21・現在に至るまで
ヴェルドの家はステファニーの家の御抱え魔法具職人兼彫金師、トリスティの家は御抱え魔法薬剤師、3人は年も同じ事から小さい時から一緒に遊んでいたそうだ。
トリスティはハーフエルフだけど成長の仕方はエルフと同じで、ある程度まで早熟で人族で18歳くらいになると成長が止まり、400歳位から100年ほどかけて老けていくらしい。
それでもエルフよりは寿命が半分しか無いのだと言う。
ほっそりした手足、色白で儚げな顔立ち、背が伸びるのも早かったらしい。
ヴェルドは7歳位から身長が止まってしまったそうだ。
それまで同じように成長してきた3人だがトリスティだけが早く背が伸び始めた。
今なら種族特性だと納得できるが、当時のヴェルドは女の子より小さな事を気にやんだ。
ヴェルドが「並んで歩くな」と癇癪を起こすと、トリスティが自分の何が悪かったのか謝る。
ヴェルドが無視をすると、トリスティがまとわりつく。
ヴェルドが「顔も見たくない」と苛立ちを顕にすると、トリスティが遠巻きにまとわりつく。
それにヴェルドがキレると、トリスティが姿を見せずに観察し、手紙で近況やヴェルドの様子を書くようになる。
トリスティの執着にヴェルドが怯えだすと、トリスティはヴェルドの反応に構ってもらったと喜ぶ。
ヴェルドが手紙の受け取りを拒否すると、トリスティがステファニー経由で手紙をヴェルドに渡すようになる。
ヴェルドがトリスティが見えないのに、自分の行動を把握しているトリスティに過剰に怯えだし、ステファニー経由の手紙も拒否をする。
その為、トリスティはヴェルドの近くにいて頼めそうなアディーに手紙を託した訳だ。
思ってたより単純な動機でヴェルドが悪かった。
自業自得だが気配を完全に消せるほどスキルを上達したトリスティが凄い。
学園の入学前にこんな事があったそうだ。
ある日、ヴェルドは自室で彫金の作業をしていた。
メイドが二人分のケーキとジュースを持ってきて「ごゆっくり」と言って部屋を出た。
ヴェルドは首を傾げながらケーキを一人分食べて彫金の作業を再開した。
その日の夕食で「今日、トリスティが遊びに来ていたけど、どんな遊びをしたの?」と両親から聞かれる。
ヴェルドは姿を見てないし部屋には一人だったはずだが、メイドもトリスティを見たと言う。
ケーキもいつの間にか無くなっていたらしい。
トリスティはヴェルドの両親に「お邪魔しました」と挨拶をして笑顔で帰っていったと言う。
それを聞いてヴェルドは戦慄した。
完全にストーカーだ。
折角の昼食だが味が分からなかった。
うん、僕も怖い。 寄宿舎に帰って寝るの怖いんだけど…個室だよ?
「アディー、僕の部屋に泊まりに来る?」
ヴェルドがいい笑顔で誘ってくる。
「やだよ、居たら怖いじゃない。 ヴェルドに見えなくて僕だけ見えてたら嫌だよ」
「だよねー、僕だけ見えないのも怖い」
「良いね、君達は気楽に部屋を行き来できて…、私も其方の寄宿舎が良かったよ」
ステファニーがおかしな事を言い出す。
「「いや、それ無理だから!」」
いくらステファニーと言う生き物でも身体は一応女の子だし無理だから!




