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一見無能ですが、実は最強なんです  作者: 葛葉龍玄


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一件落着?

「さて、なぜこんなことをしたのか、話してもらいますよ」

「魔都を攻撃するためです……」

 魔都を? なぜ?

「この鉱山は、もうさほど魔鉱石が取れなくなっているのでしょう」

「その通りです。そのため、この町に対する援助金を廃止する、とお達しがあったのです」

 ははぁ、なるほど。その援助金を欲しいがためにクーデターを起こそうとしたわけか。

「でも、巨大な魔力を持ってるからって、ドラゴン一匹でなにができるのよ」

「特攻くらいならできるんじゃないか? 恐らくだが、同じように育てられたドラゴンがあと2.3匹はいるはずだ」

「爆弾みたいなテロに使うってこと? そんなの成功するわけないじゃない。アンタ馬鹿?」

「失敗してもいいのです。王等の失策で謀反を企む輩も出てくると言うのが分かってもらえれば。その後安易に援助や支援を打ち切ることができなくなるでしょう」

 はぁ、そういうもんかね。平和な国で育った俺はデモをテレビでやってるのを見たことがあるくらいだ。

 外国じゃ戦争したりしてたが、わーくにでテロとかがあったことはほとんどない。

「しかし、どうやってあんなデカいドラゴンを鉱山に連れてきたんだ?」

「それは、これを使いました」

 それは魔石にも似た石だった。

「収納石ですか」

「しゅうのうせき?」

「どんな大きな生物も、一つだけ、この石の中にいれることができます。しかも、その石で収納された者は収納した人物の言うことを聞かなければなりません。使い魔みたいなものですね」

 ポケ◯ンのモン◯ターボールみたいなもんか。やったことないけど。

「ドラゴンや魔物が魔力の流れがおかしくて暴れてるのは、その収納石のせいか」

「はい、そうです……」

 なんかやけに素直だな……。なにか変なこと考えてなきゃいいけど。

 この町長自体に戦闘力は無さそうだが……。

「最後にこれを……」

 そう言って放ったのは収納石。

 そこから現れたのは一人の魔族の女の子。

 町長はその子を羽交い締めにすると、人質にした!

「さぁ、この娘の命が惜しくば、武器を捨てろ!」

 鋭いナイフを手に取り、少女の首元に突きつける。

「ちっ。下衆が」

 そう言って俺は剣を投げ捨てる。

 そこからが面白かった。いや、こんな真面目な場面で面白がってはいけないのだが、面白かったものは仕方ない。

 投げ捨てた剣は、板床の端に当たった。

 板床は剣の重さでシーソーのように端が沈み、逆側が持ち上がった。

 その持ち上がった逆側の床板が、町長の股間をクリティカルヒットしたのだ!

 あまりの痛みに、町長は泡を吹いてもんどり打って倒れた。

「……。あんた、なかなかえげつない事するわね」

「卑猥です、ヨーイチさん」

「ま、まて! わざとじゃないんだ!! たまたま!」

 ダメだ、たまたま、とか言ったら余計に卑猥に聞こえてしまう!

「とりあえず、運よく不意打ちに成功したということで……」

 気絶した町長を縛り上げ、この町の兵士に引き渡し、俺たちはドラゴンたちを解放してやった。

「この魔脈は放っておいていいのか?」

「私の魔力の籠もった剣が、セントウェスティアにあれば、狂った魔脈をもとに戻すことなど簡単なのです」

 そういうものなのか。

 一つだけ有った収納石は戦利品がてら貰っておこう。


 町のほとんどの人は町長たちが謀反を起こそうとしていたことなど知らず、ドラゴンの恐怖に怯える一般人だった。

 わざわざ恐怖を煽ることもない、という判断のもと、町長は一身上の都合で交代。

 鉱山にはモンスターは残っているが、ドラゴンは退治した、と伝えた。

「ほんに、ありがとうございますじゃ」

 新しく選ばれた町長は忙しい中、俺たちの見送りをしに来てくれた。

「いやいや、まぁ、最後はアレだったけど、なんとかなってよかったよ」

「あ、あの!」

 声のした方を見ると、あの時助けた女の子が俺たちに声をかけてきた。

「ん、どうした?」

「魔都に行かれるんですよね?」

「あぁ、そうだけど……」

「なら、僕も連れてって貰えませんか? 元々魔都に住んでいたんです」

「いいんじゃない?」

「そうですね。戦力になりそうですし」

 二人は含みのある言い方をしているが、賛成してくれた。

「じゃあ、一緒に魔都まで行くか」

 こうして4人連れ立って魔都に帰ることにした。

 

「はぁっ!!」

 なにあれ、つおい。

「あの子って、助ける必要あったの?」

「「なかったです(わよ)」」

 それくらい彼女は強かった。

 羊のような形をした黒い角に紫の肌。コウモリのような翼の生えた、俺の世界でもよく想像される悪魔の姿をした少女。

 名前をカオス、と言うらしい。というか、それ以上教えてくれなかった。

「ま、まぁなんだな。なかなかやるではないか。俺には一歩及ばんがな」

 なんとか虚勢を張ってみるが、誰がどう見ても俺より強い。

「ありがとうございます!」

 当の本人は喜んでいるが……。

 そんなこんなで、カオスを仲間に魔都に入った所で、俺たちは盛大な歓待を受けた。

「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 石の回廊に響き渡る俺の声。

「うるさいわねー。どう見ても牢屋の中でしょ」

「騒いでもどうにもなりません」

 王に頼まれてドラゴン退治に行って、見事ミッションクリアしたら、普通宴会だろ!

 何が悲しくていきなり牢屋に入れられにゃあかんのだ!?


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