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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
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6-9

詰所を後にした周一達は国の中央にあるティーテの屋敷に向かう事になった。ギーベストはティーテの屋敷に着くまでの間、周一の監視役をティーテに命じられたので同行している。だが歩くたびに街行く人達の敵意の視線がおのずと集まっていた。


「それで、ティーテ様ってのはどんなやつなんだ?」

「んー、簡単に言うとエルフとドワーフのハーフで強くて優しい人かな。問題事を相談すればちゃんと話を聞いてくれるし、対策も一緒に考えてくれる。ただ、お説教になると長いんだよねぇ・・・正論ばっかり言うし」

「ティーテ様の言葉には我々はいつも救われているのです。お話が長くのなるのも仕方の無いことですよ」


 それってお前も長いって少なからず思ってるって事じゃねーか。


「えぇ・・・。だってあれ、ずっと聞いてたら耳塞ぎたくなるよ」

「何言ってるのアイリス。いい話は長くてもいい話なんだからしっかり聞かなきゃ」

「・・・クーラにティーテ様のこと教えなきゃ良かったって今後悔してるかな・・・」

「そんな事無いわ!教えてもらった時から今でもティーテ様は私の理想!もうすぐ会えるってだけで私、緊張と興奮が納まらないんだからっ!」


 先程のティーテとの約束があるためか、徐々にテンションが下がっているアイリス。それとは逆に高揚しているクーラ。理想の人物と面会できる。例えるなら好きな有名人に会えると解った時の感じだ。そんなテレビ番組に出ていた一般人の反応に良く似ている。


「・・・変わった人間だな」


 先を歩く少女2人のティーテ談議にギーベストはクーラに対する認識を考えさせられた。


「そりゃ印象の問題だな」

「印象?どういう意味だ人間」


 隣にいた周一はギーベストのその認識に補足を入れた。


『だね。ねぇ。あなたは今、ますたーの事どう思ってる?』

「マスター?」


 いつの間にかウィンドウモードになっているイリスがギーベストに聞く。周一の呼称を知らないギーベストは思わず聞き返すが、イリスはそれを解っていたのか矢印で周一を指していた。


「遠慮とか要らないぜ。俺に対するイメージをそのまま言えばいいからな」

「・・・わからん」

「ん?」

「お前の事は何も解らん。ふざけているのか、ふしだらな事にしか目が無いのか。さらには元の世界で大量殺人をしたと言い、自ら評価を下げようとする異世界人。そんな奴をどう評価しろと言うのだ」


 ギーベストは冷静にそう答えた。その答えに周一はニヤリと笑う。


「・・・何がおかしい?」


 ギーベストはその顔に怒りを覚える。


「いや。だってお前。クーラや俺を人間共としてではなく個人としてちゃんと見て評価してるじゃねーか」

「っ!?」

「きっとこの国の連中は全員、[人間なんてみんな同じだ]って思ってるだろ?」

「そうなった原因は知っているはずだ」

「ああ。でもそれは偏見による印象が一番の原因だ。そうなったって言うからには昔は人間とも交流があったんだろ?」

「・・・昔の話だ」


 目線を逸らしたギーベスト。


『でも、今じゃ仲は最悪。原因は人間からの迫害』

「・・・・・・。」

「俺もこいつも迫害を。同じ人間から受けた側だからそういう気持ちは全部じゃねーが、理解はできる」

「なんだと?」


 それについて聞かせろと言わんばかりに周一の顔を見る。


「・・・まっ。どうせ仲良くなるためには話す事になるし。お偉いさんに話せば似た者同志として見てくれるかも知れないし。だから知りたきゃ付いてくりゃいい。(それに、あいつらにも話とかないとな)」

「・・・だが私は屋敷までの監視」

「そんなの外でも中でもたいして変わんねーよ」

「いや変わるだろ」


 冷静にツッコまれた。


「んま、そんなのはどーにでもなる。要はあんたが聞きたいか聞きたくないかだ。どーすんだ?」

「それは・・・」


 ギーベストはしばらく悩み、そして首を縦に振った。


「そっか。んじゃ、互いを知るために。俺は周一・円道。異世界人だ」

『私はイリス!』


 俺とイリスは立ち止まって自己紹介をし、俺は握手を促すためギーベストに向けて軽くしゃがんで手を差し伸ばす。


「それは知っている」

「こういうのは形からってやつだ。俺もあんたの事を知れるなら知りたい。あんたの名前は?」

「っ!?」


 ギーベストは気付いた。今まで周一はギーベストの事を1度も名前で呼んではいない。そして自身もまた同じ対応をしていた事に。そして周一の[個人として評価している]という自身に向けて言った言葉。それは周一もまた同じ。自身もまた評価されていた事に。


「・・・ふっ。お前も変わった人間だな」


 そんな周一を面白いと思ってしまったギーベストは少しだが笑みを浮かべ、差し伸べられた手を握る。


「私はギーベスト・グラドン。エルフだ」

「『えっ!?』」


 ギーベストの自己紹介に驚く2人。その反応にギーベストの手に力が入ったのが解るほどの痛みを感じた。


「・・・その反応。お前達も逆だと思っていたのか?」


 それに気付いたのかどうかは解らないがそっと手を離したギーベストは疑いの目を向ける。


「あ、気分悪くしたなら謝る。ごめん、ギーベスト」

『ギーベストさん。ごめんなさい。私達の世界だと空想上の存在で絵だけなんだ。ちなみにこっちがエルフで、こっちがドワーフなんだよ』


 ギーベストに謝り、イリスはその理由を説明するために一般に知られているエルフとドワーフのアニメ画像を見せる。


「・・・なるほどな。なら異世界人の殆どの奴らは間違えるわけだ」


 納得したギーベストに周一達は少し安心した。


「本当にゴメンな。こういうのが偏見に繋がっちまうのは解ってんだけど。人間ってのは1度記憶した事の印象が強くてな。自分でしっかりと知ろうとしない限り、それが常識だとずっと思い込むんだ。だから俺達は今知れてむしろ助かった。ありがとうギーベスト」

「・・・礼はいい。そういう理由を教えてもらえれば怒りも沸いてこない。こちらも人間共の理由を知れて助かった」


 こんどはギーベストから手を伸ばす。今度はしっかりした握手を交わしたいと言う顔をしている。


「互いに互いの事を知ろう。シューイチ」


 そしてギーベストは周一の名を呼び、それに応えるように周一は再び手を交わす。


「ああ。よろしくな。ギーベスト」



『みてみて~。あれが種族を超えた男同士の友情ってやつだよ~』

「あら~」

「まあっ」


 何故か立ち止まって振り返り顔をニヤつかせて俺達を見ている3人の少女達。周囲の街人達はギーベストが人間と握手をしている光景に驚き、どよめく。


「「ち、違うっっ!!!!」」


 こういう印象が一番拭い難いのを周一は知っている。そしてそれを知っていて悪戯したくなってしまったイリスだった。


「いっ!?ってか、力つよっ!!?」

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