Episode:42 露見
◇Loa
いきなり学園長室に呼び出されて何事か思いきや、エレニアが連絡してきただけだった。
なんでも、任務中にトラブルが発生したんだとか。
どうもクライアントとルーフェイアが、いっしょに攫われた(?)らしい。しかも爆弾テロまであったんだとか。
んでもってミルちゃん――多分この学院でもトップクラスの有名人――が聞いた情報元に、アジト探せときた。
もちろん学院のほうにも頼んでるらしいけど、まぁ学院だから、それなりだし。加えてコトがコトだから、一刻も早くってことなんだろう。
詳細は直接魔視鏡に送るってことだったから、適当な時間を置いて、立ち上げてみる。
――あ、これか。
特殊な形式で細切れにされたデータが、送られて来てる。
たぶんこれだろうっていう魔令譜幾つか試してみたら、4つ目くらいで復元できた。
読んでみる。
「ふんふん、なるほど?」
大筋はさっき訊いたとおりだけど、これで探せって、かなりヒドい。過激派の名前に目星がついてる以外は、ほとんど情報ナシだ。
「まったくエレニアも、いっつも気楽に頼むんだから」
ともかくドアの外に「邪魔するな」と書いたプレートを下げ、きっちりカギも閉めた。
「さてっと」
どこから手をつけたもんか、ちょっと考える。
こういう時いちばん手っ取り早いのは、直接情報を取ること。で、どこで直接情報が取れるかというと……。
ダメ元でとりあえず、通信網に潜り込んでみることにする。
魔視鏡と通話石が作り上げた通信網は、世間でごく普通ってほどじゃないけど、でもかなり広まってる。
で、そこを利用してるものの中には、おおっぴらにやれないこと、っていうのがけっこう多い。
ウソみたいで笑っちゃうけど、「テロ組織○○を支援する会」なんてもんが世の中あったりして、そういうのは概して人目に付き辛い、通信網上にもぐりこんでるケースが多かった。
で、そこいらあたりを足跡消しつつ渡り歩いて、情報を少し拾い出す。
感想は――ありがち。
ミルちゃんが見つけたその左翼、どうやらクーデター企ててるらしい。けどこれ以上はさすがに、そこらへんには落ちてなかった。
――じゃ、本格的に行こうかな?
今見てたところを足がかりに、接続先の魔視鏡の中を、細かく見てく。
「やっぱあったか」
案の定、ふつうの方法じゃ見られない場所があった。
そこに網を張って、誰かが接続してくるのを待つ。
ふつうじゃ見られないってことは、裏を返せばここに来るのは、何か関係がある人間だけ。だったらそれを捕まえて追跡すれば、何か分かるはず。
もう一台の魔視鏡で雑用こなしながら、張った網に誰かかからないか、チェックを続ける。
――ほら来た。
流れてくる情報を途中で拾って、ちゃっちゃと接続してきたヤツの、個別情報を引っこ抜く。