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-ふっかつのじゅもんを いれてください-
ざおり く
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| かんちがい しています |
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・・・え?だってこれが復活の呪文だろう?何で勘違いなんだ?
『おお ますたあ!
しんでしまうとは なにごとだ!』
『しかたのない やつだな。
おまえに もう いちど
きかいを あたえよう!』
『たたかいで キズついたときは
まちにもどり やどやに とまって
キズをかいふくさせるのだぞ。』
『ふたたび このようなことが
おこらぬことを
わしは いのっている!』
・・・と俺の傍にある謎の噴出しから流れ続ける台詞のような文章。とりあえず横になっていた体を起こす。
「いや、普通に起こせよ」
『え?だってネタの流れて的にこっちの方があってるでしょ?』
「それって今のドラクエにあるのか?」
『さあ?ますたーがファミコンの初代を買ってやってた以来見てないし調べてないから知らないよ』
「だよなー。俺達はFF派だもんな。レトロゲーマー界で名作だって噂でやっては見たけど、おつかいばっかで面倒なんだよな。アレが欲しければアレ持って来いとか言ってさ、んでそれを取るためには別の事しろとか言われてさ」
『それはFFにもあるよ』
「・・・んじゃFFとドラクエって何が違うんだろうな?」
『んー・・・世界を救うってストーリーは同じだし。レベル・育成システムも大して差は無いし。違いって言ったら戦闘が主人公視点か三人称視点か、あとは主人公がはい・いいえ以外に喋るかどうかぐらいじゃないかなぁ?』
「それだけならやっぱ俺らはFF派で間違いないな」
『だねー。はい・いいえだけしか喋らないとかコミュニケーション取れなさそうだもんね。ああ!だから初代の勇者はボッチ旅だったんだねっ!』
「おいおい。そこは物語の都合上とかで勇者は一人旅をするしかなかったとかにしとこうぜ」
『だってⅡからは仲間がいるよ?勇者が仲間連れて伝説の武器や防具を手に入れたり、魔王倒したりしてるよ?初代の勇者だけ許されないなんておかしいよ!ボッチじゃラリホーされたらお終いなんだよ!可哀想だよ!!』
「や、止めろ!可哀想とか言うなっ!それを言ったら村人から[あいつ、ボッチなのに王様に勇者と言われて担がれちゃって、魔物にラリホーされたら死ぬかもしれないのに魔王討伐のボッチ旅してんだぜ。しかもボッチだから、はいといいえしか喋れないコミュ症なんだぜ]とか心の何処かで思われてるとか色々考えちゃうだろっ!」
『「・・・初代勇者、可哀想」だね』
「もう完全復活したから良いよね」
2人の茶番劇をじっと見ていた4人の中からアイリスが声をかける。
『うん。いいよ』
「俺は良くない」
アイリスの茶番終了コールに周一は否定した。
「え?なんでかな?」
「そりゃ」
「私とクーラにエッチな目的でぶつかろうとしてきた変態さんっ」
「・・・くっ。ならば直でっ!?」
言い訳する前に先手を撃たれた周一は直接行動に移そうとしたが、アイリスが突然何処からか出した禍々しい黒い剣の剣先が周一の顔の目の前に置かれた。
「直で、何かな?」
「・・・わーったわーった。真面目にやるよっ」
『アイリスすごいっ!おふざけますたーを黙らせちゃうなんて!』
「それって褒められてるのかなぁ・・・」
頬を軽くかいたアイリスは禍々しい剣を消した。
褒めてるかどうかはさて置き、俺を抑える事が出来たのは今まで2人だけ。イリスとシーナだけだ。
ただな、相棒。その3人目に俺は喜ぶことが出来ないぞ。だっておふざけ出来ないじゃん!
「ったく。んで、待たせて悪かった。シルフィー、話ってなんだ?」
立ち上がって呼びつけた本人。シルフィーに声を掛ける。
「ああ。用件は大した事ではない。ただお前の風の魔法を見せてもらいたくてな」
「風の魔法?」
『どうして?』
「お前の魔法は無属性らしいな。本当にそうなのかを見たいだけだ」
「それって誰から聞いたんだ?」
「ルーナだ」
「っ!?シルフィー!!?」
「ああ。そうだったな。今は魔王ルシファーを名乗っていたのだったな」
顔を真っ赤にしながら間違い?を指摘するルシファー。
『「可愛い名前だね」』
「「でしょ~」」
「うるさいっうるさいっ!!」
イケボ?で茶化す2人と便乗するアイリスとクーラにさらに顔を真っ赤にさせるルシ・・・ルーナちゃん。ああ。だからルーちゃんなのか。
「まあ。ルーナの事はどうでも良いのだがな」
「よくないぞっ!!」
「ああ。ルーナちゃんの事は後で可愛がるとして」
「な、何を言っておるっ!!?と言うかお前達その名でよ」
「魔法を出すのは良いけどさ」
「おいっ、無視するな!!我はまお」
「【ウィンドブラスト】で良いか?」
「ああ。風属性の魔法であれば何でも構わないよ」
『どうせなら別のにすれば?』
「別のって言ってもなぁ・・・」
『ほら、エアロとかバギとかあるでしょ?』
「ゲームのはさすがに無理じゃね?エフェクトはなんとなく覚えってけ・・・ど」
周一は思考を過ぎらせた。ゲーム魔法のエフェクトは敵味方問わず何度も見る機会があるため覚えている。そして俺がこの世界で使った魔法は美遊が使った物を自分なりにアレンジしたイメージを加えた結果があの威力だ。それだけじゃない。今までも。飛行する時もアニメのキャラを参考にしてイメージし、常に滞空するための意識は必要だが飛ぶ事が出来た。クイックとの戦いではあいつが使ったのを真似した。それが出来る。あの剣を手にしてからはいつの間にかそう確信していた。つまり。クイックの言っていた[なんとなく]で使える、とは。
「シューイチ?」
「どうした?」
考え込んだ姿にクーラとシルフィーが気になって声をかけてくる。ちなみにアイリスはルーナちゃんを慰め中である。
「・・・試してみてもいいかもな」
『そーだよますたー。男は度胸。何でもやってみるもんだよ』
「そうだな。イリス。魔法打ち合ってみるか?」
「打ち合う?」
「バトル物の醍醐味。相殺を」
『やるっ!!』
相殺と言うワードで即答するイリス。やる気満々だ。
「んじゃ、ここじゃあれだし。外でやるか」
『はーい』
そう言いながらいじけてるルシファー、では無くルーナちゃんのもとへ近付く周一。そして左腕を使ってルーナちゃんを後ろから抱きかかえた。
「なっ!?何をするきぃににゅ~~~・・・」
そして空いている右手でルーナちゃんの頭をナデナデすると反抗的な声が一変した。
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| ルーナたん を手に入れた |
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「る、ルーちゃんが!?抵抗しないでぬいぐるみみたいに可愛がられてるっ!?」
「ふみゅううううう~~はぁにゃ、すにゃあああああ~。もっとぉ~・・えへへぇ」
「魔王相手に、本当にこの人は何を考えているのですか・・・」
「・・・いいなぁ」
「シルフィー様?」
「い、いや。何でもない。私達も行こう」
ルーナたんを抱きかかえながら外へと向かっていく周一達の後を追って行く3人だった。




