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私、桜リンネ。20歳の大学生(設定)ですっ!昔は円道って苗字を使っていたけど色々あって今はこっちなんだ。あっ。色々については教えないよっ!乙女の秘密をそう簡単に教えちゃったらちょろい女だと思われちゃうもん。
さてさてぇ、そんな事よりもっ!そんな平凡な女子大生をしてる私だけど、ある日突然異世界に来ちゃったんだ。その世界の名はエレメンタニア。6種の属性の精霊達が各島々の国にいて、その精霊達は私達の世界で言う神様の様な存在なんだって。その世界で出会った魔法使いの格好をしたライネスの勇者、伊藤美遊ちゃん。この世界で英雄姫と呼ばれてるアイリスちゃん。その仲間達と冒険して、風の国ブリズにやって来たんだけどそこで大事件が起きちゃった!この世界に来てすぐに絡んできた勇者っぽい恰好をした男の人が化物の姿になってブリズの国を襲ってきたの。
そしてその人の狙いは、えっ・・・わ、私なのっ!?まさか、あの時の事を怒って逆恨みでこんな酷い事をしたって言うのっ!?もしそうだったら私、許さないからっ!!
「・・・ねぇ。今私達は何を見せられてたの?」
『前回のあらすじを兼ねた自己紹介映像だけど?美遊はアニメ見た事無いの?』
「そんな事は見れば解るわよっ!!そうじゃなくて、私達はどうしてあの人がああなってるかを知りたいんだけどっ!!アイリスを見てよっ!理解が追いつかなくて遠い目して固まってるじゃないっ!!」
「あはは~。何言ってるのか私にはなぁんにもわからないよ~。あはは~」
そんなアイリスを横目に美遊はリンネに指を指す。
「何で女の子の格好してるの!?何で髪長いの!?何で声変わってるの!?そして何よりもおかしいのはあの胸!!あの胸はなんなのよっ!!?」
『おっぱい』
「呼び方じゃ無いっ!!なんであんな大きく膨らんでるのかって言ってるの!!」
リンネの胸は外見だけでもC~Dはある事が解るくらいの大きさだった。
『そっか。美遊も女の子だもんね。胸を大きくする方法知りたいもんね』
「違うわよっ!!」
『えっ。ああそうだよね。もう十分大きいもんね。気になるのは身長だけだもんね』
「ち・・・ってああっ!もうっ!!」
イリスのボケに付いていけなくなった美遊はアイリスの後ろに移動して箒の先でアイリスをリンネに向けて突き飛ばす。
「わわっっちょっ!??」
「ん?わっ!?」
気配を感じて振り返ったリンネの胸にそのままの勢いでアイリスは顔から突っ込んだ。
「・・・くんくん・・モフモフ・・スリスリ」
「あんっ。ちょっとアイリスっ・・止め・・やぁんっ!」
「本物、なの?」
『女の子なんだから当たり前でしょ』
「・・・もうなんなの。性転換?それなんてファンタジー?」
詰め物を疑ってアイリスを使った美遊だったが予想とは大きく外れた。アイリスはリンネの胸の心地良さに釘付けでリンネが離そうとしても離れられなくなっている。更に感度まである様でもはや美遊の理解が追いつかなくなっていた。
「気持ちは解るぞ小娘。我も始め見た時は疑って局部を念入りに調べたが絶頂すら迎える事が可能な完全な女の体になっておったぞ」
「えっ!?・・・って念入り?ぜっちょ・・・」
突如姿を現したルシファーに驚きつつも聞こえた言葉を整理し想像し、そして顔を赤くさせた。
『あれれ~?ぬぁ~に考えてるのかにゃ~?』
「なっ!?何も考えてないわよっ!!」
ニヤニヤと笑みを浮かべるイリスに必死の否定をする美遊。
「ああもうっ!アイリス!いい加減離れてよ!」
「いやっ!!今逃したら続きが出来るかわからないもんっ!!!」
「続きってなにっ!!?」
リンネの抵抗に必死に抵抗するアイリス。最初は顔を胸に埋めていただけなのに今ではしがみついて離れようとしなくなっている。余程リンネの体の感触が気に入ったのだろう。
「・・・続きは俺様のモノだ」
いつの間にか側まで迫って来ていたアルトの剣が迫っていた。それをリンネがアイリスを無理矢理離した後に咄嗟に防ぐ。
「貴様っ!?その剣は!?」
アルトの見た物、それはあの周一が持っていたあの透き通った青い刃のロングソード。それをリンネが何処からともなく出現させてアルトの剣を防いだのだ。
「何故貴様がその剣を持っている!!」
アルトの認識ではこの青い剣は周一の所有物。そして後に自分の剣にしようと思っていた物。それが今、見ず知らずの少女が握っている。その現状に理解が追いつかない。
「持っているも何も、それをあなたに説明する必要があるんです、かっ!!」
「くっ」
鍔迫り合いの様な状態に押し勝ち、リンネはアルトごと押し返す。
「・・・ふんっ。まあいい。理由はどうであれ、貴様から奪えば俺様の物だ。無論、お前の体もな」
「・・・ねえイリス。あの人ドヤ顔であんな事言ってて気持ち悪いんですけど。あと見た目も気持ち悪いんですけど」
『ああ言う事言う男ってきっとモテなかったからだよ。そんなデータが確か・・・ああ、あった!十数人の創作キャラクター達を俺の嫁だとか周り言いふらしてハーレムを妄想しながらエッチな画像やらグッズを集めてるような人だって。特に長時間画面の前に座ってる人が多いらしいよ』
「うわぁ・・・」
ヤバい奴を見る目でアルトを見るリンネ。
「おいそこの板っきれ。言いがかりも甚だしいぞ。俺様はそんな変態では無い。俺様はこの顔で、スタイルで、数多の女を手中に収めて来た男だ。夢や妄想でしか満足出来ないクズと一緒にするな」
やれやれ、といった顔をしながら訂正するアルト。
「・・・うん。やっぱあの時殺しとけば良かったね」
「あ?」
『あーあ。リンリンを怒らせちゃった。あなた、もう命乞いしても助からないよ』
「何を言っ!?」
アルトは言葉を詰まらせた。目の前の死の存在を視認してしまったために。
「私、優しいから。せめて死に方を選ばせてあげる。どんな死に方がいーい?」
体が震えだすアルト。リンネの後方に居る者達に視線を送るが誰1人リンネに対して恐怖心を抱いていなかった。
「なっ、ななな何でこんなのと一緒に居るんだアイリス!!ミユさん!!むしろ俺様と一緒にこいつを!!」
なんとか絞り出した言葉。それはリンネ側に居る2人に向けての言葉だった。
「言いたい事はそれだけかな。ライネスの勇者様」
「っ!?」
その言葉に身構えるアルト。だが対してリンネは剣を持っているだけで構えを取っていない。
「だったら、もういいかな。此処に居るみんな、んーん。この国のみんな。あなたの声なんてもう二度と聞きたくないだろうし。この場の代償だけ払ってくれればいいから」
「だい、しょう?・・・代償と言ったか?」
アルトはその言葉にニヤ付き、震えを押し殺す。
「まさか死んで償えとでも言うつもりか?・・・あいにく、俺様は無敵だ。もはや寿命すらあるかどうかも解らないぐらいになあ!!」
そして押し殺せた理由は単純。自分が負ける筈のない絶対的な最強の能力を持っている事を思い出したからだ。
「死んで償えるなら私、どれだけ死ねば許されるのかな?」
『リンリン・・・』
「はあ?何を言ってるんだ?」
「んーん。ごめんね。こっちの話・・・ねぇルーちゃん」
「その名で呼ぶな。で、なんじゃ?」
「ここの声って、魔法か何かでこの国全域に届けられない?」
「ぬぅ?言っている意図が解らぬが・・・」
「出来るの?出来ないの?どっち?」
振り返ったその笑みは魔王であっても動揺してしまう程の殺気が混じった笑みだった。
「・・・まあそのくらいなら捕らえた声を魔力に変え、そしてその魔力を音の波に変換すれば簡単に出来る。アイリスと連絡を取り合う時と似た方法だからな」
「そっか。それじゃあ。あいつの悲痛な叫び声を出し始めたらお願いねっ」
「う、うむ」
「ありがとう、ルーちゃん」
そしてアルトへと向き直る。
「俺様が悲痛な叫び?くくくっ。笑える冗談だなあ」
その話を聞いていたアルトは思わず笑う。出来もしないと確信しているからだ。だがアイリス達は冗談だとは思わなかった。今までの周一を見て来たからこそそう思えた。
「そう?まあどう思おうとあなたの勝手だけど。ただ一つ。あなたにアドバイスしてあげるね」
笑顔で人差し指を立てながら可愛いと思える立ち姿で答える。
「死にたくなかったら全力で私の前から居なくなってね」




