なんで?
旅の装備を整え、早速ドラゴンをスレイしにいく。
死にに行くじゃないことを祈ろう。
「早く行くわよ」
なんでこの駄天使はいつもこんな偉そうなんだろう。
「よし、いくか!」
ここ数日、デウス王にみっちりしごかれたおかげで、多少戦えるようになってきた。
曰く、避けたり急所を外したり、受け身を取るのは抜群に上手いそうだ。
「しかし、いきなり竜が現れるなんて珍しいですね」
そう言えば、ウェスティアさんもドラゴンだったな。
「ウェスティアさんなら、そのドラゴンと話したりできるんじゃないか?」
「恐らくできます。なので、バトルをしなくても大丈夫だとおもいますよ」
よかった。レベル1でドラゴンなんてのと戦うハメになる理由ないよな、普通。
いや、ウェスティアさんと戦ったか。
道中は穏やかなものだった。
街道は整備され、たまに兵士も巡回している。
街に向かう者、逆に地方へ出ていく者。
みな安心してこの道を通っている。
「なんだか拍子抜けだな。魔都に行く時みたいにもっと魔獣とかに襲われるかと思ったよ」
「魔都から北は未発見の魔脈も多く、魔獣が強いというのもあり、なかなか開発が進んでいません」
なるほど。魔都から南に向かってる俺たちは安全と言うわけだ。
「普通、RPGって、敵が弱いところから順々に強くなるはず無んだよな」
しかも最初に着いた街が魔王が住む城とか、色々おかしい。
「これなら2.3日で目的の鉱山町に着きそうね」
途中には宿場もあるし、もう野宿はしなくて済みそうだ。
「では、じっくりと特訓できそうですね」
ウェスティアさんがあくどい顔でニッコリと笑う。
しばらくは筋肉痛に苛まれそうだ。
「では、早速、次の宿場まで走りますよ」
「マジかよ……」
しかも装備を背負ったままだ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
やっと着いた〜。
「早さを求めていた訳ではありませんし、宿場まで休むことなく走り切ったという、事実が大切なのです」
この二人は魔法が使えるのをいいことに、箒に跨りながら付いてきた。
なんかずるい。
「宿で少し休んだ後、今度は剣の練習です」
「最近やっと剣に振り回されなくなってきたからな」
息を整えてから宿に向かう。
路銀はかなり多めにもらったから、結構いい宿に泊まれそうだ。
こうして俺たちは3日程かかる日程を走り、筋トレし、剣の稽古に励んだ。
「ここが鉱山の町か」
結構栄えてる。
ここも魔脈があり、魔石の原料となる魔鉱石がとれるらしい。
「ドラゴン臭いわね……」
え? ドラゴンって臭うの?
「失礼な。野性味あふれる香りと言ってください」
同じドラゴンであるウェスティアさんの前では不適切な発言だったな、うん。
俺たちはまず、デウス王の書状を持って町長の所へ向かった。
「おぉ、あなた方が、竜を退治してくださる冒険者様ですな。何卒よろしくお願いします」
応接室に通された俺たちは、早速詳しい話を聞くことにした。
「1ヶ月前から、急にドラゴンが、坑道の奥に現れまして……」
「イキナリですか? 元から住んでた訳ではなく?」
それもおかしな話だ。
ドラゴンの頭脳は人間よりもいいと言われるくらいだ。
「まだ子供なのでしょう。ドラゴンは成人すると、魔族の姿になれます」
ウェスティアさんみたいに角の生えた様な姿になるのかな?
「とにかく、我々がこれから掘り進めようとした先にドラゴンが出たもので、とても困っているのです……」
町長の懇願もあるが、そもそも俺たちはデウス王の依頼でここに来ているのだ。断る選択肢はない。
「わかりました。明日には鉱山に向かいましょう」
「ありがとうございます!」
とりあえず俺たちはその場を坐し、宿屋へ向かった。
「なんかおかしな話ですね」
ウェスティアさんが呟く。
「ん? 何が?」
「元々、鉱山に住む人達は魔獣などと対等に渡り合えるくらいは戦えるはずです。鉱山を掘っていると、魔獣と出くわすこともあれば、その巣を掘り当てることもザラです」
「なるほど。そのたびに冒険者に依頼するわけにもいかないもんな」
「それにドラゴンが突然出現する、と言うのがおかしいのです。ドラゴンは成人して人の姿になれるまで、人里にはちかづきません」
それが人里に現れた、と。
「ウェスティアさんなら、ドラゴンと話せるんだろ? とりあえず行って見るしかないんじゃないか?」
「……。そう、ですね」
とりあえずその日はユックリ寝て、明日は朝早くからドラゴン退治に出ることにした。




