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目覚めと出会い

ついに転生しますよー

街の喧騒から見れば、ここがかなり栄えていると容易に想像出来るだろう。ここ、エイデル王国の中心都市ゼンブルの町には、石畳で舗装された道路にさまざまな商店がずらりと並んでおり、活気が溢れている。道を歩く人々の表情は皆生き生きとしており、商人はこれを買ってくれと言わんばかりに声を張り上げ、この町の空気を作り出している。

中でも、ゼンブルの中央広場は人々が最も集まる場所だ。ここには高さ25mにもなる時計台が置かれ、この町の象徴、また、冒険者に待ち合わせ場所として利用されることも多い。そのため、簡易的な露店があらゆる所に開かれていて、これもまた楽しげな雰囲気に包まれている。

だが、その喧騒は一瞬にして破られた──というよりも目の前の信じ難い光景に呆気に取られたと言うべきか。

「な、なんだありゃ!?」

「人が空から落ちてきてるぞ!」

なんと、空から輝かしいオーラに包まれた1人の男性がゆっくりと下降しているのだ。普通の人であれば、彼が何者なのか当然知る由もない。だが、その光景を見た1人の、清らげな衣─恐らく神官だろうか─を身にまとっている少女は咄嗟にゼンブルにある小さな神殿へと走り出した。

「神父様!空から男性が!」

「なんと!?ついに世界が救われる時が来るのですね!その男をすぐここに連れて来なさい!」

「はい!」

少女は急いで広場に戻った。彼女がなぜこんなにも慌ただしい様子なのか、その理由は彼がこの世界の救世主となりうるかもしれないと直感したからだ。

現在、王国は魔族との戦争─といっても、主に防衛を目的としたものだが─を200年もの間、繰り広げている。だが、ここ数年、急に魔族の動きが

活発になり、奴らが攻めてくる頻度も次第に増え、そのせいで王国の軍隊は疲弊に疲弊を重ね、軍事力を失いつつある。このままでは、王国が魔族に滅ぼされるのも時間の問題。一刻も早く、魔族の長たる魔神王クーマルムを討たなければならない状況なのだ。


少女は幼い時、ある伝承を聞いた。



500年前、魔神王グリンゲルは“童帝/ヴァージンオブヴァージン”によって討たれた。この力を持ったものがまた現れる時がくる。その時が、この世界が救われる時だ。



もし、あの男性が500年前世界を救ったお方と同じ力を持つとしたら、この世界は救われるかもしれない。


少女が広場に戻るとそこに無意識の男性を囲うようにして人々が群がっていた。その中に少女は割り込み、最前列までたどり着いた。少女は一刻も早く神殿に連れていこうと

「この方を神殿まで連れていきます!ご協力お願いできないでしょうか!」


〜ゼンブルの町 ビグレイト神殿〜

少女と1人の戦士が男を寝室まで運び終えると、少女はすぐに健康状態の確認を行う。しかし、彼の服はこの街の人からしたらかなり珍しい。第一白いローブ(?)のようなものに身を包んでいる人なんてこの町にはほぼいない。これはもしや、神の洗礼を受けた者なのかもしれないと少女は推測する。そして、服を脱がそうとした瞬間であった。彼の腹部に青白く光る謎の紋様が浮かび上がっていたのだ。小さいひし形斑に散りばめられたようなものが描かれており、それはどこか幾何学的で、神秘的なものに見える。

ここまで運んできた戦士と少女は互いに顔を見合わせた。

「なんだこれ?すげぇ神々しいな。」

1人の屈強そうな戦士がそう呟く。

「恐らく、何かしらの証でしょう。この方からはものすごく強大なヴァージンエネルギーを感じられます。恐らく、その力の証ではないでしょうか。」

「なるほどな、確かにいかにも顔に童貞って書いてあるもんな。」

戦士はその答えに納得し、ガハハと大笑いする。


健康状態の確認を終えた所、異常はなく、命にも別状はないことが判明した。ただ意識を失っていだけのようだ。


───

「ふぁ〜。あれ、生きてる。ってかここ、どこ?」

随分と広い寝室に、光が差し込む大きな窓、ベッドもふかふか。

「随分と豪華だな…」

そう思っていると、コンコンというドアのノックがなり、程なくして、ドアがキシリという音を立てる。

「失礼しま…あ!お目覚めみたいですね!」

「え、あ、ああ、えと、おおおおはようございます!」

「ふふっ、もう夕方ですよ。」

誰だこの子!?めっちゃ可愛いんですけど!?

やばいこんな女の子と二人きりとかきっつ!何か話さないと…ええとええと、話題話題…あっ!

「え、えっと、おお、お名前をお聞きしてもよろしいででしか!」

噛んだ。ひゃだ、恥ずかしい…!

「はい、私はこのビグレイト神殿の神官を務めております、クラリスと申します。」

めっちゃ丁寧なんすけど、こんなしっかりお辞儀されたの生まれて初めてかも…まぁ1回死んだはずなんですけどね。

「あ、ぼ、僕は山本健志です、よ、よよ、よろしくおねがいします」

「ヤマモト·タケシさんですね、よろしくお願いします!」


───

英雄ヤマモト·タケシは神の声を聴き、力を授かった後、この世界に降り立った。様々な記憶を失い、また、意識も失った。後に偉大なる聖母となる神官クラリスと出会い、互いに名を名乗った。これが2人の出会いである。

─【童帝/ヴァージンオブヴァージン】第1章より抜粋


どもりまくりの山本さん(32)でした

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