6-11
「なぁ、あんたら」
「あぁ?・・・ってなんだ人じゃねーか。お前もこの国に武器を買いに来たのか?」
俺の姿を見たクレーマーの1人。このグループのリーダーであろう男がそう推察する。
「いいや。それよりもあんたらは此処のルールを聞いてないのか?」
そう聞かれてキョトンとした3人は顔を見合わせる。
「まさかとは思うが、お前。あんな亜人共が作ったルール、馬鹿真面目に従ってんのか?」
「亜人共?」
「何だお前、亜人って言葉知らないのか?・・・もしかして俺達と同類か?亜人を知らないなんてこの世界じゃぁ・・・にしてはインテリングが見あたらねーな」
周一のインテリングを探すために観察する3人。
同類。インテリング。つまりこのグループはライネスの勇者達である事がわかった。
「はっ!?もしかして貴方、噂の勇者?」
「噂って何だ?」
「ほらっ。イシュエールで聞いたでしょ。突然別世界からやってきたっていう異世界人の話」
「・・・ああっ。アレか!」
「ああ、思い出した思い出した。なあお前。異例の勇者って奴か?」
どうやら俺の噂は他国でも伝わっているらしい。だがフォレフォスで、ギーベストやティーテから俺に対してその話題が出ていないという事はこの国にはそういった国外の情報があまり手に入らないようだ。
「・・・まあ。そんな話はどうだって良いんだけどさ。さっきも言ったけどあんたらルール違反してんだぞ。違反は即国外追放。それを解ってんのか?」
「それは俺達に非がある場合だろ?こっちは魔王を倒すため、この世界のために頑張ってんだ。強くなるために金貯めてここの亜人にしか作れない強力な魔法武具を買いに来たって言うのに。しいて言えばオーダーメイドすら文句を言わせない額を貯めてな!」
そう威張るように3人はそれぞれジャラっと音が鳴るトートバッグぐらいの大きさの袋を手に持って見せてきた。3人とは少し距離があるが音が聞こえたという事はそれだけの量が入っていると言う訳だ。・・・あれ、俺の有り金の何倍ぐらいあるんだろう?
「そしたらあいつ等、お前達人間に作る物なんて無い。とかどいつもこいつもほざきやがったんだぞっ!この気持ち、同じ人間ならわかるだろっ!?」
そして同類を増やしたいがために訴えてくるリーダー。
「おい、人間共」
「お、お前は!?」
その訴えに俺の隣まで歩いてきたギーベスト。
「お前達の目的は土の精霊ノーメ様に会い、加護を得られるかを確かめに来た・・・そういう話だったはずだが?」
「くっ、亜人風情がっ。・・・それはまだだ。先に武器を作ってもらって出来上がる間にそれを済ませようと思っていた所だ」
最初に何か小声で言っていたようだが、つまらない言い訳だ。それではどう聞いても加護を受ける事がオマケに聞こえてしまうと言うのに。
「いや、あんたら。此処では武器の所持禁止だろ?なんで武器手に入れようとしてんだよ」
「は?お前馬鹿か?さっき言ったろ強くなるためだって。それに此処では武器を持っちゃいけねーが買ってはいけないとは言われてない。だったら俺達の武器を預かってる門の所まで買った武器を亜人共に運ばせればいい。ルールってのは穴を見つけるもんだぜ」
「運ばせれば、ねぇ・・・」
こいつらは俺にとって嫌いなタイプの人間だ。自分を正当化させようとする奴はどいつもこいつも・・・。
そう思いながら周一は3人へ再度歩み始める。
「あんたらの言いたい事は解った」
「だろう。だからこうして抗議を」
「だから、今からあんたらに選択肢を与える」
「「「はぁ?」」」
「まだ生きていたいか?それとも今死にたいか?どっちだ?」
「何をいっ!?」
3人は一瞬で表情が豹変した。それはあの顔。ある者は優しき顔に見え、ある者は死を受け入れてしまう恐怖が目の前に現れた感覚に陥る。彼ら3人はどう見えたかは言うまでも無いだろう。
「・・・もう一度聞いてやる。どっちだ?」
「ハッ・・ハハッ・・・ハハハ」
「何だ?答えられないのか?だったら俺が選んでやろうか?」
あまりの恐怖に口から言葉が出せていないリーダー。残り2人も同様と言ったところだ。
そしてまた1歩、また1歩と。歩くにつれて恐怖による震えが増し、人間式マナーモードとも呼べるバイブレーションが起こり始めたところで限界が来たのか、3人共意識を失って地面に倒れた。ついでにリーダーは失禁していた。
「・・・俺、まだ何もしてないんだけど」
抵抗するために何かしらの攻撃してくる可能性は考えていたのだが・・・考え損だった。
『こっ、これが・・・覇王色の』
「そんなの俺にはねーよ」
そんな力があるなら今頃は海賊王目指して航海してるって。
「んで、ギーベスト。結果はアレだが、これで良いか?」
「あ、ああ。何をしたかは知らんが助かった。礼を言う。・・・ああそこの。悪いが兵を数人呼んできてくれ。私の名前を出せば事情を聞かずにすぐに来てもらえるはずだ」
冷や汗をかいていたギーベストは礼を言った後、近くにある建物前で見ていた街の住人に声をかけてそう指示をした。
指示された住人が駆けて行く姿を見ているギーベスト。それを横目に、周一は屋敷に聳え立つ世界樹フォレスを見上げた。
「見てたね」
その姿にいつの間にか近付いて来ていたアイリスが声をかけてきた。
「やっぱそうなのか?」
その言葉に確認をとる。
「えっと・・・何の話ですか?」
『さあ?』
理解している組としてない組。それぞれの反応をしながら皆でフォレスを見上げた。




