Episode:10
「そっか、でもそうだよねぇ。ほんとルーフェ、すごいとこに居たんだねぇ」
そんな話をしながらロア先輩と歩く途中、食堂の前であたしは思いついた。
「あの、先輩、食堂……寄っていいですか? なんかシーモアたち、いるような気がして……」
「うん? いいよ、行っといで。そしたらその間に、ボクはエレニア呼んでくるからさ。
シルファ先輩の部屋へ、直行でいいのかな?」
「はい」
じゃね、そう言ってロア先輩は、すぐ向こうの診療所へ歩いていく。
あたしは折れて、食堂へ入った。
いつものメンバーはすぐ見つかった。予想通り奥でおやつを食べていたのだ。
――なんでこんな時間に食事するのかは、わからないのだけれど。
近づくと、先にシーモアが声をかけてきた。
「ルーフェイア、もう先輩との話は終わったのかい? どうやら泣かされなかったみたいだけど」
「そんないつも……泣いたり、してないもの……」
あたしの言葉に、みんなが笑いだす。
「だってルーフェイア、よせばいいのにいつもわざわざ、タシュア先輩の所へなんか行くんだもの」
「けど先輩、いい人だから……」
「はいはい。で、もう時間空いたのかい?」
それならどこかへ出ようか、そうシーモアが視線で訊いてくる。
「ごめん、それが、すごいことに……なっちゃって。えっと、さっき先輩に呼ばれた話、なんだけど……」
それからかいつまんで、話の内容を説明した。
とたんにみんなの表情が輝く。
「ふぅん。じゃぁそれに、あたしたちも付き合うわけだ」
「あ、えっと、イヤならムリには……」
「そんなことないわよ。楽しそうじゃない?」
「そうそう。任務なんて、カッコいいよね〜♪」
シーモアはともかく、ナティエスとミル、分かってるんだろうか? ちょっと不安になる。
でも、この2人に来てもらった方がいいのは確かだし……。
「それでね、シルファ先輩……部屋で、待ってるんだけど……」
「あ、そうなんだ。じゃぁすぐ行ったほうがいいね」
シーモアが立ちあがった。ミルとナティエスも、急いでケーキを食べ終えて席を立つ。
「いつ出発なんだい?」
「それはこれから、決まる……かな。それより多分、いろいろ準備……あると思う」
「そうだよね。まさか手ぶらってわけには、いかないし」
連れ立って食堂を出た。
あまり声が大きくならないように気を付けながら、みんなで話しながら歩いていく。