7-11
「次から次へと・・・数は減ってんだよな?」
『勿論です。あと73人です』
次々に襲い掛かる銃弾を浴びせ続ける人間達。1人殺せば、1人以上視界に増える。ゲームのエンドレスモードをプレイしている気分だ。ビルの物陰に隠れながら周一はそう思った。
『正直、あなたがあの者達相手にここまでやれるとは思っていませんでした』
「は?何だ、いきなり」
『あなたの身体能力は同年齢の者達の域を遥かに超えています』
周一はそんな事を言うブロッサムの声を聞きながら銃弾の音が止んだ瞬間と同時に物陰から飛び出した。もちろん人間達はそれを狙ってワザと銃弾を止めたに違いない。だが、それは周一にとって人間達の大きな隙へと変貌する。
人間達は周一が出てくる姿を確認し、腕と銃だけなら物陰に隠れて先程と同じ行動を取るだけ。でもこれはお互いに弾を減らすだけの行為。いずれ弾数の少ない周一が底を尽きて近接戦を余儀無くされ、結果人間達の圧倒的有利に繋がる。もし体全てが出て来たら移動先を見逃さず、可能ならば仕留める。人間の策なんてそんな所だろう。
なら、その目視する瞬間を狙えばいい。
周一は飛び出した瞬間に頭を出してこちらを見ていた3人の内、2人に片手に1つずつ持っている二つの銃口をそれぞれに向け、移動しながら1発ずつ発砲した。普通なら移動しながらの発砲は銃口がぶれる。当たるとしても偶然と呼べるものだろう。だがその弾は2人の顔面に直撃し、2人は血を少し撒き散らして物陰へと消えた。もう1人はその光景に事前に設置していたであろう簡易のバリケードの物影へ思わず隠れてしまう。
そしてそれを一瞬のうちに目視した周一はすぐさま殺した1人が隠れていた物陰へと隠れた。
「・・くそっ!!何処行きやがった!!」
などと言っているがそうなった結果はお前が選択を間違えたからだろとそう思った。そしてその発言をしていると言う事は・・・
バァン!!
周一はバリケードからまるでマヌケを現実に見たとも言える残り1人の頭を打ち抜いた。
これであと70か。
『・・・そしてその判断力。行動力。どれをとっても達人と同等、もしくはそれ以上と呼べるものだと私は判断しました。何処でそんな技術を?』
側にある死体から使える道具を漁る周一に先程の続きを話すブロッサム。
「知るか。こういう生き方してたら身に付いてた、としか言えねーよっ」
死体からハンドガン1丁と手榴弾3個手に入れ、持っていた物も合わせてベルトやポーチへと挿し込み、死体がメインとして使っていたサブマシンガンを手に物陰から飛び出し、近付いてきていた足音に向かって連射した。
周一にとってはそれは日常の動作と変わりない。この区域に、遊びでも復讐でも。どんな理由で入ってきたかは知らない人間共を殺し続けた日常と変化は何1つ無い。使えるものを使って敵を倒す。それだけ。だが今の周一は少女を救うという目的がある。それは男なら誰もが憧れたヒーローの姿。無心だった周一の今の心には何か込み上げてくるがあった。
近付いてきた3人を片付け、残り67人。周一は目的地の中央拠点への道で、一番懸念していた場所の手前へと辿り着く。そこは大通りで十字路。視界良好。隠れられる建物も豊富。見た事無い車も何台か放置されている。つまり奇襲をかけるなら絶好のポイントだ。
その光景に思わず周一は十字路に入る手前で隠れもせずに堂々と立ち止まった。その予想外の行動によって視線を微かに感じ取ることが出来た。
『・・・やはり、待ち構えていましたね』
状況を代弁するかのように呟くブロッサム。当然だろう。数人殺せばその状況を高確率で誰かに知られ、伝達される。そしたら後は襲撃しやすいポイントで数任せに襲撃すればいい。襲ってきた人間共は皆、この場所の方角から向かってきていた。つまり誘導された、という事になっているんだろうな。
「んじゃ行くか」
『・・・本気なんですね。解りました』
手に入れた2個の手榴弾のピンを抜く。始めから用意していた物もあるがせっかくなのでこっちを使った。
「3っ!」
1個目を先に大通りの中央付近へ投げる。その音に人間が数人顔を出す。
『2』
「いちっ!!」
そして周一はもう1個の手榴弾を大通り中央上空に向かって投げ、そのまま堂々と大通りへと足を踏み入れた。
瞬間。爆煙が大通りを覆う。その中を走る周一に何かが腕と足を掠り、まるで刃物で切ったような痛みが走る。発砲音が微かに聞こえたからきっとその弾だろう。直撃をしなかっただけ運が良かった。
左右へと更に1つずつ手榴弾を投げ入れ、中央突破へ向かう。
黒煙の中、叫び声が聞こえる。「C班は発砲を開始しろ!」「奴は中央を走っていた」など言っていたがその声は途中、追加の手榴弾よって消えた。
その声によって行き先で待ち構えていた集団はサブマシンガンを中央に向けて乱射を始めた。
だがその数は次第に減っていく。
「おいっ!なんで撃つのをやめ・・・」
「さぁ、何ででしょ~かっ」
仲間がいたはずの場所に顔を向けた人間は目の前にあった銃口に頭を撃ち抜かれて倒れた。
「答えは死んだ後で、ってな」
『死んでは答えを知れないと思います』
「それはこいつの気合次第だな」
『それも無理かと』
あの声は俺が中央に居ると言っていたが、そんな的になるような行動を取るわけがない。冷静になっていれば誰でも気付く。だが、最初の一手。手榴弾で冷静さが失われた。目視出来ていた目標の消失。左右の班の身勝手な発砲がパニックに陥った証拠だ。左右が互いに打ち合ったら流れ弾が味方に当たる危険性がある。音が微かにしかしなかったのは誰かが止めたからであろう。だがその時点で勝敗は決まった。あの時、人間達は無理にでも発砲を続けるべきだった。そうすればいずれ俺に当たっていたはず。止める行為は逆にチャンスを作ってくれるありがたい行為だった。おまけに大声で次の行動まで教えてくれた。無能ってのはああゆうのを指すのだろうな。
「・・・んで何人やれたと思う?」
『あなたが先程やった15人を含めれば少なくとも40以上は見込んでもいいと思います』
「正確な数字は出ないのか?」
『このSTのカメラでしか目視出来ないのです。無理を言わないで下さい』
「わーったよ。んじゃあと残りは[ちょっと]人で」
『解りました。ではそれで。残り人数はあと[ちょっと]人です』
「・・・お前が言うとすげぇー馬鹿っぽく聞こえるな」
『・・・早く行きましょう』
「怒った?」
『怒っていません。私にはそういった感情は』
「感情あるって自分で言ってたろ」
『・・・いいから早く向かってください!』
「へいへい」
周一は言われるがまま、中央拠点のある方角へと走っていっ
「っとその前に、ライフル持ってたやつが何人か居たんだろ?」
『はい』
「んじゃ先にこっちだな」
と言い、路地へと入って行った。




