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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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609/611

第609話 サクラサク

 あれから早いもので、もう一年以上が経過していた。

 大学受験も終わり、満は家で受験の結果が出るのをひたすら待っていた。


 この一年というもの、受験生ということもあって、アイドル活動は自粛。夏休みにイリスとともにコンサートをしたのを最後に、細々と月一回の配信程度で済ませていた。

 それでも、人のよいリスナーたちに囲まれていたこともあってか、満は元気をもらいながらどうにかやり過ごせてきた。


 小麦に言われて、自分の目指すところを探った満は、ゴールデンウィークの際にその方向性を見出した。

 風斗の家に、風斗のいとこである世貴と羽美がやってきたのだ。

 二人もそれぞれに会社に就職しており、今でも同じ部屋で暮らしながら、仕事をしているらしい。

 二人の話を風斗と一緒に聞いていた満は、これだと直感したのだという。

 それというのも、自分の彼女である小麦が、イラストを描く人物であることがかなり影響している。

 満は、世貴と同じエンジニアを目指すことにしたのだ。

 普通に考えれば、高校三年生になってからのこれは難しいところだろう。だが、満にはルナ・フォルモントから受けた吸血鬼の力がある。本気で挑めば、可能性はなくはない。

 当然ながら、勉強をもっと頑張れと言われたのはいうまでもないことだった。


 というわけで、満はとにかく必死に勉強をした。

 教師からは志望校への合格は難しいとも言われた。それでも、満は諦めなかった。

 彼女である小麦がはっきりとした展望をもって、そのために努力をし続けているのだ。自分も小麦に見合うだけの男でなければいけない。その思いが、満を頑張らせていた。


 そして、今に至る。


 いよいよ大学の合格発表の時間を迎える。

 満はすぐさまサイトを開いて確認を始める。


 ……重い。


 アクセスが集中しており、当然のように開けない。

 満はやきもきする。

 落ち着くために、一度深呼吸をする。


 間をおいて、もう一度アクセスする。

 開いた。

 満は、落ち着いて自分が合格しているかどうかを確認する。

 はたして、その結果は……。


 ―――


 三月の下旬。


「やあ、よく来たね」


「今日からお世話になります、小麦さん」


 なんと満は、小麦の住んでいるマンションに同居することとなっていた。

 ただし、この時の満は女の姿になっている。このマンションの管理人は、男女の同居にはうるさいらしいので、過去に何度も突破している女同士という形で同居することになったのだ。

 小麦の住んでいる部屋は、そもそも一人で暮らすには広すぎたので、こういうことが成り立ったのだという。家賃等々は折半になるので、少しは余裕が出るだろう。


「いやぁ、まさか満くんがこっちの大学を受験して、私との同居を希望するとはねぇ。管理会社に話を通すのはだいぶん苦労したよ。あんまりこういうのないからね」


「お手数をおかけしました。でも、本当によく通してくれましたね」


「にししし。それはもう、いろいろと手を回したからね」


「うわぁ……。何をしたのか気になるなぁ」


 はにかむ小麦を見て、満はなんともいえない気持ちになった。


「でも、これでアイドルとしての活動はやりやすくなったね」


「ですね。事務所からも結構近いですし、ここ」


「セキュリティは結構信頼できるから、まっ、安心して暮らせるよ」


 小麦は白い歯を見せながら、満を部屋の中へと招いている。

 小麦について部屋の中へと入っていった満だが、そこにはなんと、予想もしていなかった人物が待っていた。


「久しいな、満」


「えっ、ルナさん?!」


 そう、部屋の中にはルナ・フォルモントが待ち構えていたのだ。

 奥から出てきたルナ・フォルモントはそのまま満に近付いて、ぎゅっと抱きしめている。


「うむ。本当に立派になったものよなぁ。その胸にぶら下がっておるでかいものは気に食わんが、真祖の吸血鬼として、妾は本当に誇らしく思うぞ」


「ありがとうございます」


 嬉しそうにしているルナ・フォルモントだが、どうやら巨乳だけは気に入らないようだ。とはいえ、褒められたことを満は素直に喜んでいる。


「本当はグラッサも来たかったようだが、去年まで結構有休をとりまくった反動からか、今は休ませてもらえんらしい。いろいろ伝言はもらってきておるから、お祝いと歓迎のパーティーでもしながら話をしようではないか」


「わーい!」


 十八歳になりながらも、満はまるで子どものように喜んでいる。ルナ・フォルモントとの久しぶりの食事がそれだけ嬉しかったのだろう。

 両手を上げて笑顔になる満を見て、小麦もルナ・フォルモントもにこやかに微笑んでいる。


「まあ、今日の食事は楽しみにしててよ。私の就職祝いと満くんの大学合格祝いで豪勢にしてあるからね」


「小麦さんの手料理かぁ。すっごく楽しみ」


「うんうん。それじゃ、満くんは持ってきた荷物を置いてくつろいでてよ。私たちで準備をするから。ね、ルナ・フォルモント」


「うむ、任されよ」


 話に一度区切りをつけ、三人は早速準備に取り掛かる。

 新生活を前に、恋人同士となった満と小麦、それといろいろときっかけを作ることになったルナ・フォルモントの三人で食卓を囲む。

 紆余曲折を経て、ようやく迎えた幸せのひと時。満たちは、その味をしっかりとかみしめているのであった。

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