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永遠の約束 永遠の旅 -とわのやくそく とわのたび-  作者: 風翔 響
第1部:エレメンタニア
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4-8

-12月??日-


 あれから何日たったのだろう?

 まだあの場にはカレーが残っているが既に米はカチカチに固まり、全体的にも色も変化し始めていた。それよりもこんな状態なのに取り下げに来ない辺り予想は当たっていそうだ。

 さすがに臭い的にもきつくなりそうなのでカレーをトイレまで持って行き、全て流し捨てる事にした。

 食事についてはいつも通りあのカロリーメイクだ。ベットに隠していた(周一の換算で)1ヶ月分を食べて過ごしていた。本来は動かなくても食べられるように用意した物だったがあの時あの黒服達がベットに投げてくれたおかげなのか、それとも偶然だったのかは解らないがベットに手を付けてくれなかったおかげで今も食事が辛うじて取れる。

 だがこれが出来るのも今月だけだ。壁際に置いてあったあと3ヶ月分はあった残りのカロリーメイクは処分されてしまった。そして教材タブレットは新品になって机の上で充電完了状態でスタンバイしている。


 ・・・そしてこの部屋に、周一の私物と呼べる物はもう1つも残っていなかった。



-12月24日-


 突如、タブレットから通知音が鳴る。する事も無いので仕方なく通知の内容を確認する。

 ≪周一君。明日はクリスマス。何か欲しい物はあるかな?≫という題名に触れる。その内容は欲しい物があれば返信してね、サンタさんにお願いして明日までに用意するといった内容だ。


 返信方法も記載されているがそれは此処に入る前には良くやっていた事なので知っている。連絡先、を指定して伝えたい内容を記入し、送信するだけ。だがこれは前のタブレットには無かった機能。いや、機能はあったが登録されていた連絡先に送っても何一つ反応が無かった機能だ。

 どうせ送っても返事は無いだろう。だが、せっかくだ。


 ≪ほしいもの≫と返信タイトルを付けて内容を記載して送信した。


 当ててみろ。当たったらお前達の言う通りに動いてやる、と。



-12月25日-


 再び、タブレットから通知音が聞こえた。

 通知を見ると≪メリークリスマス!≫と書かれた題名。触れると、こう書かれていた。


 メリークリスマス!周一君。ちゃんと書いてくれなかったからサンタさんにお願い出来無かったよ。でも大丈夫。私達が代わりに素敵なプレゼントを用意するよ。でも今日には用意できないから大晦日になって外に出れる様になった時に渡すね。


(・・・すごいな。俺の欲しい物が当てられると思っているなら本当にすごい)


 そう思いながら部屋の監視カメラに視線を向け、今までにした事のない満面の笑みをした。



(教えてくれよ。俺から4年も奪ったお前達が考える俺の欲しい物ってなんだ?)



-12月30日-


 昼頃、いつものように腰掛けていると久しぶりにあのドアが開いた。白いシーツがかけられたワゴンカートと共に数人が部屋に入って来る。そのワゴンカートの上には見た目ですぐに解る程の高級感がある料理が置かれていた。


「周一君。今日から明日の晩までの食事は3つ星シェフが作った料理だ。栄養も完璧に考えられたものでね・・・」


 あのスーツの男の声がする。どうやらあの中にいたらしい。

 黒服達が2人がかりであの時設置されていたイスとテーブルの前に引っ張られ、無理矢理椅子に座らされる。

 次々と給仕の人に料理を並ばせていくと、スーツの男は黒服に用意させたスプーンで一口ずつ並べられた料理を目の前で食べて行く。そして口元をナプキンで拭きスプーンと共に黒服へと渡した。


「・・・と、このように私が食べても何も問題は無い。安心して食べていいんだ」


 その行動にその発言はまるであのカレーには何か入っていたと言っている様なものだった。

 だがその言葉にも、料理を前にしても周一は指1つ動かそうとはしなかった。


「・・・無理矢理にでも食わせろ」

「はい!」


 スーツの男は周一の態度に痺れを切らしたのか黒服達に強制的に食べさせる事を命じた。

 黒服達は無理矢理周一の口を開けさせて皿の1つ、スープを流し込んで口を開けさせないように押さえた。だが、周一はスープを飲み込もうとしないため、スープは口の中でとどまり続けた。


「何故飲まないんだい?いつもみたいに、水と同じ様に飲み込めばいいだけなんだよ」


 早く飲み込めと圧を掛けながら周一に問いかけるスーツの男。

 だが周一はそれに抵抗するように頬を軽く膨らまし。口の端から漏らす様に少しづつスープを口から出した。口を押さえていた黒服の1人がそのスープに触れ、気持ち悪さの余りバッと手を離してしまい、それと同時に周一は残ったスープを吐き捨てた。


「こぉのガキがああああああああっ!!!」


 それを見たスーツの男は我慢の限界が来たため周一の頬を思いっきり殴った。その勢いの余り、周一は椅子から落ちて、椅子と共に床に倒れた。


「お止めください副社長!!」

「明日放送なんですよ!!」

「・・・クッ。明日のメイクに跡が解らない様にしろと伝えておけ」


 副社長と呼ばれたスーツの男は黒服達にそう言われて冷静になり、倒れた周一の顔を見ると遠目からでも多少腫れている事が解るくらいに頬が腫れていた。


「ふんっ。まあいい。どうせ明日はあの企画の発表の方がメインだ。そもそも今まで私がこいつを殴らなかった事の方が偉いと思わないか?」


 手をハンカチでぬぐいながら黒服達に問いかける。だがその問いに黒服達はどう答えていいか困惑していた。


「おもわないか?」

「「「はいっ!その通りだと思います!」」」


 圧に負けた黒服達は従順にそう答えた。


「よし。・・・ああ、そうだ。お前、ベットにあるこのガキの食糧を全部回収して廃棄しろ」

「は、はい!」


 スーツの男が何かを思いついた様に指示し、指示された黒服の1人がベットにあるカロリーメイクを回収していく。

 

「おい。変態のガキ。お前の食事はこれ以降用意するのは止めにした。せっかくの料理を台無しにした罰だと思いたまえ。だがそれでは私の人格が疑われしまうのでね。今此処にある料理は全部食べても良いぞ。ただし」


 そう言って、スーツの男はテーブルを蹴り飛ばした。そして蹴り飛ばされたテーブルは当然乗せていた料理を次々に割れて行く皿と共に散乱していった。


「これでも食べたかったら、の話だがね。はっはっはっ」


 その言葉を残して部屋を出て行くスーツの男。それに続いて黒服達も部屋を出て行き、最後の1人がカロリーメイクの入った袋と共に出て行くとまたあのドアが閉じた。

 周一は起き上がる気力も無く、食事をする気力も無く、口に残っているはずのスープの風味も感じる事も無く。頬の痛みも感じない。


 へ ん た い のガキ?


 その言葉だけを記憶に刻み、そのまま眠りについた。

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