不吉な兆し
事件起きなきゃ始まらない…始まらなくない?
ここ、ビグレイト神殿はゼンブルの中央広場からはかなり近くに位置しており、その外観を初めて見た人はその規模や装飾の驕りに皆必ず感嘆するであろう。なんせ、この神殿はレイデル王国により手厚く保護されており、豪華な造りとなっているからだ。というのも、王国が童貞神ヴァジナスを絶対且つ唯一の神として崇められているヴァージン教を国教としており、ビグレイト神殿では10年に1回、重要な儀式が執り行われるためだ。
この儀式というのは、まずヴァジナスの使者、ヴァジナエルの託宣を神殿の神父が受け、そこから1人の神官が選ばれる。そして、そこから選ばれた神官はヴァジナスと契約を結ぶ。この契約の内容というのが非常に変わったもので、一生童貞でいるという代わりに、膨大なヴァージンエネルギーを手にすることができるというものだ。
この世界において、ヴァージンエネルギーは魔力とほぼイコールの関係にある。そのため、ヴァージンエネルギーは魔法技術の発展においては欠かせない要素、むしろ必須と言っても過言ではない代物だ。
このヴァージンエネルギーを得られた神官は、王国の魔法研究所の研究開発部の長に就き、魔法技術の重鎮として名声と巨万の富を得ることができる。いわば、大出世の大チャンスなのである。
契約を結ぶための条件には、必ずヴァージンであること、異性と生まれてから1度も付き合わないこと、飲酒や喫煙をしないこと、自慰行為は週に3回でそれ未満かそれより上回ってはならない、睡眠時間は必ず5時間、食事は朝昼晩の決まった時間に3食摂る、etc…
多すぎて条件すらクリア出来ない神官が多数というのが実態である。
〜ビグレイト神殿〜
見るからに神聖な衣を身につけ、白い髭を立派にたくわえ、長い白髪がサラリと伸ばしている男が1人、狼狽していた。1ヶ月後に控えた儀式に使うための“童貞の杖/ヴァージンワンド”が無くなっていたからだ。
「私とした事が…何たる不覚。ヴァジナス様もそうとうお怒りになられてるだろうな…。どうするべきか…。」
それは、今日の朝に起きた出来事だ。朝、目覚めると神殿内が多少荒らされている形跡があった、何か盗まれてないか、奥の金庫以外の部屋を隅々まで捜索したものの、金品が盗まれた形跡はなかった。
奥の金庫は魔法によって複雑な鍵が何重にもかけられており、解除するのは決して容易なことではない。できるとするならば大賢者すなわち、グレートアフターマスターベーショナーと同等の力を持ったものであろう。
しかし、ほぼ解除不能と言っていいほどの金庫が開けられていた。
奥の金庫には世界のパワーバランスを変えうる装備やアイテムがたんまり収納されている。
これらが盗まれたらかなりヤバい。神父は奥の金庫を開けた瞬間、ほんの一瞬安堵した。盗まれたような形跡が見当たらなかったからだ。
しかし、神父の安堵は一瞬にして崩れる。
「“童貞の杖/ヴァージンワンド”が…ない…」
〜ビグレイト神殿 4階の寝室〜
クラリスと会話しているうちになんかオッサンが入ってきた。
「よっ、目覚めたか」
屈強そうな戦士がはにかみながら声を掛けてくる。正直怖い。装備は西洋風な騎士みたいに甲冑のような重々しいものを身につけていて、背中には巨大な鉄製の剣が武器のケースらしきものに収められている。
「いやー、急に空から人が降ってきたからな、そらもうビックリよ。ま、俺が運んでやったんだから感謝しろよな。」
「え、えと、ありがとうございます?」
「おう、どういたしまして。感謝は大事だからな。ああ、名乗ってなかったな。俺はギャリソンだ。ギャリーって呼んでくれ。お前は?」
「あ、はい。山本健志です。」
うーん、見た目は怖いけど謎の安心感があるな。頼りがいありそうだし、自分の命をあずけるならこういう人がいいかなぁ。
「ヤマモト…この辺じゃ滅多に聞かない名前だな。それに、見た感じこの辺の奴ではなさそうだな。となれば西の方の出身か?」
一連の会話を聞いていたクラリスは彼の正体を掴みたいと言う一心で、思い切って質問をぶつけた。
「確かにそうですねぇ、ずっと不思議に思ってたんですけど、タケシさんってどっから来たんですか?」
「あ、いや、えと…に、日本です」
「はぁ?どこだそりゃ?そんなの聞いたこともねぇぞ。」
「そ、そうですか…」
「え?日本…ってまさか!?」
「なにか心当たりでもあるのか?」
はたまたクラリスは幼いとき、ある伝承を聞いた
天界には「ニホン」なる神の国が存在する。そこは生きとし生けるもの全てが生の悦びを日々感じ、幸せに暮らしている。これは、500年前、世界をお救いなさった“童帝/ヴァージンオブヴァージン”様のお言葉によるものだ。
「へー、よく知ってんな。」
「ええ、私がまだ小さかった頃、祖母はいっつも“童帝/ヴァージンオブヴァージン”様のお話をしていましたから。」
「そ、そのばーじんなんとか?ってい、一体なんですか?」
彼女は意を決し、質問をぶつける。
「タケシさん、神様にお会いしたことはありますか?」
「え?え、えっと、あ、頭の中ですす、少しだけ会話しましゅた。」
「そのとき、神はなんと仰ってました?」
「え、え、えっと、なんか新しい人生に、あ、あと、なんかし、しぅごい力あげるって言ってました」
おばあちゃんが話してたことと全く一緒だ!500年前も、ヴァジナス様が力をお与えになったんだ!
クラリスは確信した。間違いない。このお方こそが、“童帝/ヴァージンオブヴァージン”の力を持つ者だと。
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「ツイニ、コノトキガキタ。ニンゲンドモ、ジキニホロボシテヤル。」
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重戦士のギャリーはヤマモトの大親友であった。彼は人柄がよく、常に感謝の気持ちを忘れないという汚れなき心を持ち、また武勇も兼ね備えた人物である。その武勇は知れず、幾度となくヤマモトの命を救った。彼の活躍を語らずして、ヤマモトの武勇伝をどうして語れようか。
─【伝記:ギャリソン·ガルガス
プロローグより抜粋】
うーん、設定とかは浮かぶんですけど、文章に書き起こすのはむずかしいですね。
でも頑張って完結はさせますよー。




