ライバル? 登場!
港町へ向かい歩くこと3日。鉱山の町と近い街道沿いの宿場町に到着した。
「さて、しばらくは路銀に困らないとは言え、節約は大事です」
ウェスティアさんは、あの何でも入る謎の袋を手に語り始める。
「道中の食べ物は基本、保存食ばかりです。それでは味気ない」
つまり、ウェスティアさんは上手いものが食べたい、と。
「本当のこといいなよー、ウェスティアさんー」
「わ、私はべつに良いのです! ただ、異世界人のヨーイチさんは辛いだろうと!」
「嘘」
シェルティが断じる。
最近のシェルティの流行りが嘘を見抜く魔法でこうして相手を論破する気になっていることだ。
「回数制限のある魔法をクソくだらないことに使うのやめて貰っていいかな? シェルティさん」
「そ、そうです! 確かに美味しい物は食べたいですが」
「魔法を使ったってのは嘘。どうせウェスティアが食べたいだけだろうと思ってカマかけたのよ」
「なっ!?」
「ねぇ、お兄ちゃん! あっちに面白い魔装具売ってるよ! 見に行こう?」
あーもー! どいつもこいつも自己主張の激しい!
「とりあえず宿探すのが先! その後買い出し! その後上手いもの! 決定! ほら行くぞ!」
はーい、とみんなが納得した所で、ぞろぞろと歩き出す。
「さて、必要な物は……」
広場に人集りができている。
「なんだろ」
カオスちゃんも興味がありそうだ。
「人間の大陸ヒュムロスに、異世界人が降り立った!」
一人の人間の老人が大声で叫ぶ。
「へぇ、人間の大陸に異世界人か。珍しいこともあるもんだ」
「今度の異世界人はキチンと、戦争を終わらせてくれるんだろうな」
「人間なのかしら? 魔族なのかしら? レプティリアン? それともアヌンナキ!?」
異世界人ってそんな頻繁に出てくるものなのか?
「そんな!」
ウェスティアさんが驚愕している。
「同じ時代に異世界人が来るなど、このマルベラス始まって以来のことですよっ!?」
「あ、ないんだ」
「ありません!」
「僕も聞いたことないなぁ」
ウェスティアさんとカオスちゃんが同意する。
「どうなってるんだ?」
こんな時は静かになるシェルティ。顔を見ると心当たりがありそうな感じだ。
「シェルティさん? 知っているならなにかお話しして下さい?」
俺はニッコリと笑いながら。それでも最大限の威圧を加えてシェルティの肩を掴む。
「い、いえ? なにも知らないわ」
「嘘」
魔法なんて使わなくてもすぐ解る嘘。
「あ、後で話すから、とりあえず今はヒュムロスに出た異世界人とやらの情報を聞きましょう!」
まぁ、あとで話すならいいか。
同じ異世界人のことは興味あるしな。
「あれは」
老人がスクリーンを取り出すと、そこに、如何にも異世界人です! と言わんばかりの格好をした人間の男が立っていた。
「パワードスーツみたいな感じだな」
「ですが、あそこまで小さくないにしろ、人型搭乗ロボットはこっちの世界でもあります。性能の差がどれほどのものか、ですね」
スクリーンの異世界人は、無人の岩山の麓に立っていた。
右手をかざすと、閃光が放たれる。
その閃光は岩山を一瞬で蒸発させ、向こう側まで貫通してみせた。
そして、もう一発放つと、今度は広範囲に拡散し、岩山そのものを消し飛ばした。
「すこい……」
シェルティも驚いている。
「少なくとも地球じゃないな」
「アレくらいの文明レベルの星なら、宇宙も簡単に航行できるはずだわ。もっと高位の天使様の管轄ね」
そうか、シェルティも一応天使だったな。
「この力が人間側にはあるのじゃ!」
「東ならイースティアの管轄ですね」
「イースティア?」
「ヒュムロス大陸を管理し、私と対を成す聖竜イースティアです」
東だからイーストを文字ってイースティアか。
じゃあ、ウェスティアさんも、ウェストだからウェスティアなのか!?
「あら、今更気づいたんですか?」
なんか悔しいな。
「ですが、アレくらいの強さの異世界人なら何回も来てます。もっと強い異世界人が来たこともありますが、戦争を終結させることはできませんでした」
あんなに強くてもダメなのか。
「強さ、というよりどう終わらせるかが問題なんじゃないか? 今までの異世界人はどうやって戦争を終わらせようとしてたんだ?」
「それは、どちらかの勢力に加担して……」
「なるほどね」
その時々有利な方に加担したのか、私情を挟んだのか……。
異世界人の様々な能力が披露される。
周りの魔族たちがざわめくが、その中にはそこまで危険視しなくてもいいのでは、という者もいた。
「セテウス様がいれば、この異世界人くらいなんとかなるだろう」
「そうね。それに、最近デウス王を破るほどの強者も現れたという話だわ」
セテウスもデウス王もあんな化け物に対抗できるほど強いのか?
よく生きてたな、おれ……。




