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Episode:08

「本当なのですか」

「はい」

 嘘みたいな話だけど、ミルは本当にアヴァンに詳しい。まえに住んでたらしくて、細い裏道まで知ってるほどだ。当然あたしたちの付け焼刃の知識なんて、足元にも及ばない。


――あの調子で、他のこともやってくれるといいのに。

 そう思うほど、これだけは見事だった。

 まぁだからといって、かき回されない保証はないのだけど……。


「ルーフェイアがそこまで言うなら、彼女も連れていった方がいいんだろうな。

 そうするとあとは、誰か上級隊から1人……」


 言ってシルファ先輩が考え込む。

 確かにこの人選、間違えると大変だ。あたしたち下級生はともかくとして、一緒に仕事を進める相手との相性が悪かったりしたら、できるものまで失敗しかねない。

 けど、ロア先輩はまだ資格がないし……。


「エレニアあたりが、いいかもしれませんね」

 黙ってしまったあたしたちに、タシュア先輩が言った。


「エレニア? 春に私たちと一緒に合格した、彼女のことか?」

「他にこの学院に、エレニアという名の生徒はいませんよ。

 若干15歳で、経験はやや不足ですが、彼女なら上級隊の中でも優秀な部類に入るはずです」


 タシュア先輩、自分もいちおう同い年なのは棚に上げて、冷静に指摘する。

 でも、言っていることは間違ってない。

 上級隊は普通の傭兵隊と同じで、受験資格は「満15歳以上」。でも実際には、この年で昇格するのは至難の技だ。


 だけどその離れ業をタシュア先輩とエレニア先輩、やってのけている。

 いろいろ事情がありすぎるタシュア先輩はまだともかく、学院へ来る前はまぁ普通にしてたらしいエレニア先輩は、 つまり相当優秀ってことになるだろう。


「在学生に回ってくる任務では、教官に相手を頼むわけにはいきませんし、主だったメンバーは今回の建国祭に出ていますし。

 彼女なら女性ですから、クライアントの意向にも沿うでしょう」

「――そうだな」


 シルファ先輩がうなずく。

 あたしもこの話は、けっこう嬉しかった。ロア先輩ほどじゃないけど、エレニア先輩のことはよく知ってる。文句なんてあるわけなかった。


「えっと、じゃぁ、あたし……訊いてみます。ロア先輩に聞けば、どこにいるか、すぐわかりますから」

「いやでも、そのくらいは自分で頼まないと……」

 シルファ先輩、意外とこういうところはきっちりしてるみたいだ。





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