に運び出す。

「さて、これをどうするか、だな」

 光る檻の中には、風の精霊と同じような大きさの人型のスライムのような少女がいた。

 気を失っているようだ。

「やっぱり聖素を含んだ金属でできとるな。なかなか骨がおれそうやわ」

 ん? これは……。

「これなら俺が外せるかも」

「え? どうやってですか?」

 ウェスティアさんが驚きの声をあげる。

「これ、パズルになってるんだよ。複雑だけど。俺、パズルは得意なんだ」

「せやかて、聖素を含んだ金属は身体に毒やで。魔力回路が焼き切れてまう」

「あぁ、それなら平気よ。コイツにそんなものないから」

 アハハと笑う。なんも面白くないわ。

「そうですね。魔力の欠片もありませんから」

 馬鹿にされまくってるが、今はその魔力回路とやらが無い事がラッキーな状況だからまぁ、良しとしよう。

「ちょっと待ってな」

 早速解除に取り掛かる。

 ふむ。これなら寄木細工のパズルの方が難しいくらいだな。

「ここをこうして……っと」

 よし、できた!

「本当に得意なんですね」

 珍しくウェスティアさんが褒めてくれた。

「あとは、水の精霊が起きてくれればいいけど」

 封印が解けても、水の精霊はぐったりと眠ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ