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『ギャルだけど小料理屋、継ぎます!』  作者: 楓真パパ


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第8章・前編『ギャル、初めて“本物の壁”に落ち込む(前編)』


土曜日の昼下がり。


アリス・ミナ・ユズの3人は、商店街の新しい店の前に立っていた。


《Cafe Lumièreカフェ・ルミエール


白い外壁に、木の看板。


ガラス越しに見える店内は、こはるとはまったく違う“おしゃれ空間”。


ミナが目を輝かせた。


「うわ〜、めっちゃ可愛い店やん!」


ユズもテンション高め。


「アリス、あの子が言いよった“高校生シェフ”の店やろ?気になるき、入ってみよ!」


アリスは少し緊張しながら頷いた。


「うん……行ってみよ」


扉を開けると、ふわっとバターとハーブの香りが広がった。


白いテーブル、ドライフラワーの飾り、落ち着いた音楽。


アリスは思わずつぶやいた。


「……なんか……大人の店みたいやね」


ミナがメニューを見て叫ぶ。


「え、全部おしゃれすぎん!?“レモンバターのチキンソテー”とか“自家製ハーブのポテトグラタン”とか……名前からして強い!」


ユズも興奮気味。


「“季節野菜のポタージュ”とか絶対美味しいやつやん!」


アリスはメニューを見ながら、胸がざわついた。


(うち……こんなん作れん……名前からしてレベル違うやん……)


そこへ、昨日出会った少女がやってきた。


「いらっしゃいませ。あ、昨日の……!」


アリスは少し照れながら会釈した。


「来てみたで。おすすめある?」


少女はにこっと笑った。


「全部おすすめですけど……初めてなら“レモンバターのチキンソテー”が人気です。あと、ポタージュは毎朝手作りしてます」


ミナとユズは即決。


「それで!」


アリスもつられて頷いた。


「じゃあ……それで」


少女は軽やかに厨房へ戻っていった。


しばらくして、テーブルに料理が並んだ。


・レモンバターのチキンソテー

・季節野菜のポタージュ

・自家製パン

・彩りサラダ


ミナが叫ぶ。


「え、見た目からしてつよつよやん!?」


ユズも目を丸くする。


「盛り付け綺麗すぎん?エモい……」


アリスは言葉を失った。


(……すご……うちと同じ高校生が……これ作ったが……?)


ミナがチキンを一口。


「……っ……やば……これ……うまーー!」


ユズもポタージュを飲んで震えた。


「なにこれ……野菜の甘さがめっちゃ優しい……舌にすっと馴染む……これ高校生が作ったん……?」


アリスもチキンを一口食べた。


じゅわっ

レモンの香りがふわっと広がり、

バターのコクが後から追いかけてくる。


「……っ……美味しい……めっちゃ美味しい……」


でも同時に胸が締めつけられた。


(うちのハンバーグと……全然違う……レベルが……違いすぎる……)


ミナがアリスの顔を覗き込む。


「アリス?どうしたん?」


アリスは笑おうとしたが、うまく笑えなかった。


「……すごいね、この子。うち……まだ全然や……」


ユズが慌てて言う。


「いやいや!アリスのハンバーグもめっちゃ美味しかったで!」


アリスは首を振った。


「ありがとう。でも……こういうの見たら分かるやん。うち、まだ“料理できる”って言えるレベル違うき」


ミナは言葉を失った。


アリスは俯いたまま、

スプーンを握りしめた。


(もっと頑張らんと……この子みたいにはなれん……うち……まだまだやき)


少女シェフの料理は、アリスに“初めての挫折”を教えた。

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