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「それは俺様のセリフだ!!」
リンネの言葉に対してアルトはそう言いながらリンネに向かってニヤリと笑い、腰にあったもう一本の剣を手にしてからまるで隙を突いたぞと言った顔をしながら突っ込んで来る。構えからして模擬戦と同じ展開、剣を振り降ろす所から連続攻撃をするのだろう。ライネスの城で行った模擬戦からまるで成長していない事に呆れてついため息が出る。
「あなたさぁ・・・っと」
それをまたあの時と同じように避け続ける。だがあの時とは違い、速さがかなりあるために所々剣で力を逸らさなければならない場面が少しあった。
「もう少し、学んだら?」
「学ぶ?逆に貴様が俺様に請びたらどうだ?どうか私にご主人様の強さの秘密をお教え下さい、っとなあ!!」
「それってあなたがさっき大声で言ってた能力の事?」
「そうだ!!この俺様の絶対不変の強さをなあ!!」
アルトの強さは能力だけ。外は傷を負わせる事は出来ず、内は高速治癒によって結果的に外傷を負わない。聞いて、見て。それは絶対不変。どんな攻撃も効かない最強の能力だと誰でも解る。小学生や中二病なら欲しがる能力だろう。
・・・だが、たかがその程度だ。
「・・・そう」
「ぐっ!?」
リンネは速さがあるとはいえそれでも隙だらけのアルトの体に剣を振るう。だがアルトの言った通り、刃はアルトの胴を真っ二つにする事無く、剣の衝撃で体を軽く吹き飛ばしただけに終わった。感覚で例えるなら金属バットでサンドバックを叩いた様な感じだろう。
「・・・くくくっ。どうだ?解ったか?」
腹に視線を少しだけ送ったアルトは笑いだし、ドヤ顔をリンネに見せつける。
「なんなら何度試してくれても構わないぞ」
そう言いながら2本の剣を腰の鞘へとしまい、手の平を見せて無抵抗のアピールをする。
「そして圧倒的な力を前に絶望し、俺様に忠誠を誓う事になるだろうがなあ」
「あれ、いいの?それってつまり、私のする事全部無抵抗で受け止めてくれるって事で良いんだよね?」
「ああ。勿論だ。何をした所で俺様には傷ひとつ・・・ん?」
アルトの提案に乗っかると、虹の光に包まれたリンネの村娘の格好から黒のワンピースと赤いロングコート着た格好へと変わる。
「うんうん。ありがとう。抵抗されるといちいち面倒な事考えながら動かなきゃいけないなぁ~とか考えてたんだけど。・・・それじゃあ。あなたのその気持ちが変わる前に・・・・・よっと!」
「うぐっ!??」
言いきる前にアルトの前からリンネの姿が消え、そして気付けば顎と首の間に刃が触れ、また吹き飛ばされる。アルトはすぐに体勢を立て直そうと吹き飛ばされる勢いに抗おうとするが、その瞬間をまたリンネに同じ場所を追撃されて吹き飛ばされ更に上空へと上がって行く。
「よしっ。この辺りで良いかな。イリス」
『はいはーい!目標はアレに向けて一直線だよっ」
「貴様!一体何をするつ!?」
「はいっ。さっき拾ったこれ咥えといてねー」
「ふごごっ!?」
何かを言おうとするアルトに急接近したリンネはいつの間にか手にしていた石をアルトの口に咥えさせる。口にピッタリ過ぎる石を詰め込まれたのかアルトは吐きだそうと口をモゴモゴさせるが石が微動だにしない。
「あと、その質問には答えてあげる、よっ」
「ふごっ・・・ごごおおおおおおおおっ!!!??」
リンネはアルトの両手首を持って掴み、そしてイリスが街側に向けて出した丸いウィンドウの枠。何故かダーツの的の様にも見えなくもない複数に連なるその枠に向けてハンマー投げの様にアルトを振りまわし、女性の力とは思えないほどの勢いを付けて投げた。
「ほいっと!答えは自分で体験し・・・って聞こえてないか」
風で靡く綺麗な黒髪、前髪を軽く整えながらリンネが答えを口にしていた時にはもうアルトを投げ終わっていたためにアルトに質問の回答は届かなかった。だがそれよりも。8、9、9、10、10・・・と続いて表記されてるのは・・・
『おぉっっっしいいいいいぃ!!でもさっすがリンリン!高得点だよっ!』
「・・・ねぇ、イリス」
紙が舞うスコア画面を表記しているイリスについ聞いてしまう。点数は96点。
「その点数、なに?」
『えー。ちょっとした遊び心だよぉ~。ちなみに点数は10点×10枚の100点満点。最初の入射角がちょっとずれてたけど風で戻ったみたいでラッキーだったねっ』
「ちなみに、満点だったら何か貰えたの?」
『んー・・・私の映像データにある女の子にとって大事な部分を守ってくれる光と闇と湯気の除去、1回分とか?』
「なっ!!?」




