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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
76/109

7-5

【・・・昨日午後4時頃。○○に潜伏していた変態の円道周一(11)の死亡が自衛隊によって確認されました。○○内に痕跡を見つけた隊員は柱に爆弾を設置し、それらを爆破して倒壊させて圧死させました。倒壊後の瓦礫から小学生程の身長で痩せ細った死体を発見。体の損傷が激しかったため鑑識に回したところDNAが一致。本人だと判明しました。静岡市街へは瓦礫の撤去が終わり、死者達の身元確認などが終わり次第開放される見込みです】


 そんなニュースがとある室内で流れる。


【いやぁ~。これで静岡市民の皆さんも安心して眠れますね~】

【本当ですね。それに自衛隊の皆さんのおかげで亡くなった方達の仇も取れて。本当に良かったです。自衛隊の皆さんには感謝しかありませんね】


 ・・・などと歓喜のコメントを朝のニュースで流している。


「・・・思惑通り、というか。やはり、か」


 そんなニュースに思わずつぶやいた。


 周一がこの3日間でした事。


 まず周一がした事は自分の身代わりとなる人物を用意する事。でなければ今、あんなニュースはされない。幸いあの日、殺していく中で自身に近い体格の小学生を殺していた周一はそれを思い出し、空を飛ぶヘリや監視カメラなどの視線を回避しながら回収し、状態を少しでも維持するためにコンビニの氷をかき集め、あの倒壊された場所の見つからないような場所、商品を被せて隠していた。


 次は痕跡残し。数箇所に渡り自分がここに居たという物を残す作業。意外にこれは簡単だった。血の足跡、食べ物飲み物のゴミ。肉片を少々用意するだけ。少し手間だったのはあの建物周辺にも残さなければならなかったし、あの建物が本命だと思わせる痕跡のために他の建物とは違う痕跡を、忍び足で建物内に入っていく痕跡を残した事。こうしなければ子供らしい逃げ方と思わせる事が出来ないからだ。


 そして最後。それは自衛隊の1人を捕縛する事。それは何故か?答えは簡単。あの建物に周一がいると言う証言をして貰う為。隠れて何処にいるか分からないのならいっそ爆破して殺せばいいという案に移行させる為。だがそれをさせるにも捕縛の手段と脅す材料が必要。捕縛時に見つかってしまえば終わりだし、捕縛を成功させても脅しのネタが無ければ目的を成せない。

 ならどうしたか。身を潜め、あの警官達と同じように奇襲をし、逃げれないように足を傷つけ、武器を奪い、そして拘束する。言葉にすれば簡単だ。だが言うのとやるのとでは全然違う。・・・というのが一般的な意見だろうが周一にとっては同じに等しい。それらの工程は全て、1つでも失敗すれば死に繋がる。だが死ぬことなど、もはや結果とでしか思っていない周一にとっては躊躇う理由にもならない。成功すれば生存し、失敗すれば肉片と化す。ただそれだけのことだった。

 脅しのネタはあの腕輪。STだ。警官がつけているぐらいだ。自衛隊がつけていてもおかしくは無い。そしてSTには個人情報が入っている。つまりはこう言えばいい。「そのSTの情報を引き出す方法を詳しい奴から聞いた。お前と同じ状況にしてな。この意味が分かるよな?」と。そう相手にお前の人生を握っているぞと思わせればいい。もちろん、そんな方法は知らない。だが情報に飢えているであろう殺人鬼が同じ手口でその方法を知ったとしてもおかしくは無いと思わせる事は出来る。

 自衛隊1人の捕縛と脅しに成功した時点で4割ほどの成功。そして残りの6割はその後の行く末次第。この街を閉鎖されることになれば勝利と言っても良かった。だが周一は保険のためにわざわざあの身代わりを用意した。それはあのニュースが報道されることを願ったからである。意図が伝わったかどうかまでは分からない。DNA鑑定ですぐにばれる事。だがそう誤報道されたという事は世間もまたそう願ったという事だ。この時点で周一の策は計9割成功だった。・・・では、あと残り1割は?


 血溜まりの床に転がっている自衛隊員に視線を向けることなく周一はその場から姿を消した。



 今後のために、再び歩み出した。

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