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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
85/109

7-14

「・・・お待たせ、しました」


 椎名の身支度が終わり、拠点のドアから椎名の顔が出てくる。全体の姿が見えると、それは自分が此処に住み始めて最初の頃に着ていた水色ワンピースを着ているのが解った。つまりは未使用ではない服だった。だがサイズが少し大きいのか、自分の時の立ち姿と比べてスカートの裾や袖が合っていない感じが見て解る。


「・・・」

「あの・・・どうか、しましたか?」


 じっと姿を見られた所為か椎名は気になってしまったようだ。


「未使用って言ったはずだが?」

「それは・・・あの・・・」


 言い辛そうな椎名。


『あの中には合うサイズが無かったのです。不本意ですがその他の物を使わせていただきました』

「ブ、ブロッサム!?いやっ、その、ちがっ・・・違わないけど・・そういう意味じゃっ!」


 代弁したブロッサムに慌てる椎名。その所為か更に言いたい事がはっきりしない。


「・・・お前が気にしないなら別に構わない。それより、ブロッサム」

『すごく気にしていましたよ』

「だからちょっとだけだってばっ!!」

「・・・それより、だ」


 なんだろう。銃弾を掠った時よりも痛い、何かの痛みを感じたんだが・・・。


『はい。現在、ネットは荒れています。それも処理が追いつかない程に』

「だろうな」

『そんな中でもドローンを使って映像を動画サイトに流している者が複数人。その中で現在進行形の物はこちらです』


 生放送リンクが画面にいくつか表示された。表示されたのは3つ。ここまで早く対応出来るのはこの区域側の住人ぐらいだろう。


「んじゃ3つとも」

『解りました』


 言われるがままにブロッサムは命令通りにサイトを3つ、画面に出して開く。


「・・・えっと?どういうこと、ですか?」

「・・・ブロッサム」

『解りました。椎名、こちらを読んでください』


 じっと見てきた椎名に周一はブロッサムに説明を投げた。ブロッサムは椎名のためとすぐに対応し、この策の一連の流れを箇条書きにした文章の画面を椎名の前に表示した。



 1、海原優作が用意した兵隊を可能な限り殲滅

   戦闘可能な兵士が1人でも多くいればいるほど死のリスクが上がる。どんな状態の兵士であっても躊躇わず殺害する事。

   結果、104とちょっと人の殲滅完了。ついでに誘拐犯5人の殲滅。ただし、死亡未確認者がいるため数の変動、増援などの可能性有り。


 2、海原優作自身に命の危機がある事を自覚させる

   命の危機に陥れば、人質である華蓮を盾に外へ出てくる。そして交渉、もしくは円道周一の殺害を遂行すると思われる。どちらにしても、海原優作の殺害は確定事項である。でなければ、桜家は破滅を迎えるのは不可避である。これは椎名、華蓮に海原優作殺害の拒否をされたとしても遂行します。

   結果、現在進行中。華蓮を盾として外へ誘導する事には成功。現在地の確認は野次馬のドローン撮影放送にて現在行っています。(テレビでは死体などの流せない映像情報があるため、こちらの方が最速で安全に探せる手段になる)


 3、椎名の救出(※最優先※)

  命のリスクが高いのは華蓮でなく椎名と判断。華蓮は私、ブロッサムのマスター権利の所持及びシステムを1番理解している存在。海原優作が華蓮の命を奪う事はデメリットしかなく、そうした場合は海原優作の破滅に繋がるため絶対にしない。例え自分の盾にしたとしても殺すことは無い。これは、利益優先の海原優作ならそうすると判断した私と彼の見解です。ですが、勿論絶対ではありません。

  そして椎名。椎名の命は海原優作にとってはオマケという言葉が適しているでしょう。華蓮を動かすための道具としか思っていないと思われます。だが海原優作は自身の利益に繋がる方法で椎名を使う。最有力候補としては椎名を何者かに誘拐させる可能性。悲劇は宣伝に繋げれられると母・アリアで経験済みです。そして不確定な要素は何が起こってもおかしくはありません。つまり椎名の身に何が起こったとしても海原優作にとっては華蓮さえ生きていれば利益に影響が無いから問題は無いという事。最悪、椎名が死亡した場合はアリアを次の交渉道具にするでしょう。

 以上を考慮し、椎名救出を最優先に行うこと。

  結果、椎名の救出に成功。体調は嘔吐や補給不足による衰弱、頬に微かな腫れ。拘束跡。円道周一が用意した物で多少のケアに成功。移動は問題無く可能と思われる。 

 

 4、華蓮の救出

  2と3で説明したため省略。

  結果、現在進行中。



 もし他に何かあれば遠慮なく言ってください。



 文章の中に思い当たる点があった。事実、身の危険があったからだ。


「・・・ブロッサム」

『はい。なんでしょうか?』

「これって作戦・・・なの?」

『はい。当然の疑問ですね。ですがこれは作戦です。私が円道周一と出会ってから海原優作が行動を起こすまでの間に話し合った内容です』

「こ、これじゃ未来予知だよ・・・」


 椎名は驚きを隠せない。他の内容は見ていないので知らないが、自身の救出には成功している。身の危険があった事も。どうしてそこまで予測が出来たのか。これでは予知の領域である。


『人の思考は、人が起こす事象のみに限り予知が可能だと言われています。様々な判断材料から予測が出されますがそれが変動する可能性は不確定な要素が入った時のみです。事実、彼が出した結果は全て、人が「そうするのが当然だ」と思う行動を予測した事で手にしたものです』

「で、でも・・・」



「いたぞ」


 困惑する椎名に声がかける。指差されたその映像を覗き込むために近付く椎名。そこには華蓮が傷を負い、ボロボロになって気を失った姿。そしてそんな華蓮をお姫様抱っこをして大通りを歩く男、海原優作。


「おねえちゃん!!?」

『華蓮・・・』


 その姿に驚きを隠せない2人。当然だ。生きてはいるはずだがあの状態では完全復帰できる保障が何処にも無い。その姿にショックを受けたのか椎名は無意識に足の力が抜けてしまう。


「・・・ここまでやるとはな」

『これは、予測していた内容と違います。華蓮には大きな危害が加われないのでは無かったのですかっ!?』


 その機械音声には怒りの感情が篭っている。


「不確定」

『・・・・・・そうでした。不確定による変動。これは貴方の所為ではなく、海原優作が起こした事象。この結果はあの男の所為でした。申し訳ございません』

「いや、謝る必要はねえよ。こうなるかもしれないって解ってたんだからな」

『っ!?だったら何故対処しなかったのですか!?』

「俺は化物であっても神様じゃねーよ」

「『・・・・・・』」


 その答えに椎名は周一の顔を見た。その顔はとても寂しそうな顔をしていた。


「だから聞いただろ。どっちを先に助けるかを。お前は俺との話し合いで椎名を選択した。本人にも確認したしな。そんで結果がこれってだけだ。アニメの主人公みたいにヒロインも困ってる人も、全員無事に助けてハッピーエンドなんて。そんな現実離れした結果を得られる奴なんてこの世にはいねーよ。だってそうだろ?そんな都合よく世界が動いてくれるなら、俺はこんな生き方してねーよ」

『・・・でしたらこれからどうすれば』

「何をするかは勝手に決めてろ。此処にずっと座ってるでも、過去に戻るためにタイムマシンでも探すでも、どんな病も一瞬で治す薬を開発するでも好きにしろ」


 周一は銃にちゃんと弾が込められているかを確認し、それをベルトへと備え付け、建物の出口へと向かって行く。


「・・・っ!どこに行くの!?」


 椎名の声に、周一は足だけを1度止める。


「最悪を止めに行く。今も昔も、生き物に出来る事なんて足掻く事だけだ」


 そして周一は再び歩き始めた。

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