思い当たる節とは?
巌山ステーキという、かなりの大きさのステーキを食べながら、シェルティに問いかける。
「お前、この時代に二人も異世界人が現れたことに、心当たりがありそうだったけど、何なんだ?」
「うぐ……。それは、私があなたを間違えて殺して、しかも神様が間違えてここに転生させたからよ」
「そうか、本来は俺がイレギュラーなのか!」
うん、納得いった。
「ち、ちょっと待って下さい! ヨーイチさんは間違えてこの星に送り込まれたのですか!?」
「そうだよ。シェルティに人違いで殺されて、神様が間違えてこの星に転生させた。それが俺」
「お兄ちゃん可哀想……。いい子いい子!」
カオスちゃんが頭を撫でてくれる。
「だから無能なんじゃないですか!?」
「いや、神様は確かに能力を授けたって言ってたぞ」
「あたしも聞いたわ。なんの能力かまでは聞かなかったけど」
そこはシェルティも同意してくれる。
「はぁ、ここはヨーイチさんではなく、あの異世界人に期待したほうがいいかも知れませんね……」
諦めるなよ。
「とりあえず! 俺は俺のやり方でこの戦争を終わらせるぞ」
「あら、やる気はあるのね」
「当たり前だ! 自分の星に戻るためだからな」
「もう遺体も燃やされて、帰る肉体が無かったりして! アハハッ!」
なんも面白くないわ!
「でもどうするつもり?」
カオスちゃんが聞いてくる。
「まだ秘密。この大陸とヒュムロス大陸を全部見て回ってからだ」
その時、スクリーンに映像が流れる。
そこは、魔法が放たれ、戦闘機が飛び交うなんともチグハグな世界だった。
「なんだあれ?」
「あれがセントラル大陸で行われている、マギロスとヒュムロスの戦争の様子です」
上空からの爆撃を魔法で防ぎ、逆にハーピーがコクピット目掛けて爆熱の魔法を放つ。
それを急旋回で躱した戦闘機はハーピーの背後に周り、機銃を放つ。
一瞬の出来事にハーピーは撃ち落とされ、地面に叩きつけられた。が、一命は取り留めたようだ。
「一度動けないほどの傷を負わせたら、追撃してはいけないことになってます。なので、死者が出ることはまずありません。もし故意に追撃して殺した場合、重い刑罰がくだされます」
「へぇ、思ったより平和的なんだな」
とはいえ、飯時に見るもんじゃない。
俺は目をそらすと、食事に専念した。
次の日、俺たちは冒険者ギルドに来ていた。
「本格的に冒険者として登録し、クエストをこなしながら旅を続けます」
「なんでだ? なるべく急いでヒュムロスに渡ったほうがいいんじゃないか?」
「ここ数日のカオス様との特訓で、ヨーイチさんはだいぶ強くなりました。しかし実践が圧倒的に足りません。」
なるほど。確かに獣の姿をした奴らなら切れるが、人と同じ姿の魔族を攻撃するのはまだ気が引ける。
それに緊張や躊躇いが、剣を鈍らせているのも確かだ。
「コレばかりは慣れるしかありません。道場剣法は卒業、というわけですね」
こうして、クエストをこなすために俺たちは冒険者ギルドに登録した。
「登録かい? 一人3000レギオンだ」
「金取るんだ……」
「当たり前だ。クエストこなしゃ、すぐ元なんて取れる」
「じゃあ、4人分だ」
俺は金を置いて4人分のプレートをもらう。
星が一つ刻まれていた。
「頑張って五つ星になるんだな。クエストはそこに張ってある。身の丈に合ったクエストを選ぶんだな」
こういう時は近場の雑魚敵狩りから始めるのが無難だろう。
「じゃあ、この辺境の魔王討伐で」
「ぶっ!」
俺は思わず吹き出した。
「おい、馬鹿か! もう一度言うが、おい、馬鹿か!」
「なにがですか?」
「いきなり魔王討伐とかありえないだろ! もっとこう、雑魚狩りから始めるのが筋ってもんだろ!」
レベル5くらいでいきなりラスボスに突っ込むようなもんだぞ!
「このパーティーは、ヨーイチさんが著しくレベルが低いだけで、それくらいの能力はあります。カオス様なんて魔王の息子ですよ? 辺境で魔王を名乗ってる思い上がり甚だしい勘違い野郎なんて、赤子の手を捻るようなものです」
酷い言われようだな、辺境の魔王。
「死んでも知らんよ」
ギルドのオッサンはこれ以上こちらの事に首を突っ込む気はないらしい。
「お兄ちゃん、僕に任せて!」
両手を握り、やる気満々のカオスちゃん。
「まぁ、なんとかなるわよ」
お気楽なシェルティ。
「とほほ」
で、結局ついていく俺。
一応ウェスティアさんのご主人何だけどなぁ。
旅の準備は整っている。
「ここから2日ほど歩いた所に魔脈があります。そこで、魔石に魔力を補充したり、武具の強化をはかりましょう」
辺境の魔王はその魔脈からさらに5日ほど行った廃村をねぐらにしてるそうだ。
こうして俺たちは辺境の魔王退治に向かった。




