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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
92/109

7-21

 それからはトントン拍子といった風に事態が上手く進んでいく。

 テレビ局もいたおかげかすぐに病院前で起きた事件が世間へ広まった。その件についてサクラコーポレーションへの問い合わせが殺到する。それを知った者達だけでなくあの場にいた者達からも。もちろん作戦通り。しばらくして、その問い合わせにサイトにあるお知らせを更新した。「問い合わせの件について」と。そこにはとあるアドレスが記載された。それは俺の監視動画とは違う動画。桜アリア、サクラコーポレーション社長による今後の対応に関する動画だった。




【どうも、皆さん。サクラコーポレーション社長。桜アリアです】


 アリアの力によって病院内の会議室を使用する準備は出来ていた。監視カメラが存在しないことも確認済み。ついでに何故アリアがナース服を着ている理由を知っている者のは関係者のみだ。


【皆さんももうご存知の通り、現在。私は彼、円道周一君を保護しています。その理由は主に1つだけ。彼を助けたいと思ったから。・・・ええ。皆さんの意見は解りたくありません。ふふっ。否定するとは思わなかったですよね。何故?って。それは人ではなく人間の考えだからです。言っている意味が解らないならそれでもいいです。自分を正義だと思い込んでる人間には一生理解出来ませんので】


 動画のアリアは不敵に笑みを浮かべる。


【それでは。まずは我が社のSTについて。近々皆様のSTを強制アップデートをさせていただきます。私の亡き夫。いえ、今ではただの海原優作という死んだ人間がスマートフォン程度の機能しかつけられなかったですが、私はまず皆様に個人識別機能を強制搭載させます。簡単に言えばマイナンバー。個人識別番号ですね。そして法で日本のST所持義務化をします。一般人にそんな事が出来る訳がが無いとお思いでしょうが、私が今。誰を抱えいるかをお忘れなく。何故そんな事をするのか。それは彼のためでもありますが、一番はこの世界から悪を限りなくゼロに近づけるためです。知ってますか?と言ってももう報道されているので知っていますよね。あのマスコミの男性。上山勝さん。彼が怒り狂って私に襲い掛かり、そして周一君に殺された事を】


 あの後しばらくして警察と共に病院前にはマスコミとテレビ局が戻ってきていた。そして機材を回収し、足早に去っていった。その後には情報サイトではありのまま起こった事を伝える。ニュース番組では

一部編集を入れた映像を流していた。


【彼が行動を起こした理由についてはもうあの場で語ったので省きますが、何故それが解ったのか。彼の情報を引き出す手段があったからとしかお答え出来ません。そういう事が出来る人材を私は手にしたので。そして付け加えますが、あの場にいた9割以上が法に触れるであろう行為をしていた情報も既に入手済みです。それがどういった意味かは皆さんなら理解出来ると思います。そして何故識別番号を付けるかも。あっ。今からSTを捨てて貰っても構いませんが、義務化させるんですから無駄な行為ですよ。費用がかかるだけなので止めた方がいいですよ】


 俺じゃなくて、もうあんたが脅してるじゃねーか。

 個人識別番号を付ける理由は悪の軽減。STを管理するサクラコーポレーションなら一瞬で個人ひとりひとり。あらゆるデータで出せるログを検出出来る様にするため。これで犯罪行為は勿論。先程のマスコミの様な自身の利益のために他人を蹴落とす行為を防ぐ効果がある。あの中に9割。嘘では無いのだろう。実際、こいつが本気出したら情報社会では無敵だろう。


【まあ、今後も良き改善をしていくので皆様にSTの不便さを感じさせる事はありません。さて次です。円道周一君についてですが、サクラコーポレーションにて厳重に管理させていただきます。周一君が外出する際には必ず我々の関係者が付き添いをするので彼があなた方の言う狂気的や奇行といった行動をとる事は危機的状況を除いて無いでしょう。そしてこの動画があげられている頃には彼はもう既に社内のとある一室にて過ごしてもらっているでしょう。もちろんあんな環境ではありません。最善ですよ】


 動画撮影中のアリアを見ている俺と、機材を操作している春原。ブロッサムは見ているよ言うより聞いているとい言った方が正しいだろう。そして俺の後ろで誰かにチャット連絡をしている椎名。時折チラチラと俺を見てくる。敵意がある訳じゃないから気にはならない。


【ああそれと。これは法的問題ですが、書類上では現在周一君は死亡扱いになってます。これを生存していたと取り消しを行っても私は良いと思いますが、それは皆さんにとってとても不都合でしょう。・・・だって】



【そうすると、あなた達全員。周一君の7年間を奪った共犯者になってしまうんですから】


 笑顔でそう告げた。実際はそうでは無い。誰もがこの件に手を出して関わったわけでは無いからだ。だが、世間では俺に対して様々な暴言を吐かれていたことだろう。俺が知らない間も。そしてそう考えるのが当然だと。常識だと。生きていると認めるという事は俺にしてきたあらゆる仕打ちを認めると同じ事。そうなった原因はもう公開している。知らなかったでは済まされない。もし生きていたと認めた場合、世界は責任の擦り付け合いになるのは目に見えている。・・・と言っても、既にアリアはそれをその身で味わっている。


【因みに私は3年程奪われました】


 あ、やっぱり気にしてた。


【・・・まあ。私の事はさておき、後は皆さんに判断をお任せします。ですが、くれぐれも馬鹿な行動はしないでくださいね。無駄に命を捨てるだけですから。私に関わるものへの行動も止めた方がいいですよ。それは生きるために仕方なく殺人をした周一君よりも重い罪になると私は思います。周一君のいる私の会社を爆弾で爆破すればとか考えて、周一君を再度殺せば英雄になれるとか思ってる勘違いさんがいないことを切に願ってます】


 そこでこの動画の撮影は終わった。

 当然のように反応はすぐにあった。そして批判の嵐も。誰もが自分達が正義だと主張し続けた。

「人を馬鹿にするな」「お前が人を語るな」「個人識別?神にでもなったつもりか?」「あの化物がした事は取り返しが付かない事だ」「今すぐあの変態クソ野郎を殺せ、そうしたらお前だけは許してやる」「生きてるって認めたら私の家族は帰ってくるの?」「ちょっと世界の英雄になってくるわ」など。

 様々な正義の主張が飛び交う。だが後に行動を起こす者は誰もいなかった。

 そして世間ではそれからたった2週間後。円道周一に関する話題は一切触れられることは無かった。




 「それで・・・これを着ろと?」


 動画を撮り終えた会議室。これからの事の確認。俺の健康チェック。機材の片付けなど様々な工程をこなしていく春原。そこに入ってきた車椅子に座る華蓮を引き連れたアリアの秘書。華蓮の服は私服だったがその姿は痛々しい。包帯が所々に巻かれているのが見える。怪我について聞いたが大丈夫とすぐに返事をした。だが。そんな華蓮の膝の上には紙袋があった。そしてそれを受け取った俺に対してニコニコとした顔で見てくる3人の親子。それとアリアの秘書までも。


「はい。椎名が教えてくれたサイズ、そして華蓮のコーディネートで用意したんですよ」


 秘書がそう言うと、更に笑顔が増す親子。いや、これニコニコじゃなくてニヤニヤだ。


「・・・仕方ないか。そういう話しだしな」


 この動画、というかこの行動によって俺は完全な悪。手を出せば殺される殺人鬼として世間に認知されるはず。アリア達の立ち位置も微妙なものとなるが、それはSTの評価が上がればいずれ曖昧なものになってくるだろう。そして俺は現在サクラコーポレーションのとある一室にいなければいけないがそれを病院から出てくるところを見られては嘘を付いていると言われかねない。そのための対策。俺の女装はまだ世間では知られていない。感付く者はいるかも知れないが確証までには至れないはず。今すぐに深く探られない限りは問題ないだろう。だが、だがな。


「ここで、着替えるのか?」

「それはそうでしょ。あなた、超有名人なんだから」


 そう告げる華蓮。


「さっき沙織さんには一度会社に大きな箱を運んでもらったの。その時何人かマスコミがいたんだって」

「大きな箱?」

「そうよ。あなた、周一が入ってるって思わせるためにね。実際、ほら」


 そう言ってSTの画面を見せる華蓮。そこには[大きな箱を運ぶ社員の姿。中身はあいつか!?]と言う題名で画像と記事が載っていた。沙織さん。アリアの秘書が台車で箱を社内へと運ぶ姿がはっきりと映っている。


「これで周一がここから出てきたらおかしいでしょ?だからその帰りに色々用意してもらったって訳」

「だからってな・・・」


 紙袋の中はフリフリの黒のスカートと白のブラウス。黒ニーソに女性用の白のパンツ。セミロングヘアの黒のウィッグにヘアピン。ちょっとしたゴスロリ感を感じられるものだ。様々な女装のための化粧や小道具もある。だがそんなチョイスはどうでもいい。その中には俺が未だに手を出していなかった存在が2つ。それを取り出して見せる。それは白のブラとパッド。


「沙織さんっ!?私こんなの頼んでないよっ!?」

「中学生なので少しは無いと怪しまれると思って」

「私も中学生なんだけど!?」

「知ってる。だからあなたのを借りたわ」

「ええっ!?」

「さすがに下着は買ってきたのだから安心しなさい」

「う、うぅ~~~・・・」


 沙織さんなりの気遣いなのだろう。だがそれは同じ中学生である華蓮には嫌がらせでしかない様だ。

 だが状況的には拒否しにくいため、唸る華蓮。


「ああ。そういえばアリアは高2までそうだったわね」

「っ!?」

「そういえばこのパッド、アリアの」

「むきぃいいいいいいいいいいっ!!!」


 沙織さんは程よい大きさのある自分の胸を強調しながらそう言う・・・ように見えたアリアはナース服の上から胸を隠す仕草をした。そして子供のように悔しがりながら沙織さんに襲い掛かった。だがそれによってより残念感を増大させたことに本人は気付いていない。椎名はこのパッドの存在の意味を解っていなさそうな顔をしていた。

 その残念な理由のもみ合いを見ていた俺の隙を付いて、俺の手からブラとパッドを奪い取った華蓮。華蓮もアリアの残念感を感じたのだろうか、少し目が潤っていた。


「と、とにかく早く着替えて!コレ無しで!!」

「・・・わかったよ」


 何をムキになってるかは知らないが、俺は病院服に手をかけてトランクス一枚になると3人それぞれから声が少し漏れる。


「駄目に決まってるでしょ」


 そこに冷静な春原が椎名と華蓮を、そして沙織さんはもみ合いになって倒れたアリアに跨ってアリアの目を塞いだ。椎名と華蓮は残念がってたが抵抗はしなかった。だがアリアは諦めずに必死に抵抗をし、足をバタバタさせる。その所為でスカートの裾が際どい所まで捲れていった。角度を変えれば見えたかもしれないが別に見たいとも思わないのでそのまま着替えを続けた。

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